人を基本とする経営の実践

自律・挑戦・共創をキーワードに、多様な人材と価値観の包摂、変化に適合する人材・組織づくり、東レ理念への共感と働きがいのあるキャリア形成を推進し企業価値最大化と従業員の幸福度向上を追及します。「人権の尊重」は欠くことのできない企業経営の基本であり、人権意識の啓発・向上に努めます。

基本的な考え方

東レグループは、創業以来、「企業の盛衰は人が制し、人こそが企業の未来を拓く」との考え方のもと、人材育成を企業経営の根幹として重視してきました。この考え方をより明確にし、グローバルな人材戦略を強化するため、2011年に「東レグローバルHRマネジメント基本方針」を策定しました。以来、変化する経営環境に対応しながら、人材の確保と育成を最重要の経営課題として取り組んでいます。
2020年5月に策定した「長期経営ビジョン “TORAY VISION 2030”」にあわせて体系化された当社の経営思想「東レ理念」では、「人を基本とする経営」を企業理念の土台となる企業文化として改めて位置づけました。そして、2026年に策定された「長期経営方針 “TORAY Challenges 2035”」の実現に向けた「中期経営課題 “IGNITION 2028”」においても、基本戦略のひとつとして「人を基本とする経営の実践」を掲げ、東レグループの人材基盤の強化に取り組んでいます。
多様な人材および価値観の包摂、変化に適合する人材・組織づくりに加え、「東レ理念」への共感と働きがいのあるキャリア形成(エンゲージメント)にフォーカスし、企業価値の最大化と従業員の幸福度向上の両立を目指した人材戦略を策定し、その実現に向けた取り組みを進めています。東レ(株)では経営のマテリアリティとして「企業基盤と組織能力の高度化」を位置づけ、多様な人材の活躍と生産性向上を通じて、持続的に価値を創造し続ける企業基盤の構築を推進しています。
また、東レグループは、すべてのステークホルダーと良好な関係のもとで事業活動を行うために、人権の尊重を企業経営の基本と考えています。人権意識の啓発・向上に努めるとともに、「企業行動指針」および「倫理・コンプライアンス行動規範」において人権尊重を明確に位置づけています。
これらの考え方に基づき、人種、信条、肌の色、性(性自認・性的指向を含む)、宗教、国籍、言語、障がいの有無、身体的特徴、財産、出身地などを理由とするあらゆる差別的な取り扱いを、募集・採用から配置・処遇・教育・退職に至るまで一切禁止しています。
さらに、各国・地域の法令を遵守し、雇用規制や最低賃金、時間外労働(賃金支払の保証を含む)、公平な賃金制度、年次休暇の付与などについて、適切に対応しています。従業員の雇用を第一に考え、円滑な労使関係のもとで働きやすい労働環境の実現に取り組むとともに、生活賃金の考え方を踏まえ、各国・地域の実情を考慮した適正な賃金水準の確保と公正な処遇に努めています。
職場におけるセクシュアルハラスメント・マタニティハラスメント・パワーハラスメントについては、一切容認しないことを「倫理・コンプライアンス行動規範」に明記しています。併せて、東レ(株)では「職場におけるハラスメント防止対策指針」を定め、これらのハラスメントを容認しない方針を明記するとともに、防止に向けた管理体制を整備し、役員・社員への周知を行っています。
性自認および性的指向による差別の禁止にも取り組むとともに、LGBTQ(性的少数者)に関する相談体制を整備しています。
グローバルな人権課題については、「東レグループ人権方針」に基づき、各国・地域の文化、慣習、社会規範を踏まえながら、事業活動における人権への影響を認識し、継続的な対応を行っています。

方針等

人権の尊重に関する方針

東レグループは、「企業行動指針」において、良き企業市民として人権尊重の責任を果たすことをうたうとともに、「倫理・コンプライアンス行動規範」においても「人権の尊重」を明記し、グループ内における啓発・教育活動などを通じて人権問題の発生防止に取り組んでいます。
また、グローバル企業として、「世界人権宣言」やILO条約、「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際規範を尊重し、サプライヤーや委託加工先などを含むサプライチェーン全体において、人権侵害への加担の防止や、問題発生時の迅速かつ適切な対処に取り組むことを明記した「東レグループ人権方針」を、取締役会の承認を経て制定しています。

東レグループ人権方針取締役会承認を経て2017年12月制定、2026年8月改定

東レグループは、1926年の創業以来、「企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する」との経営思想の下、社会から尊敬される企業体として存在することを目指してきました。そして「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の企業理念のもと、社会への奉仕の精神を経営の柱として、企業の社会性、公共性を自覚して、たゆまぬ努力を重ねて発展してきました。
私たちが広く社会に貢献し、持続的な成長を続けていくには、「人権の尊重」は欠くことのできない企業運営の基本であると考えます。
私たちは「ビジネスと人権に関する指導原則(国際連合)」に基づき、良き企業市民として人権尊重の責任を果たすよう努力していくべく、「東レグループ人権方針(以下、本方針という)」を定めます。本方針は、東レグループの全ての役員・社員に適用するとともに、全てのビジネスパートナーの皆様におかれましても本方針を理解し、支持することを期待します。

  1. 基本的な考え方
    私たちは、自らの事業活動から影響を受ける全ての人々の人権を尊重します。そのために、国連グローバルコンパクトの10原則を支持し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って人権尊重の取り組みを推進します。また、国際人権規約や国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」、「OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」、「子どもの権利とビジネス原則」などの国際的な人権規範を尊重します。
    一方で、私たちは事業を行う各国・地域の法令を遵守します。万が一、当該国・地域の法令と国際的な人権規範が異なる場合は、私たちは法令を遵守しつつ、国際的に認められた人権規範を最大限尊重するための方法を追求します。
  2. 遵守事項
    私たちは、事業に関わるサプライチェーン全体を通じて人権尊重の推進に努めるとともに、人権侵害には加担しません。サプライチェーンにおいて人権侵害が認められる場合には、ビジネスパートナーの皆さまと協働で、その低減・解消に努めます。

差別やハラスメントの排除、機会の均等

  1. (1)社員の人権、個性および尊厳を尊重し、職場におけるハラスメントや、人種・民族・言語・肌の色・身体的特徴・年齢・国籍・国民性・宗教・性(性的指向やジェンダーアイデンティティ含む)・障がい・HIV/AIDSや結核、マラリア等の健康問題・思想・信条・出身・社会的出自・家族状況・婚姻状況・財産などを理由とした、あらゆる差別を排除します。
  2. (2)多様な人材が活き活きと働ける組織を目指し、採用や、配置、昇進、能力開発、処遇、退職における機会の均等と、働き甲斐のある職場の実現に努めます。

労働法令の遵守、従業員の生活の質の向上

  1. (1)各国・地域の労働法令を遵守して賃金や労働時間の設定を行うとともに、生活賃金の考え方や公正な処遇も踏まえた賃金水準の確保を通じて、従業員の生活の質の向上を目指します。
  2. (2)最低賃金・賃金控除・出来高払い・時間外労働・年次休暇の付与などに関しても、法令に基づいて適正に把握・管理していくことに努めます。
  3. (3)従業員の雇用を重視し、雇用に関する法令を遵守します。

現代的奴隷労働の禁止

  1. (1)人身売買・児童労働・強制労働・その他いかなる形態の現代的奴隷労働も認めず、またそれらに関与しません。特に若年従業員については、各国・地域の法令に基づき、健康と安全に配慮します。

結社の自由と団体交渉権の尊重

  1. (1)結社の自由と団体交渉権を含む従業員の権利を尊重します。
  2. (2)対話を通じた良好な労使関係のもと、働きやすい労働環境の構築に努めます。

安全・防災・環境、従業員の健康

  1. (1)安全・防災・環境保全を最優先課題とし、社会と社員の安全と健康を守るとともに、持続可能な社会の実現に貢献します。安全・衛生に関する法令を遵守し、従業員の心身の健康が保たれるような職場環境の実現に努めます。

地域社会との共生

  1. (1)私たちの事業活動が地域社会に与える影響を理解し、各国・地域の文化や習慣を理解することに加え、地域住民の健康や先住民の権利を尊重し、良き企業市民として地域社会との共生を目指します。

技術の利用にあたっての配慮

  1. (1)事業活動において利用するデジタル技術、人工知能(AI)およびソーシャルメディア等が、人々のプライバシー、尊厳、平等、表現の自由その他の人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、これらの技術の利用にあたっても人権を尊重します。
  1. 人権デューデリジェンス
    私たちは、人権尊重の責任を果たすため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、人権デューデリジェンスの仕組みを構築し、これを継続的に実施します。具体的には、事業活動に伴う人権への負の影響を把握し、その防止または軽減を図るように努めます。
  2. 救済
    私たちが人権に対する負の影響を引き起こした、あるいはこれに関与したことが明らかになった場合、迅速かつ適切に対処し、救済に取り組みます。そのために、各国・地域において人権に関する通報・相談窓口を設置するとともに、実効性のある救済メカニズムの整備を進めていきます。
  3. 教育・研修
    私たちは、全ての役員・社員一人ひとりに人権問題への啓発を進め、正しい理解を促し、本方針を実践します。また、取引先等のビジネスパートナーへの理解・浸透に努めます。
  4. ステークホルダーとの対話・協議
    私たちは、人権尊重の責任を果たすため、人権課題に対して社内外のステークホルダーとの対話・協議を誠実に行います。
  5. 情報開示
    私たちは、人権尊重の取り組みを継続的にモニタリングし、改善していきます。また、その取り組みや進捗に関する情報は、ウェブサイト等を通じて適切に開示します。

本方針は、東レ株式会社の取締役会の承認を得ています。

2026年8月
東レ株式会社代表取締役社長 大矢光雄

人材育成方針

「東レグローバルHRマネジメント基本方針」に沿って、「人材の確保と育成」を最重要の経営課題として取り組んでおり、以下を目的に人材育成を進めております。

  • 「公正で高い倫理観と責任感をもって行動できる社会人」の育成
  • 「高度な専門知識・技術、独創性をもって課題解決できるプロ人材」の育成
  • 「先見性、リーダーシップ、バランス感覚をもって行動できるリーダー」の育成
  • 「グローバルに活躍できる社会人、プロ人材、リーダー」の育成

人材の確保に関しては、性別や国籍、新卒/キャリア採用を問わず、高い「志」をもってグローバルに活躍できる優秀な人材の確保に取り組んでおります。
人材の育成に関しては、従業員の健康に配慮した職場環境及び誇りとやりがいのある職場風土を実現するとともに、あらゆる階層・分野の社員に対して、マネジメント力強化、営業力・生産技術力や専門能力向上、グローバル化対応力強化などを目的とした様々な研修を計画的に実施し、次世代の経営を担い得る経営後継者育成と、第一線の「強い現場力」を担う基幹人材層拡大・育成強化を図っております。

東レグローバルHRマネジメント(G-HRM)基本方針取締役会承認を経て2011年11月制定、2021年12月改定

東レグループが企業理念“わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します”を“Innovation(革新と創造)”の実践によって具現化し、さらなる飛躍と発展を遂げ、すべてのステークホルダーにとって高い存在価値のある企業グループであり続けるためには、人材こそが最も重要な経営資源であり、高い「志」を持った人材の確保と育成に注力していかねばなりません。

東レグループは今後ともグローバル事業拡大を一層推進していきますが、そのなかにあって国・地域・文化・風土・会社の違いを超え、全東レグループが共通した考え方でHRマネジメントができるように、G-HRM基本方針を以下のとおり定めます。

各社はこの基本方針に沿って、HRマネジメントの具体的な仕組みを段階的に構築・整備し推進していくことが求められ、同時に国・地域・文化・風土・会社の個別事情に根ざした各社固有のローカルHRマネジメントの利点も重視し、両者を適切に融合しつつ進めることが肝要です。

  1. 基幹人材の安定的確保と長期人材育成
    1. (1)中長期的な視点を踏まえ、基幹人材を一定規模安定的に採用する
    2. (2)個々のキャリア形成を重視し、上司と部下が育成状況やキャリアの話し合いを充実させる仕組みを活用して、OJT(On-the-Job Training)を基本にOff-JT(研修)および自己啓発を通じた長期人材育成を図る
    3. (3)業務遂行に当たっては、目標による管理と人事評価を通じたフォローアップにより育成を図る
  2. グローバル競争に打ち勝つ人材の選抜と育成
    1. (1)東レ理念に共感する多様で優秀な人材をグローバルに確保・育成する
    2. (2)選抜された人材に対して高度な研修機会とグローバルなキャリア機会を提供する
    3. (3)グループ経営の一翼を担える人材を各社トップマネジメント層へ登用するとともに、東レ本社の中核ポスト並びに経営層への登用、選抜を行う
  3. 適材適所の追求と公正性・納得性・透明性の向上
    1. (1)能力と実績を重視し、人と組織にとって最適な職位登用を行う
    2. (2)例月給与・賞与等の賃金を決定する際には、職責・役割、職務遂行能力、目標による管理に基づく評価等を勘案し、公正性・納得性・透明性をもった制度運用を行う
    3. (3)チャレンジを重視するとともに、チームへの貢献にも配慮した人事管理・処遇施策を展開する
  4. 企業体質強化のための多面的な施策の継続実行
    1. (1)要員管理と労働コスト管理を会社全体としてメリハリを利かせながら継続して行う
    2. (2)フラットで効率的な組織構造と適正な管理職層規模を常に維持する
    3. (3)多様な働き方を適切にマネジメントすることで強靱な組織を形成する

体制

東レグループでは、東レ(株)社長を委員長とする「倫理・コンプライアンス委員会」のもと、「国内人権推進委員会」および「海外人権推進委員会」を設置し、人権尊重に関する取り組みを推進しています。
国内人権推進委員会では、東レ(株)の人権に関する活動方針を決定し、これに基づき東レ(株)の各事業(工)場において人権推進活動を実施しています。各職場において、明るく働きやすい職場環境づくりに努めています。
国内関係会社においては、東レ(株)の活動方針を参考に、各社が主体となって人権推進に取り組んでおり、東レ(株)はその活動を支援しています。
海外人権推進委員会では、海外における人権リスクの低減を重要なテーマとして位置づけています。具体的な推進にあたっては、各海外関係会社が主体となり、各国・地域の事情を踏まえた人権に関する取り組みを推進しています。

東レグループの人権推進体制図
取締役会
倫理・コンプライアンス委員会
委員長:代表取締役社長 社長執行役員
国内人権推進委員会
海外人権推進委員会
東レ(株)
各事業(工)場
国内関係会社
海外関係会社
監督・
意思決定
報告
指示
報告
指示
報告
方針決定・
活動フォロー
報告
活動支援・
指導
報告
活動支援・
指導
報告
業務執行機能
東レグループの人権推進体制図

目標と実績

「CSRロードマップ2025」の目標

  1. 東レグループ全体で人種、信条、肌の色、性(性自認・性的指向を含む)、宗教、国籍、言語、障がいの有無、身体的特徴、財産、出身地などによるあらゆる差別の禁止を徹底するなど、人権を尊重し、実力による公平な登用を行います。
  2. 東レグループ全体で従業員の健康、多様性に配慮した職場環境および誇りとやりがいのある職場風土を実現し、人材を計画的に確保・育成します。

主な取り組みとKPI実績

KPI
人権推進
(1)人権教育・研修を実施します。
8-❶
(2)法定障がい者雇用率を達成します。
8-❷
(3)東レグループ各社に内部通報・相談窓口を設置し、問題が発生した場合には迅速かつ適切に対処し、人権への負の影響の防止または軽減につなげるよう努めます。
-
人材育成
(4)基幹人材のキャリア形成の取り組みとして、人事情報システムを活用した「キャリアシート」を実施しており、その運用を強化していきます。
8-❸
(5)海外ナショナルスタッフの基幹人材を計画的に確保、育成、登用していきます。
-
(6)女性の積極的活用と女性が働きやすい職場環境の整備に取り組んでいきます。
-
(7)仕事と家庭の両立支援策の利用促進・運用向上に取り組んでいきます。
8-❹、8-❺
(8)長時間労働を削減します。
8-❻
(9)組合員年休取得を促進します。
8-❼
KPI(重要目標達成指標) 目標/実績
2023年度 2024年度 2025年度
100%/100% 100%/100% 100%/100%
100%/59.4% 100%/52.9% 100%/61.8%
対前年比対象拡大/対前年比101% 対前年比対象拡大/対前年比99% 対前年比対象拡大/対前年比100%
100%/99% 100%/99% 100%/99%
対前年比向上/対前年比106% 対前年比向上/対前年比106% 対前年比向上/対前年比101%
対前年比低減/対前年比81.1% 対前年比低減/対前年比120.3% 対前年比低減/対前年比119.5%
90%/95.7% 90%/93.7% 90%/95.5%
  1. 報告対象範囲:8-❶、8-❸は東レグループ。 8-❷は東レグループ(国内)。8-❹は東レ(株)在籍社員、8-❺は東レ(株)在籍社員(海外勤務者除く)、8-❻、8-❼は東レ(株)。

「CSRロードマップ 2025」(対象期間:2023-2025年度)におけるCSRガイドライン8「人権推進と人材育成」の主な取り組みやKPIはこちら(889KB)PDFをご覧ください。

2026年度からのサステナビリティ目標

2026年度からは、「東レ・サステナビリティ原則」に基づき新たに定めた「サステナビリティ目標」のもと、活動を展開しています。詳細は以下のページをご覧ください。

サステナビリティ目標 2026年度 2027年度 2028年度
EXスコア®※1(エンゲージメントスコア) 前年度比改善 前年度比改善 70以上
管理職女性比率 前年度比改善 前年度比改善 前年度比改善
新卒採用女性比率 常時35%以上を確保
基幹ポスト後継者充足率 常時150%以上
海外NS育成研修参加数 毎年100人以上
アブセンティーイズム(長期欠勤率) 0.40%以下
  1. ※1 EXスコア®:組織状態を示す指標であり、各個人の期待値と実感値、そのギャップを測定。期待・実感ともに高く、ギャップが小さい場合にスコアは最大化される。調査委託先である(株)HRBrainの登録商標。

具体的な取り組み

関連する声明類