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持続可能な物流の推進
東レグループは、持続可能な社会の実現に向け、物流分野においても環境負荷の低減と効率化に取り組んでいます。物流は事業活動を支える重要な基盤であると同時に、CO2排出や労働環境などの社会課題とも密接に関わっています。
東レグループでは、物流品質の向上と環境負荷低減の両立を目指し、パートナー企業との協働を進めるとともに、基本方針説明会の開催、ホワイト物流推進運動への参加、構内物流改革、スマートパレットの導入など、さまざまな取り組みを進めています。これらの活動を通じて、効率的で持続可能な物流体制の構築を目指しています。
社外との連携
物流基本方針説明会の開催
物流基本方針説明会(2025年度開催時)
東レ(株)は、物流における環境負荷の軽減と品質向上に継続的に取り組むため、年1回、「東レ物流基本方針説明会」を物流委託先向けに開催し、物流施策に対する理解促進とパフォーマンスの向上を図っています。また、優れた物流品質の取り組みを実践する物流委託先を表彰するなど、サプライチェーン全体での継続的な改善を促進しています。
2025年度開催実績
| 参加会社数 | 形式 |
|---|---|
| 61社 | オンラインと会場の併用 |
「ホワイト物流」推進運動※1への参加と物流環境改善
東レ(株)は、国民生活や産業活動に不可欠な物流機能を安定的に確保し、経済成長に寄与することを目的とした「ホワイト物流」推進運動に参加しています。
この運動では、以下の自主行動宣言に沿って、取引先や物流事業者との相互理解と協力のもと、物流環境の改善に積極的に取り組んでいます。
| 自主行動宣言 | |
|---|---|
| 物流の改善提案と協力 | トラック運転者の拘束時間増につながる附帯作業などの削減に真摯に対応します。 |
| パレット等の活用 | 荷役時間削減のため、リフト荷役が可能な荷姿(パレットなど)の拡大を図ります。 |
| リードタイムの延長 | 輸送距離に応じた十分なリードタイムを確保します。 |
| 法令遵守状況の考慮 | 契約する物流事業者の選定時には、関係法令の遵守状況を最優先事項として考慮します。 |
| 働き方改革等に取り組む物流事業者の積極的活用 | 働き方改革、輸送の安全性向上、物流品質改善に取り組む物流事業者を積極的に活用します。 |
| 異常気象や天災時の運行の中止・中断等 | 異常気象や天災が発生した場合は、トラック運転者の安全を最優先事項として考慮します。 |
- ※1 「ホワイト物流」推進運動:深刻化するトラック運転者不足に対応するため、国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省が連携し、荷主企業と物流事業者が参画する取り組み。トラック輸送の生産性向上や物流の効率化、女性や60代以上の運転者も働きやすい「ホワイト」な労働環境の実現を目指す。
物流2024年問題への対応(フィジカルインターネット実現会議)
日本の物流業界では、小口貨物を中心とする物流が増加する一方で、ドライバーや船員の高齢化、人手不足を背景に輸送力不足が続いています。さらに、いわゆる「物流の2024年問題」を背景に、輸送力不足への対応は今後も引き続き重要な課題となっています。このままでは2030年に輸送力が34%不足すると予測されており、化学業界にとって極めて重要なテーマです。
また、化学品物流は、貨物の物性・梱包形態・重量などの特殊性から、輸送方法や条件が多岐にわたり、個社単位で効果的な施策を講じることが難しい状況です。
こうした課題の解決に向け、東レ(株)は三菱ケミカルグループ、三井化学(株)、東ソー(株)とともに事務局を務め、経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」内に、化学品ワーキンググループを2023年7月に設置しました。
このワーキンググループには、荷主事業者や物流事業者を中心とする87団体(86企業・1大学、2026年4月時点)に加え、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、(一社)日本化学工業協会、石油化学工業協会などが参加し、2024年3月29日には自主行動計画を発表しました。(詳細はこちら(469.8KB)PDF)
加えて、参加企業のうち、三菱ケミカルグループ、三井化学(株)、東ソー(株)、(株)プライムポリマー、東レ(株)は、2024年9月から12月にかけて、政府が本会議において推進する物流データプラットフォームや物流情報標準ガイドラインを活用した実証実験を、国土交通省および経済産業省の補助金を活用して実施しました。
実証実験では、四日市(三重県)~市原(千葉県)間のコンビナート往復物流の実地検証に加え、中京~北陸間における共同物流のシミュレーション、市原~東北間における輸送効率の分析を行い、共同輸送の効果と共同物流プラットフォームの有用性を検証しました。
特に実地検証においては、トラック積載率が20ポイント改善し、CO2排出量は28%削減されるなど、顕著な効果が確認できました。(詳細はこちら)
自動運転トラックの活用
トラックドライバー不足が深刻化する中、東レ(株)は、(株)T2の自動運転トラックを製品の輸送に導入し、持続可能な物流体制の構築に向けた検証を進めてきました。
運行区間は、東名高速道路の綾瀬スマートIC(神奈川県)から新名神高速道路の茨木千提寺IC(大阪府)までの約440kmに設定しています。
2025年9月から2026年4月までに計4回の実証試験を実施しました。
これらの結果を踏まえ、2026年度よりABS樹脂「トヨラック™」の商用運航を開始しました。
さらに、環境に配慮した輸送の実現に向け、軽油にバイオディーゼル燃料を5%未満混合した「B5軽油」や、廃食油・廃動植物油脂を主な原料とし、CO2排出量の大幅な削減が期待される「リニューアブルディーゼル燃料」などの低炭素燃料についても、実証試験に続き商用運行で利用しています。
東レ(株)は、これまでの実証試験で得られた知見を生かし、2026年度より開始した商用運行を出発点として、(株)T2と連携しながら、自動運転トラックによる持続可能な物流体制の構築を推進しています。
構内物流改革
荷役作業の改善
東レ(株)三島工場のフィルム倉庫では、トラックが入場してから積み込みを開始するまでに待機時間が発生することが課題となっていました。この課題に対し、「ホワイト物流」の取り組みの一環として、ドライバーが入場前にウェブサイト上で積み込み作業の混雑状況を確認し、適切なタイミングで積み込み予約ができるシステムを2021年度に導入しました。その結果、待機時間の削減につながっています。
また、2022年度には、出荷関連帳票の電子化を実施しました。従来は紙で出力していた帳票をタブレット端末で管理することで、帳票の受け渡し作業が不要となり、作業員およびドライバーの負担軽減に加え、ペーパーレス化にも寄与しています。
| 取り組み項目 | システム導入前 | システム導入後 |
|---|---|---|
| トラックの平均待機時間削減 | 56分/車 | 15分/車(73%削減) |
| 出荷関連帳票の電子化 | 120枚/日 | 0枚/日 |
こうした取り組みは他の工場でも展開しています。岐阜工場では、2022年度から2023年度にかけて積み込み予約システムおよび帳票の電子化を導入しました。また、名古屋事業場・岡崎工場・千葉工場では、積み込み予約システムを導入しました。
今後も荷主として物流の効率化に貢献するため、構内物流の改革を推進していきます。
スマートパレット活用による生産性の向上
東レ(株)は、ユーピーアール(株)が開発したアクティブRFIDタグ搭載スマートパレットの活用に、業界で初めて取り組んでいます。
従来、パレットは紛失や流出防止のため輸送や保管の過程で交換され、その都度積載製品の載せ替えが必要でした。
一方、スマートパレットは、搭載されたアクティブRFIDタグにより、遠隔での入出在庫管理が可能となり、パレットの交換が不要になります。
スマートパレットの活用により、製品を生産から保管、輸送、顧客での使用まで同一パレットで運用できます。これにより、トラック運転者や倉庫担当者の荷役作業が削減され、積み下ろし時間も短縮されます。こうした取り組みは、労働環境の改善と物流生産性の向上につながっています。
さらに、空パレットの回収には東レ(株)の荷資材回収体制を活用し、回収に伴うCO2排出量も削減しています。
物流に関わる環境負荷低減
物流におけるCO2排出量原単位の前年対比削減率
目標
1.0%
実績
2.6%
(直近5年間では年平均5.7%削減)
2025年度・東レグループ(特定荷主:東レ、TAF)
- 物流におけるCO2排出量とは、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(改正省エネ法)」で定める“貨物輸送事業者に委託する貨物の輸送に関するCO2排出量”を指す。
- CO2排出量原単位とは、「物流におけるCO2排出量÷物流に密接に関連する数値」を指す。
- 特定荷主とは、年間の貨物輸送量が合計3,000万トンキロ以上の荷主を指す。特定荷主は、CO2排出量原単位を中長期的にみて年平均1%以上低減する努力をするよう義務づけられている。
東レグループでは、輸送距離の短縮、環境負荷の少ない船舶や鉄道への切り替え(モーダルシフト)、輸送効率の向上などの取り組みを積極的に進め、物流におけるCO2排出量の削減に努めています。
- 「東レグループ原単位増減率」は、「特定荷主各社の原単位増減率×各社のCO2排出量/全体のCO2排出量の合計」を指す。
- 各社の原単位増減率は、以下の計算で算出する。
CO2排出量/物流に密接に関連する数値(東レ(株)は売上高、TAFは出荷量)の増減率(2014年度を100とする)
環境負荷低減施策によるCO2削減効果(東レ(株))
| 取り組み内容 | CO2削減量(千トン) |
|---|---|
| まとめ輸送、積載率の向上など | 0.330 |
| 在庫拠点の見直し、最寄港揚げなど | 0.088 |
| モーダルシフト | 0.025 |
| 合計 | 0.443 |
東レ滋賀事業場でのEVトラック導入(東洋運輸(株))
EVトラック出発式
東洋運輸(株)は、東レの工場で初の試みとして、滋賀事業場内で貨物を運搬する車両にEVトラックを導入しました。これによるCO2排出量の削減効果は約1トン(切り替え前に比べ99.7%削減)となります。
梱包荷資材の回収と再使用拡大
東レグループでは、製品使用後に残る荷資材を回収し、再使用する体制をグローバルに構築しています。回収センターでの一時在庫など、回収途中の荷資材在庫の情報を社内で共有し、新品資材の購入量削減に取り組んでいます。
荷資材回収金額(2025年度・東レ(株))
| 荷資材回収金額 | 前年度比 | 主な要因 |
|---|---|---|
| 640.8百万円 | 0.2億円(3.1%)増加 | フィルム製品での製品・荷資材の大型化に伴う回収金額の増加 |
関連情報
モーダルシフトの推進
東レ(株)では、「物流基本方針」に基づき、環境に配慮した物流の推進と、コスト削減による競争力強化の両立を目指しています。その一環として、トラック輸送から鉄道・船舶輸送への切り替え(モーダルシフト)を積極的に推進しています。モーダルシフトは、近年深刻化しているドライバー不足によるトラック輸送の脆弱化への対策としても有効な手段です。
製品や原料などあらゆる輸送でモーダルシフトの可能性を追求し、関係先と連携しながら、流通過程における環境負荷の低減に取り組んでいます。
モーダルシフト比率の推移(2025年度・東レ(株))
| モーダルシフト比率 | 前年度比 | 主な要因 |
|---|---|---|
| 33.1% | 1.8ポイント増 | 船輸送への切り替えの推進 |
エコレールマーク、エコシップマークの取得

東レ(株)は、環境にやさしい鉄道貨物輸送に積極的に取り組む企業として、国土交通省と(公社)鉄道貨物協会から「エコレールマーク取組企業」に認定されています。また、繊維製品「東レ テトロン™」とPBT樹脂製品「トレコン™」は、エコレールマーク商品としても認定を受けています。
さらに、鉄道輸送が難しいフィルム製品については、2017年度に「エコシップマーク」を取得しました。この制度は、船舶輸送への切り替えを推進し、環境負荷の少ない海上輸送を一定割合以上利用する事業者を認定するものです。
自然災害リスクへの対応
主要社外在庫拠点の内、自然災害リスクを評価し、重大なリスクへの対策が完了した拠点の比率(拠点数・%)
目標
90%以上
実績
88.2%
2025年度・東レ(株)
東レ(株)では、台風や豪雨などの自然災害による被害を防止・軽減するため、国内の社外倉庫拠点における自然災害リスクを継続的に調査し、社外倉庫と協力して対策を進めています。評価は国や自治体のハザードマップや倉庫構造をもとに行い、リスクが高い拠点には現地調査を実施しています。対策として、防災行動マニュアルの作成、ウォーターゲートの設置、床面のかさ上げなどを講じています。
ウォーターゲートの設置
床面のかさ上げ
物流安全・品質向上
東レ(株)では、輸送・保管品質の向上プロジェクトを推進しています。物流パートナーに対しては、事故分析表や物流品質向上レポートの発行、現場ラウンドや品質会議の開催などを通じて、物流安全・品質向上・トラブル削減に向けた取り組みを一体となって進めています。
さらに、年1回、品質向上に大きく貢献した物流パートナーを表彰し、輸送・保管時における製品の破損や遅配・誤配などのトラブル防止に努めています。
| 2025年度表彰パートナー(50音順) | 伊予商運(株)/四国名鉄運輸(株)/(株)中央倉庫/長浜冷蔵(株)/ニッコン(株)/日水物流(株)/三井倉庫(株)/(株)ミツノリ |
|---|
物流事故発生件数の推移(東レ(株))
昨今、物流業界の人手不足により、輸送途上での製品破損などの事故が増加傾向にあります。
東レ(株)においても、小口貨物などを扱う路線輸送において、製品破損事故や誤配などが増加傾向にあることから、事故件数の多い物流パートナーを中心に改善策を協議し、現地訪問や教育活動などを通じて、物流パートナー各社と一体となって、物流品質の向上に努めています。
| 年度 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|
| 事故件数 | 538 | 622 | 589 | 544 | 507 |
物流における法令遵守と安全確保
東レグループでは、物流における法令遵守と安全確保を最優先課題と位置づけ、輸出入規制対応、第三者認証取得推奨、緊急時対応体制の整備など、幅広い取り組みを進めています。これらの活動は、国際的な規制や安全基準に適合し、サプライチェーン全体の信頼性を高めることを目的としています。
物流における法令遵守と安全確保の取り組み一覧
| 取り組み内容 | 目的 | 対象 | 実施内容・実績 |
|---|---|---|---|
| 安全保障貿易管理に関する講習 | 東レ製品の安全保障貿易管理の徹底 | リスト規制品を寄託している社外倉庫拠点 |
|
| 物流パートナーへの第三者認証取得推奨 | 流通過程における法令遵守、品質向上、環境保全 | 物流パートナー | 各種第三者認証(ISO9001、ISO14001)、グリーン経営認証※2、Gマーク制度※3の取得推奨 |
| イエローカード※4による緊急時対応 | 事故発生時の被害拡大防止 | 輸送業務 |
|
| 過積載防止 |
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輸送業務 | 物流基本方針説明会などを通じた過積載防止の周知徹底 |
| 輸出入におけるコンプライアンス・セキュリティ対策 |
|
輸出入業務 | C-TPAT※5の取得(東レインターナショナル(株)米国法人) |
| 物流パートナー | AEO※6の取得促進 |
- ※2 グリーン経営認証:グリーン経営(環境負荷の少ない事業運営)推進マニュアルに基づき、環境改善に向けた取り組みを一定レベル以上行っている事業者を、(公財)交通エコロジー・モビリティ財団が審査し、認証・登録する制度。
- ※3 Gマーク制度:国土交通省が推奨する制度。法令遵守、安全性への積極的な取り組みなどを、全日本トラック協会に設置された安全性評価委員会が事業所ごとに評価し、基準をクリアした事業所を安全性優良事業所として認定する。
- ※4 イエローカード:危険有害性物質の品名、該当法規、危険有害性、事故発生時の対応処置、緊急通報、緊急連絡先、災害拡大防止措置の方法などを簡潔に記載したカード。
- ※5 C-TPAT : Customs-Trade Partnership Against Terrorismの略。2004年11月に米国税関国境警備局によって導入された自主参加型プログラム。米国の輸入に携わる分野の民間事業者との国際的な連携により、グローバルサプライチェーンを通じたセキュリティ確保、強化を目的とする。
- ※6 AEO : Authorized Economic Operatorの略。2006年12月にEUで導入された制度で、貨物のセキュリティ面でコンプライアンスに優れた輸出入者などに税関手続きの優遇措置を与えるもの。日本では2007年の関税法改正により、優良事業者に対する税関手続きの優遇措置および措置を受けるための資格制度を制定。