循環型社会の実現に向けた取り組み

基本的な考え方

東レグループは、「TORAY VISION 2050」において、「人と地球が調和し 資源が循環し 自然が再生していく世界(環境)」を、2050年に目指す世界のひとつとして掲げています。従来の社会構造のもとでは、資源の枯渇、廃棄物の増加による海洋汚染、CO2排出量の増大など、さまざまな社会課題がありました。
こうした社会課題への対応が求められる中で、循環型社会の実現に向けた取り組みは、中長期的な事業環境の変化を見据える上で重要な視点のひとつであると認識しています。
東レグループでは、循環型社会への対応について、適切な対応が求められるリスクの側面と、事業機会につながる側面の両面があると捉え、以下のように整理しています。

循環型社会への移行に伴う主なリスク

  • 廃棄物処理コスト増加
  • 大量生産、大量消費からの脱却による素材市場の縮小
  • サーキュラーエコノミーへの対応遅れによる機会損失

循環型社会への移行に伴う主な機会

  • バイオマス由来原料の利用による素材事業の拡大
  • リサイクル材料の利用による素材事業の拡大
  • 廃棄物削減貢献事業の拡大(廃棄物削減、耐久性)

東レグループは、素材メーカーとして、事業を通じた社会的課題への貢献が重要と考え、「循環型社会の実現(サーキュラーエコノミー:CE)」を「中期経営課題 “プロジェクト AP-G 2025”」における重要課題のひとつとして位置づけ、取り組みを進めてきました。
さらに、2026年度から開始した「中期経営課題 “IGNITION 2028”」においても、CEへの貢献を重要課題として位置づけています。本計画においては、循環型社会への移行に伴うリスクの低減と機会の獲得を図るべく、化石資源から再生資源への転換を各事業と従来以上に密接に連動させ、研究・技術開発を推進するとともに、成長戦略と価値創出の両立に取り組みます。
また、これらの研究・技術開発の成果を社会実装へとつなげるため、東レグループでは、研究設備、実証設備、生産設備への段階的な投資を進め、CEに資する技術・製品の創出と普及を継続的に推進していきます。

資源循環の取り組み

東レグループは、資源を有効活用する循環型社会の実現に向け、製品のライフサイクル全体を視野に入れた資源循環の取り組みを進めています。廃棄物の削減や資源効率の向上に貢献することを目的に、廃棄されたプラスチック製品や製造工程で発生する端材(以下、工程端材)のリサイクル、原料のバイオマス化、使用するエネルギーの再エネ化・水素化、水の再利用などに、さまざまな技術を活用しています。
具体的には、繊維、樹脂、フィルムなどの廃棄された製品や工程端材を対象に、マテリアルリサイクル※1による再利用を進めています。また、マテリアルリサイクルが困難な製品や工程端材については、化学的に分解してモノマーに戻すケミカルリサイクル※2にも取り組んでおり、ナイロン繊維製品ではすでに実用化しています。

東レグループのリサイクル
  1. ※1 マテリアルリサイクル:プレコンシューマ材料またはポストコンシューマ材料を物理的な方法によりリサイクル材料に再生する工程。裁断、選別・粉砕、洗浄・除染(汚れや異物を取り除く)、溶融・除染などの工程が該当する。
  2. ※2 ケミカルリサイクル:プレコンシューマ材料またはポストコンシューマ材料を化学的に分解し、有用な化学物質を回収する工程。分解、油化、ガス化、解重合などが該当する。

さらに、化石資源への依存を低減する観点から、バイオマス由来資源を原料とした素材の開発や、これらの原料を効率的に製造できる膜利用バイオ技術の開発を進めています。加えて、中長期的な視点から、CO2の資源化など、カーボンリサイクルの研究開発も進めています。
こうした資源循環に関する研究・技術開発については、実証段階から製造・販売段階への移行を見据え、研究開発設備の整備に加え、必要に応じた生産設備への投資を進めています。

サプライチェーンとの連携

東レグループでは、グループ単独での活動に加え、サプライチェーンとの連携を通じて、循環型社会の実現に向けた市場全体での価値創出を促進しています。
2025年6月には、(株)デンソー、(株)野村総合研究所、本田技研工業(株)、(株)マテック、リバー(株)、東レ(株)の6社が発起人となり、使用済み自動車(ELV:End-of-Life Vehicles)の自動精緻解体を起点としたCar to Carの実現を目指し、動脈産業と静脈産業が融合したバリューチェーンの構築を目的とする「BlueRebirth(ブルーリバース)協議会」を設立しました。
また、東レ(株)は、ソニー(株)や三菱商事(株)などと連携し、バイオマス原料を用いたリニューアブルプラスチックのグローバルサプライチェーン構築にも参画しています。Toray Advanced Materials Korea Inc.は、この枠組みにおいて、マスバランス方式によりバイオマス特性を割り当てたPET樹脂およびフィルムの製造を担っています。

社会実装のための基盤整備

東レグループでは、循環型素材を用いた製品を社会に安定的に提供していくため、国際的に認知された認証制度に基づく基盤整備を進めています。
リサイクル製品およびバイオマス製品については、顧客や市場に対してその特性を明確に示すことができるよう、社内認定規準である「東レグループ リサイクル製品・バイオマス製品認定規準」に基づき、対象製品の確認・管理を行っています。
また、マスバランス方式※3を採用し、マスバランス方式の国際認証のひとつであるISCC PLUS認証を各社・各拠点で取得しています。
ISCC PLUS認証は、マスバランス方式に基づき、リニューアブル資源(バイオマス由来原料)やリサイクル材料などに由来する製品を、グローバルなサプライチェーン全体で適切に管理・担保するための認証制度です。認証の取得により、各拠点では、バイオマス由来原料またはリサイクル材料をマスバランス方式で割り当てて使用し、該当製品を生産、供給することが可能となります。
なお、東レ(株)はISCCの最新規定に則り、ISCC PLUSの要求事項に準拠しています。

  1. ※3 マスバランス方式:原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)が、そうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。

こうした認証制度への対応に加え、東レグループでは、業界や行政、国際団体などとの連携を通じて、循環型社会の実現に向けた課題解決に取り組んでいます。
その一環として、東レ(株)が参画している主なイニシアチブは、以下のとおりです。

目標

東レグループでは、基幹ポリマーであるポリエステルおよびナイロンについて、再生資源等の使用比率を2030年に20%、2035年に30%とする目標を掲げています。
2025年度の使用比率は8%となる見通しであり、2030年度に向けて、リサイクルおよび原料のバイオマス化を進めていきます。

東レグループリサイクル活動指針2004年3月制定、取締役会承認を経て2026年8月改定

  1. リサイクル製品の設計、製造および販売を行います。
    なお、リサイクル製品とはリサイクル材料のみを使用して生産、もしくはリサイクル材料を一部使用して生産した製品を指します。
  2. リサイクル材料の購入ならびに製品の調達および使用を推進します。
    なお、リサイクル材料とはプレコンシューマ材料またはポストコンシューマ材料を用いて、社外または社内のリサイクル工程で加工または加工したものを購入し、最終製品、又は製品へ組み込まれる部品に使用する材料を指します。
  3. 自社で発生した廃棄物削減と再利用を推進します。
  4. 自ら販売した製品のリサイクルをお客様とともに取り組んでいきます。
  5. これらの取り組みの内容および成果を、レポートやウェブサイトを通じて定期的に情報開示します。

関連情報

バイオマス由来素材の推進

東レグループは、化石資源への依存低減を図る観点から、バイオマス由来資源を原料とする素材の開発を推進しています。代表的な取り組みとして、廃糖蜜から製造したエチレングリコールを原料とする部分バイオベースPET繊維を量産しており、ユニフォームやスポーツアパレル、和装用途などに加え、スエード調人工皮革Ultrasuede PX、Ultrasuede BXにも本繊維を使用しています。
また、主原料であるエチレングリコールおよびテレフタル酸の両方がバイオマス由来原料であるPET繊維については、試験販売を行うとともに、これらの原料を製造するための膜利用バイオプロセスの開発も進めています。
ナイロン繊維分野では、100%バイオマス由来原料を使用したEcodear N510を開発・上市しました。本製品は、(株)吉田との協業によるカバン「TANKER」や、(株)イッセイミヤケとの協業による衣服「STRING」に採用され、販売を行っています。
さらに、Toray Advanced Materials Korea Inc.では、マスバランス方式によりバイオマス特性を割り当てたPET樹脂およびフィルムの製造を計画しています。

膜利用バイオプロセス

東レグループは、バイオマス由来原料を効率的に製造する技術として、「膜利用バイオプロセス」の開発を進めています。本プロセスは、分離膜技術とバイオ技術を融合させ、糖化、発酵、精製の各工程に水処理用分離膜を使用する技術です。これにより、食料と競合しないバイオマスを原料とした糖製造や、発酵効率の向上を可能とし、バイオマス由来素材の実現に貢献します。現在は、食料と競合しないバイオマスから糖を製造する糖化プロセスについて技術実証プロジェクトを推進しています。本プロセスの実用化による将来的な商業生産設備への展開を視野に、非可食バイオマスから素材・化学品を製造するサプライチェーンの構築を進めます。
また、東レ(株)とPTT Global Chemical Public Company Limitedは、2023年より、東レ(株)が84%の株式を所有するCellulosic Biomass Technology Co., Ltd.(東南アジア)において製造される非可食バイオマス由来の糖を原料として、ナイロン66の原料となるムコン酸およびバイオアジピン酸を製造する技術開発を共同で実施しています。本取り組みでは、100%バイオベースナイロン66までを一貫して製造する技術を世界で初めて確立しました。2028年度の100%バイオベースナイロン66を用いた繊維製品の販売開始を目標に、サプライチェーン構築を進めています。

膜利用バイオプロセス

リサイクルの推進

東レグループは、繊維・樹脂・フィルムなどの幅広い事業分野において、リサイクルに関する取り組みを進めています。回収されたPETボトルや製造工程で発生する端材(以下、工程端材)などを回収・リサイクルした繊維、工程端材や使用済みプラスチックを材料としたリサイクル樹脂、さらにお客様の工程で使用済みとなったフィルムを回収・リサイクルしたフィルム製品など、再生材を利用した多様な製品を展開しています。
繊維分野では、回収PETボトルを原料とし、異物を除去するフィルタリング技術や洗浄技術により、多様な品種展開を可能としています。これらの技術に、東レ独自のトレーサビリティ機能を組み合わせたリサイクル素材ブランド「&+(アンドプラス)」を2019年に立ち上げました。2023年4月にはリブランディングを行い、回収漁網由来成分の一部を使用したナイロンリサイクル繊維製品についても、「&+」として販売しています。
また、2024年には、亜臨界水※4を用いたナイロン66の解重合反応解析を実施し、副反応を抑制する独自技術の確立により、高収率・高効率で2種類のモノマーを回収し、再重合によってナイロン66を再生することに成功しました。ナイロン66は、エアバッグなどの自動車用途や産業資材用途を中心に幅広く使用されており、本技術により、ケミカルリサイクルの適用範囲拡大が可能となります。
東レグループでは、このように、従来は廃棄されていた繊維・樹脂・フィルムを回収し、有用な資源としてリサイクルする研究・技術開発を進めるとともに、これらの技術を社会実装につなげるため、リサイクル関連製品の生産設備への段階的な投資を推進しています。

  1. ※4 亜臨界水:水の臨界点(374℃、22MPa)よりもやや低い領域の高温・高圧状態の水であり、有機化合物を溶解、加水分解するなど、常温常圧水とは異なる特性を有する。

繊維のリサイクル

リサイクル繊維「&+

従来のPETボトルリサイクルでは、原料中に混入する異物の影響により、特殊な断面形状や細繊度の繊維の生産が困難となり、糸種が限定されるという課題がありました。
これに対し東レ(株)は、PETボトルリサイクル原料に含まれる異物を除去するフィルタリング技術と高度なPETボトル洗浄技術を有する協栄産業(株)と連携し、高品位な原料を確保しています。これに東レ(株)の繊維生産技術と組み合わせることで、化石資源由来のバージン原料と同等の品種多様化を可能にしました。
さらに、東レ製のPETボトルリサイクル繊維であることを検知できる独自のトレーサビリティ技術を付与することで、高い信頼性を有するポリエステル繊維として「&+」を製品化しました。「&+」は、糸・綿にとどまらず、テキスタイルや縫製品まで含めた多様なサプライチェーンと、グローバルな生産拠点を活用しながら、展開規模の拡大を図っています。
また、「&+」として新たに展開している回収漁網由来成分を一部使用したナイロンリサイクル繊維素材については、再資源化事業者や漁網製造会社と連携し、独自の漁網回収スキームを構築しています。東レ(株)のケミカルリサイクル技術を活用した高付加価値なナイロンリサイクル繊維の生産・販売を通じて、漁網回収への参加意識の向上と回収の促進を図っています。
そのほか、2025年に開催されたEXPO2025大阪・関西万博では、東レ(株)の部分植物由来ポリエステル繊維および回収されたPETボトルを粗原料としたリサイクルポリエステル繊維「&+」を使用したアテンダントユニフォームを出展しました。使用後に回収されたユニフォームは、(株)エコログ・リサイクリング・ジャパンにおいてPET樹脂に再生され、フラワーポットに活用されるなど、循環型のリサイクルに取り組んでいます。
加えて、上田安子服飾専門学校での「&+」の特別講義の実施や、文化服装学院のファッションショーにおける「&+」を使用したテキスタイルの採用など、将来のアパレル産業を担う学生との連携・協働も推進しています。

&+(製品紹介サイト)

(株)ユニクロとの連携によるリサイクルの推進

東レ(株)は、(株)ユニクロ(以下、ユニクロ)と共同で、リサイクルに関する取り組みを推進しています。「ヒートテック」「AIRism」「感動パンツ」などの共同開発商品に向けて、PETボトルリサイクル繊維を使用・供給しています。
さらに、ユニクロが店頭で回収したダウン製品の羽毛リサイクルにも注力しています。従来、羽毛を含む製品のリサイクルは、解体工程を手作業で行うことが一般的でした。特に、ウルトラライトダウンのように表地が薄く縫製が複雑な製品では、羽毛を効率的に取り出すことが困難でした。
これに対し、東レ(株)は専用のダウン分離システムを開発し、ダウン製品の切断、攪拌分離、羽毛回収までの工程を自動化しました。この技術により、従来の手作業と比較して約50倍の処理能力を実現しています。回収した羽毛は新たなダウン製品の素材として再利用されており、ユニクロとともに循環型の製品開発を推進しています。

樹脂のリサイクル

東レグループでは、リサイクル材料やバイオマス由来原料の活用による樹脂素材の開発を推進しています。樹脂リサイクルにおいては、マテリアルリサイクルに加え、使用済み製品や工程端材を一旦モノマー原料まで分解し、再度ポリマーとして再生するケミカルリサイクル(解重合ケミカルリサイクル)の手法を活用し、独自の処方設計によるリサイクル樹脂を開発・展開しています。
今後は、使用済み回収製品由来の樹脂(ポストコンシューマーリサイクル材)の活用にも積極的に取り組み、資源の有効活用に貢献していきます。

1. リサイクルナイロン6樹脂「AMILAN

(株)本田技術研究所と東レ(株)は、自動車用ナイロン6樹脂のケミカルリサイクルに関する共同実証を開始しました。本取り組みでは、使用済みの自動車から回収されたガラス繊維配合ナイロン6樹脂の部品を、亜臨界水を用いて解重合し、原料モノマー(カプロラクタム)へ再生する技術の開発を進めています。
亜臨界水は、高温・高圧の水であり、樹脂への高い浸透性・溶解力・加水分解力を有し、触媒を使用せず、添加剤の影響を受けることなく、短時間でナイロン6を高収率に解重合できる特長があります。回収したモノマーを分離・精製し、再重合することで、バージン材と同等の物性を有するナイロン6として再生することが可能です。

2. リサイクルナイロン66樹脂「AMILAN

エアバッグの工程端材を対象に、表面のシリコーンを剥離・洗浄したリサイクルナイロン66樹脂コンパウンドを開発しました。自社の添加剤複合技術により、少量残存するシリコーン樹脂の成形品表面への移行を抑制し、金型への付着を大幅に低減することに成功しました。これにより、バージン材由来の射出成形グレードと同等レベルの流動性および機械物性を有するリサイクルナイロン66樹脂「AMILAN」を開発しました。

3. リサイクルPBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート)「TORAYCON

ケミカルリサイクル技術を用い、バージン材と同等の物性を有するリサイクルPBT樹脂「TORAYCON」を上市しています。

4. リサイクルPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)「TORELINA

ガラス繊維強化PPS樹脂について、マテリアルリサイクル技術を開発し、リサイクル樹脂として展開しています。

また、バイオマス由来原料や油化ケミカルリサイクル原料の活用においては、ISCC PLUS認証を取得し、マスバランス方式に基づくABS樹脂、PPS樹脂、PA6樹脂、PBT樹脂、LCP樹脂の供給体制を構築しています。

樹脂における資源循環の取り組み
樹脂における資源循環の取り組み

フィルムのリサイクル

東レグループでは、ポリエステル(PET)フィルム「Lumirror」の工程端材などを回収・リペレット化したPETを、フィルム用途に加えて繊維や樹脂製品の原料として有効活用することで、資源を大切に使う生産活動に取り組んでいます。
また、お客様の工程で使用済みとなったPETフィルムについても回収・リサイクルを行い、フィルム用原料として再利用するリサイクルシステムを構築・展開しています。

製造工程で発生する端材や回収原料の再使用
製造工程で発生する端材や回収原料の再使用

お客様の工程で発生する使用済みPETフィルムの再利用

電子部品用途で使用されたPETフィルムを回収し、再利用するリサイクルシステムを構築しています。本システムでは、使用済みフィルム表面に付着した塗材や樹脂を除去するリサイクル処理技術に加え、各製造工程での異物除去工程を組み合わせることで、機械特性や信頼性を損なうことなく、マテリアルリサイクルによるフィルムへの再生を可能としています。
これにより、PETフィルム原料として使用する化石由来樹脂の使用量削減に貢献するとともに、CO2排出量を従来品比で最大50%削減することが可能となります。
東レグループは、今後も本システムを通じて、循環型社会の実現に貢献していきます。

お客様と連携した循環再利用リサイクルシステム
お客様と連携した循環再利用リサイクルシステム

リサイクルPETフィルム 「Lumirror」 製品紹介サイト

炭素繊維のリサイクル

炭素繊維「TORAYCA」は、優れた力学特性により製品の軽量化や長寿命化に寄与し、ライフサイクル全体でのCO2排出量の抑制に貢献する素材です。特に、大型風車、航空機、水素タンクなどの用途では、運用段階におけるCO2排出量の削減効果が期待されます。一方で、需要拡大を背景に、使用後の炭素繊維のリサイクルに対する市場からの要請が高まっています。
リサイクル炭素繊維(rCF)の技術開発および用途開発にあたっては、多くのお客様と連携し、具体的な部材・部品の検討を進めることが重要です。東レ(株)が製造・販売する炭素繊維は、ボーイング787にも使用されており、本機の工程端材を活用したrCFを、LenovoのPC筐体に採用しました。
また、お客様の工場から出る端材・廃材を回収し、新たにrCF強化材料として再利用する検討も進めています。東レ(株)は、炭素繊維のサーキュラーエコノミーを目指す各社と連携し、rCFを用いた高付加価値化製品の開発を加速させています。
さらに、炭素繊維は、熱や紫外線に対する耐久性が高く、吸湿しない安定した特性を有することに加え、バイオマス由来原料を用いた製造が可能であるという特長を持ちます。これらの特性を生かし、バイオ・リサイクル原料の活用を含む炭素繊維ならではの資源活用モデルの構築を目指します。

炭素繊維のリサイクルのイメージ図

ブロックチェーンによるトレーサビリティの確保

リサイクルされた素材は、化石資源由来の素材と同等の物性を有することを基本としているため、その製品がリサイクル由来であるかどうかを適切に識別・説明できるトレーサビリティの確保が重要となります。
こうした課題に対応するため、東レグループでは、入力したデータを改ざんできない特性を持つブロックチェーン技術を活用し、製品のサプライチェーンにおける製造・輸送に関する情報を可視化する仕組みについて、小規模な実証に取り組みました。

ブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムイメージ
ブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムイメージ