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労働安全・衛生・防災活動
ゼロ災害を目指す東レグループ全体の取り組み
東レグループでは、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格(ISO45001やOHSAS18001など)に準拠した監査システムを構築し、独自の安全活動を推進しています。
毎年、各社・各工場を対象に役員などによる安全・衛生・防災に関する監査を実施し、安全・衛生・防災の管理状況を統一した視点で評価し、改善を促すとともに、優れた取り組みをグループ内に展開し、グループ全体のレベルアップに努めています。
従業員は東レグループの重要なステークホルダーであり、安全が確保されて初めて能力を発揮できます。「一人ひとりかけがえのない命を守る」という人間尊重の精神に則り、すべての役員と従業員が一体となってゼロ災害を目指し、地道な安全活動に取り組んでいます。
この意識を全従業員に浸透させるため、東レグループでは毎年「東レグループ安全スローガン」を定めています。2025年度は従業員一人ひとりの安全意識の向上と基本ルールの徹底を目的に、「安全最優先 ゼロ災追求 ―ルール遵守で 基本の徹底―」としました。2026年度もこのスローガンを継続し、安全意識の向上とルール遵守の徹底を進めています。
防災については、事故が発生すれば社内だけでなく近隣へも大きな影響を及ぼす可能性があるため、火災や爆発は決して起こしてはならないという強い決意のもとで活動に取り組んでいます。
さらに、東レグループでは、各国の労働安全衛生法に基づき安全衛生委員会を設置し、労使が一体となって従業員の安全と健康の確保に取り組んでいます。併せて、年齢や性別、ライフステージも踏まえた、快適な職場環境の整備を進めています。
東レグループ安全スローガン
安全最優先 ゼロ災追求
―ルール遵守で 基本の徹底―
2025年東レグループ安全大会(東レ総合研修センター)
毎年、東レ(株)の社長や副社長をはじめとする役員、各社・各工場のトップが参加する「東レグループ安全大会」を開催しています。大会では活動方針や重点活動項目を共有するとともに、各社・各工場の安全活動報告や表彰を行い、安全意識の向上や好事例の横展開を図っています。2025年は、東レ総合研修センターをメイン会場とし、国内外の各社・各工場からオンライン参加を含め約700人が出席し、2026年の完全無災害達成を誓いました。
また、国・地域単位や各社・各工場でも安全大会(セーフティーサミット)や東レ(株)役員によるラウンドを開催し、スローガンや活動方針、重点活動項目を周知して安全活動を推進しています。
加えて、東レ(株)では経営層と労働組合が定期的に労使経営協議会を開催し、安全・衛生に関する課題について議論し、職場環境の改善に向けて議論を重ねています。さらに、各事業(工)場では責任者や管理者と労働組合員が参加する安全衛生委員会を毎月開催し、安全活動方針の共有、直近の労働災害の再発防止指示、その他安全・衛生に関する事項の報告や討議を行っています。
安全成績
重大災害件数
目標
0件
実績
0件
2025年(暦年)・東レグループ
火災・爆発事故件数
目標
0件
実績
0件
2025年(暦年)・東レグループ
安全文化の定着に向けた取り組み
東レグループでは、個々の災害の本質的な原因を究明し、再発防止策を講じるとともに、得られた教訓を生かして類似災害・事故の防止に努めています。また、すべてにおいて安全最優先を実行するように、一人ひとりの意識向上を図っています。
安全活動は、シンプルなことを繰り返し実践することが重要です。全員が例外なく安全の基本を徹底し、それを習慣として定着させることが不可欠です。そのため、まず、3S/5S※1の徹底に取り組み、清潔(職場を保つ気持ち)と躾(ルールを守る気持ち)を全員が身につけるよう努めています。さらに、動線の見直しなどを通じて作業の安全化を図るとともに、作業に伴う身体的負荷やリスクに応じて保護具の使用を含めた適切な管理を徹底しています。また、管理者が繰り返し現場を巡回し、良い行動を積極的に評価することで職場のモラル向上に努めています。
加えて、日常行動災害の撲滅にも取り組んでいます。どのような状況でも事故につながる可能性を考慮し、常に安全最優先で行動するよう管理者が継続して指導し、各職場の緊張感を維持しています。類似災害撲滅活動では、グループ内で労働災害発生時に発行される災害連絡書をもとに、各職場で掛長・主任層がリーダーとなり、原因を自職場の具体的な危険に置き換えて議論し、全員の安全意識を高め、基本の徹底を図っています。
- ※1 3S/5S:3Sとは、「整理・整頓・清掃」を表す。5Sとは、それに「清潔・躾」を加えたもの。
- ※2 非正規社員(パート、嘱託、アルバイト、派遣)も含む(なお、海外は派遣を含まない)。
- ※3 殖産会社:東レ(株)出資の工場運営付帯業務請負会社
労働災害度数率の推移と課題
東レ(株)では1980年から、東レグループとしては1990年から、すべての労働災害統計を記録しています。上記の取り組みにより、統計開始当初に比べ、全労働災害件数および休業度数率は減少しており、日本の製造業の休業度数率を下回る水準を維持しています。しかし、東レグループが目標としている世界最高水準の安全管理レベルである0.05以下に対しては、未達となっています。
その要因のひとつとして、関係会社における休業災害の多さが挙げられます。これを踏まえ、東レ(株)の国内工場(マザー工場)による支援・指導を通じて、関係会社の安全管理強化に取り組んでいます。
世界最高水準の安全管理レベル達成(目安:休業度数率0.05以下)
目標
0.05以下
実績
0.38
2025年(暦年)・東レグループ
- ※4 労働災害度数率:100万労働時間あたりの労働災害による死傷者数
PDCAに基づく危険性特定・リスク評価・事故調査
東レグループでは、労働災害ゼロを目指し、安全管理の基本であるPDCAサイクルに基づいた取り組みを継続的に推進しています。従業員が潜在的な危険を発見した場合には管理者へ報告し、対策や改善内容をフィードバックする仕組みを整備しています。
さらに、災害発生時には応急対策検討会や災害対策会議を開催し、原因の究明および再発防止策の徹底を図っています。併せて、機械・設備を含む各種リスクの特定・評価を行い、適切な予防や対応、維持管理に取り組んでいます。
これらの活動を通じて、現場の安全意識の向上を図るとともに、災害ゼロに向けた取り組みの強化を進めています。
2024年/2025年 労働災害(休業+不休業)の主原因内訳(東レグループ)
2023年以降、「ルール遵守徹底活動」を重点的に推進してきましたが、2025年においても、安全基本ルールや作業手順違反による災害が前年と同様に6件発生し、依然としてゼロには至っていません。
また、「作業前安全確認の徹底」を重点活動として取り組みましたが、作業管理不足による災害は14件から24件へ増加しました。
これらの結果を踏まえ、引き続き災害ゼロの実現を目指し、2025年の災害分析に基づく改善活動をPDCAサイクルに沿って継続していきます。
安全文化の醸成と防災体制強化
東レグループでは、労働安全衛生マネジメントシステムの枠組みのもと、従業員や協力会社を含めた教育・訓練の充実、物流や現場での安全管理、さらには防災訓練や体制強化など、多角的な施策を通じて、事故や災害の未然防止と迅速な対応力の向上を図っています。
安全・防災教育の充実
東レグループでは、従業員の多様性に配慮しつつ、言語や理解度、作業に必要な安全情報についての教育・研修を実施することで、安全文化の醸成と防災体制の強化に取り組んでいます。
また、安全・防災上の危険情報についても、従業員が理解しやすい形での周知に努めています。
従業員向けの教育・研修内容
| 対象 | 教育・研修内容 | 実施タイミング |
|---|---|---|
| 新入社員 | 労働安全に関する具体的な手順・社内ルールの教育、理解度確認 | 入社直後 |
| 中堅層・管理職 | 管理監督責任、労働安全衛生マネジメントシステムの実践的な事例研究を交えた教育 | 各種集合研修時 |
これらの安全・防災教育に加え、危険感受性(危険を危険と感じる力)を高めるため、各社・各工場において工夫を凝らした体感教育を実施しています。
安全面では、ロールへの巻き込まれや感電・残圧などの危険を擬似体験できる装置の導入に加え、現場をVR化し、事故の危険性をよりリアルに体感できる教育を行っています。
防災面では、火災・爆発のデモンストレーション実験を通じてその危険性を体感する教育に加え、防災基礎知識教育を社員教育体系に組み入れて実施しています。また、これらの教育についてはeラーニングも導入し、より多くの従業員が受講できる環境を整えています(2025年度受講者数:約1,200人)。
さらに、社内報「ぴいぷる」では、身近な安全・防災に関する情報を掲載し、防災基礎知識の周知に努めています。
新入社員合同研修における疑似体験教育(東レ(株))
火災・爆発デモンストレーション実験教育(東レ専修学校)
疑似体験教育(東レ・デュポン(株)、東レ・カプトン(株))
協力会社と一体となった安全管理
フォークリフト従事者訓練(東レ(株)那須工場)
東レ(株)では、構内の殖産会社および関係会社による請負業務についても、安全パフォーマンスやリスクを事前に把握した上で、当社と一体となって同様の安全活動に取り組んでいます。
毎月開催する安全衛生委員会や安全協議会において、安全パフォーマンスのモニタリングを行うとともに、安全活動の取り組み状況を共有し、請負会社とのコミュニケーションを深めながら活動の方向性をそろえています。
また、フォークリフト作業や刃物作業などの現場を実査し、改善点があればアドバイスを行い、安全で作業しやすい環境づくりを進めています。さらに、請負会社からの作業・設備に関する改善提案を受け、ハード面での安全性向上にも取り組んでいます。
協力会社の安全管理
関係会社と構内協力会社も参加した安全大会。各部署からの報告の様子(東レ(株)岐阜工場)
東レグループでは、構内でともに働く協力会社の方々の安全確保を重要な課題と位置づけ、同じ職場で働く仲間として、東レグループのルールやガイドラインの周知・遵守を徹底しています。
毎月実施する安全衛生委員会には協力会社の代表者も参加し、定期的に開催する安全協議会や連絡会において、協力会社の意見や要望を把握しながら、東レグループの方針や施策を共有しています。また、非常駐の協力会社に対しても、作業前に教育を実施し、安全管理の徹底を図っています。
さらに、各工場では、安全ポスターや安全標語への応募、安全提案活動などを通じて、安全活動全般にわたって協力会社とともに推進しています。
物流安全への取り組み
東レ(株)では、危険有害性物質を輸送する際の安全管理について、お客様、原料メーカー、運送業者との間で具体的な責務と役割を定めた保安協定を締結し、物流の安全に努めています。
防災訓練による事故への備え
東レグループでは、緊急時を想定した各種訓練を計画的に実施し、応急対応体制の整備や防災設備の点検・改善を通じて備えの充実を図るとともに、その結果を今後の改善に生かし、対応力の向上に取り組んでいます。
各社・各工場では、それぞれの特性に応じた火災・爆発への備えとして、防消火訓練を実施しています。放水訓練に加え、負傷者の救助、薬液流出時の対応、緊急時における官庁や地域住民への速やかな通報など、さまざまな訓練を行っています。
さらに、2012年からは大規模地震発生時に備えた全社対策本部設置訓練を毎年実施しており、従業員の安否確認、設備の被害状況の把握、サプライチェーンへの影響の確認など、南海トラフ巨大地震をはじめとする広域災害も想定した訓練を行っています。
2024年1月の令和6年能登半島地震では、東レ(株)石川工場および創和テキスタイル(株)が被災しました。この教訓を踏まえ、人命最優先を大方針とした「大規模地震発生時の基本方針」を制定しました。各社・各工場では本方針に基づき、初動対応訓練に加え、海に隣接する工場では津波を想定した避難訓練も実施しています。
防災訓練(東レハイブリッドコード(株))
消火訓練(創和テキスタイル(株))
防災訓練(東レ(株)三島工場)
防災訓練(東麗膜科技(佛山)有限公司)
防災力強化への取り組み
東レグループでは、防災力のさらなる強化に向け、2025年度に火災防止プロジェクト活動(FP※5プロジェクトPartⅡ)の一環として、東レ(株)および国内関係会社において、防災点検や対策を推進するFPキーパーソンの認定教育を実施し、263人を認定しました。
また、防災専門部署が現地査察や検証が必要と判断した火災事故や火災ヒヤリ・ハットについて、本質原因の究明や再発防止対策に関する支援・指導を行いました。
さらに、大規模地震への対応では、震度だけでなく余震の影響、要員確保、従業員および家族の心情なども考慮し、人命最優先を大方針としています。そのため、地震発生時の緊急対応から事業継続・復旧活動までを「東レグループ大規模地震に対する事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)」にまとめ、東レグループとしてなすべきことを明確化し、平常時からの備えを強化しています。特に重要製品については、サプライチェーンを含めたBCPを策定し、継続的にリスク低減を図っています。
- ※5 FP : Fire Prevention(火災防止)
化学物質・石綿による健康影響への対応
化学物質の労働衛生管理
東レグループでは、従業員(嘱託、パート、派遣を含む)の健康リスクに配慮し、化学物質の取り扱いに関する安全情報の適切な管理および周知を行うとともに、以下の対応を行っています。
1. 化学物質の取り扱い状況調査
毎年、各社・各事業(工)場にて取り扱う化学物質の年間取扱量や保有量を調査・把握し、労働安全衛生法に定められた変異原性などの危険性を明記してリスクを共有しています。
2. 化学物質リスクアセスメントの実施
作業環境測定やECETOC-TRA、CREATE-SIMPLE、コントロールバンディングなどを活用し、化学物質のリスクアセスメントを実施しています。その結果に基づき、必要に応じて作業者への有機溶媒や粉塵などの暴露対策を徹底し、従業員の健康を守っています。
3. 内部監査によるフォロー
毎年実施する安全・衛生・防災・環境監査で、化学物質の取り扱い方法や作業環境状況を客観的に評価し、抜けや洩れの有無を確認したうえで、必要に応じて改善を行っています。
4. その他
取り扱い物質のリスクに応じて、作業環境測定や作業実査を通じた環境の維持・改善などを実施しています。また、健康診断による従業員の健康状態の継続的なフォロー、取り扱い薬品の危険性に関する教育、作業記録の作成・保管を通じて、健康被害防止に努めています。
石綿による健康影響への対応
東レグループでは、過去に石綿を含む建材などの製造・輸入・販売を行っていたほか、一部の建屋や設備に石綿を含む建材・保温材などを使用していました。石綿による健康被害が社会問題化した2005年度以降、設備対策を推進するとともに、過去に石綿を取り扱った可能性のある東レグループの社員・退職者のうち、希望者に対して石綿健康診断を実施しています。診断の結果、所見が認められた方には、労災申請への協力や継続検診の実施などを通じて、誠意をもって適切に対応しています。なお、これまで近隣住民の方からの健康影響に関する相談はありません。
現在も健康影響の状況について、継続的に確認し、必要な対応を行っています。