安全・防災・環境保全

安全・防災・環境保全

原材料の調達から製品の製造、供給、廃棄に至るまでのすべてのプロセスにおいて、社会と社員の安全と健康を守り環境保護に努めます。

基本的な考え方

労働安全・防災

東レ(株)は、「企業行動指針」の第1番目に「安全と環境」を掲げ、「安全・防災・環境保全を最優先課題とし、社会と社員の安全と健康を守るとともに、持続可能な社会の実現に貢献します」との方針のもと、グループ全体で安全・防災活動を推進しています。
この考えを具体化するため、経営トップから工場長、管理者までが一体となって行動するトップダウン型の体制を基本とし、労働安全衛生マネジメントシステムに準拠した独自の仕組みを構築しています。
そして、東レグループ共通の方針のもと、すべての拠点で同一基準に基づいた安全活動を展開し、CSRロードマップで設定したKPI(重要目標達成指標)の達成状況を統計的に評価しています。
また、毎年「安全スローガン」や「安全・衛生・防災・環境活動重点活動項目」を定め、各社・工場の年間活動計画に反映しています。これらの計画は、PDCAサイクルに基づき、各種委員会や監査を通じて進捗を管理しています。
監査においては、東レ(株)の役員や海外各国の代表、関係会社の役員・工場長、安全・環境スタッフなどが監査者となり、国内外の製造拠点を対象に、統一されたチェックリストに基づいて机上および現場で実施しています。その結果は、次年度の活動計画やスローガン・方針の策定に反映し、グループ全体の安全レベル向上に活かしています。

環境保全

持続可能な社会の実現に向け、東レグループでは環境負荷の低減を重要課題と位置づけ、2000年度より「環境中期計画」を策定し、GHG排出量売上収益原単位削減、化学物質(PRTR法対象物質、VOCなど)の大気排出量削減、廃棄物削減などに取り組み、KPIを設定して継続的な改善を図っています。
2018年に公表した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」では、2030年度までに生産活動によるGHG排出量および用水使用量の売上収益原単位を2013年度比で30%削減する目標を掲げ、2020年度からの中期経営課題「プロジェクト AP-G 2022」では、全社横断プロジェクト「チャレンジ30プロジェクト」を通じて削減に向けた取り組みを行いました。
その結果、2022年度には2030年度目標を前倒しで達成しました。
これを受けて、GHG排出量および用水使用量の売上収益原単位の削減目標を30%から50%以上へと大幅に引き上げ、国内のGHG排出量についても2013年度比で40%以上削減する新たな目標を設定しました。
2023年度からは「CSRロードマップ 2025」に基づき、3カ年のKPIを設定しています。併せて、プロジェクト名を「チャレンジ50+プロジェクト」に改称し、省エネ活動、再生可能エネルギーの導入、脱石炭の推進などを強化しています。さらに、VOC排出量の削減や廃棄物リサイクル率の改善についてもKPIを設定し、重点対象会社・工場を定めて管理を強化しています。

方針等

環境10原則2000年1月制定・2011年6月改訂

  1. 1. 環境保全の最優先
    全ての事業活動において法規制・協定を遵守すると共に、生物多様性に配慮し、環境保全を最優先した製造、取り扱い、使用、販売、輸送、廃棄を行います。
  2. 2. 地球の温暖化防止
    省エネルギーを推進し、エネルギー原単位の低減および二酸化炭素排出量の抑制に努めます。
  3. 3. 環境汚染物質の排出ゼロ
    有害化学物質および廃棄物の環境への排出ゼロを最終目標に据えて、継続的な削減に取り組みます。
  4. 4. より安全な化学物質の採用
    取り扱い化学物質の健康および環境への影響について、情報の収集、整備および提供を行うと共に、より安全な物質の採用に努めます。
  5. 5. リサイクルの推進
    製品および容器包装リサイクル技術を開発し、社会と協調して回収および再商品化を推進します。
  6. 6. 環境管理レベルの向上
    環境管理技術・技能を向上すると共に自主監査などを実施して、環境管理レベルの維持・向上に努めます。
  7. 7. 環境改善技術・製品による社会貢献
    新しい技術開発にチャレンジし、環境改善技術と環境負荷の少ない製品を通じて社会に貢献します。
  8. 8. 海外事業における環境管理の向上
    海外での事業活動においては現地の法規制を遵守することを第一とし、更に東レグループの自主管理基準とあわせた管理を行います。
  9. 9. 環境に対する社員の意識向上
    環境教育、社会活動および社内広報活動などを通じて、環境問題に対する社員の意識向上を図ります。
  10. 10. 環境情報の社会との共有
    環境保護に関する取り組み内容および成果は、環境報告書などを通じて地域社会、投資家、マスコミなど広く社会に公表し、相互理解を深めます。

安全・衛生・防災・環境マネジメントシステム

「安全・衛生・防災・環境活動方針」と「重点活動項目」

東レグループでは、前年度の活動結果を踏まえ、毎年「安全・衛生・防災・環境活動方針」を定めており、それぞれに重点活動項目を掲げて取り組んでいます。

2024年東レグループ安全・衛生・防災・環境活動方針

方針 重点活動項目
安全 労働災害ゼロの追求
  1. ルール順守の徹底
  2. 類似災害撲滅活動の徹底
  3. 事業分野別安全活動の深化
衛生 労働衛生管理の徹底
  1. メンタルヘルス管理の充実・強化
  2. 作業環境改善の推進
  3. 化学物質管理の徹底
防災 火災事故ゼロの追求
  1. 防災管理の徹底
自然災害リスクに対する危機管理強化
  1. 大規模地震・水災に対する備えと対応力強化
環境 環境事故ゼロの追求
  1. 類似環境事故撲滅活動の徹底
サステナビリティ・ビジョンの推進
  1. チャレンジ50+プロジェクトの推進
  2. 環境負荷削減に向けた取り組み
  3. 海洋プラスチック問題への対応

体制

東レグループでは、安全・衛生・防災・環境保全活動の推進にあたり、安全・衛生・防災・環境統括である生産本部長※1が、生産役員会において、各事業・分野の安全・衛生・防災・環境に責任を持つ各安全担当と、グループ全体の同分野の責任を持つ環境保安担当とともに、毎年、方針と重点活動項目を検討・審議し、その内容を東レ(株)ならびに関係会社に向けて発信しています。
各社・工場ではこれを受け、PDCAサイクルに基づき委員会活動や監査を通じて進捗を管理しています。

安全・衛生・防災・環境保全の推進体制
取締役会
生産役員会
各安全担当
各安全主管部署
環境・保安担当
全社事務局
(環境保安部)
東レ(株)事業(工)場
国内関係会社
海外関係会社
業務執行機能
●安全・衛生・防災・環境委員会
●安全・衛生・防災・環境監査
●環境保安管理委員会
●製造部長相互査察
●安全・衛生・防災・環境委員会
●安全・衛生・防災・環境監査
●安全・防災相互ラウンド
●安全・衛生・防災・環境委員会
●安全・衛生・防災・環境監査
●国・地域別セーフティサミットなど
監督・
意思決定
報告
検討・審議
指示・報告
安全・衛生・防災・環境統括(生産本部長)
(東レ(株)事業(工)場・国内外関係会社の
各担当事業・分野の安全・衛生・防災・環境に
関して全責任を負う役員等)
(東レグループの安全・衛生
・防災・環境全般に関して
責任を負う役員等)
安全・衛生・防災・環境保全の推進体制(2025年度)
  1. ※1 2025年7月時点では常務執行役員が生産本部長を務めています。

安全・衛生・防災・環境監査

毎年の東レグループ各社、事業(工)場の活動結果をフォローするために、安全・衛生・防災・環境監査を実施しています。これは、製造業各社、ならびに事業(工)場の活動状況や管理状況を客観的に評価し、改善するために行っているもので、グループ統一の調査書を利用して内部調査した後に、役員・他社管理者などが直接現地で取り組みを確認・指導しています。
2024年度は、東レ(株)全13工場・1研究所、国内関係会社27社27工場、海外関係会社63社82工場を対象に「『作業前安全確認』および『未熟練作業者に対する教育と理解度確認』」「『FP※2チェックリスト』および『電気設備チェックリスト』点検結果のフォロー」「安衛法対象物質追加への対応状況の確認(対象:国内グループ会社)」「環境事故防止対策の徹底」などに重点をおいて実施し、各拠点で設備や管理上の問題点を抽出し、計画的な改善を図りました。

  1. ※2 FP : Fire Prevention(火災防止)

レスポンシブル・ケア(RC)活動

RC活動とは、化学物質を取り扱う事業者が、化学物質の開発、製造、物流、使用、廃棄に至るまでの全ライフサイクルにおいて、自主的に安全・健康・環境面での対策を講じ、その成果を社会に公表し、社会とのコミュニケーションを図る活動です。
東レグループは1995年に日本化学工業協会内に設立された「日本レスポンシブル・ケア協議会」に発起人として参加し、RC活動を基本とした化学物質の安全な取り扱いや環境保全に取り組んでいます。
また、RC世界憲章※3に基づき、グループ全体のRC活動計画を策定し、その実行状況をフォローしています。これらの実施計画および結果は、「レスポンシブル・ケア実施計画書/報告書」として取りまとめ、日本化学工業協会に毎年提出しています。

2024年度実績/2025年度計画はこちら(419.8KB)PDFをご覧ください。

  1. ※3 RC世界憲章:レスポンシブル・ケアを世界中で積極的に強化・推進することを目的として、2005年に国際化学工業協会協議会(ICCA)によって制定された自主的な活動方針です。外部ステークホルダーの理解促進および企業が具体的な行動につなげるために2014年に改定され、東レ(株)もこれに署名しました。

ISO14001認証取得

東レグループでは、各社および事業(工)場が環境マネジメントシステム「ISO14001」の認証を取得し、環境管理の改善に生かしています。
東レ(株)では、2000年末までに全13工場で取得を完了しました。関係会社では、2024年度までに国内23社32工場、海外51社68工場が認証を取得しています。
2024年度は、海外拠点のうちToray Textiles (Thailand) Public Company LimitedのM1工場が収束し1工場減少したことから、合計で1工場の減少となりました。

安全・防災・環境意識向上に向けた教育・啓発活動

安全・防災に関する教育の推進

東レグループでは、ISO45001などの労働安全衛生マネジメントシステムに準拠した安全活動を推進しています。新入社員から管理職まで、階層に応じた教育を通じて安全意識の向上とルール遵守を徹底するとともに、役員による監査も実施しています。
また、安全スローガンの制定などを通じて、グループ全体でゼロ災害を目指した取り組みを進めています。

環境・サステナビリティ教育の取り組み

東レグループでは、従業員一人ひとりの「環境」や「サステナビリティ」に対する意識向上と知識の底上げを目的に、さまざまな教育・啓発活動を展開しています。具体的には、社内報「ぴいぷる」への環境関連トピックスの掲載、社内向けサステナビリティ関連レポート「SIレポート」の発行、環境事故・ヒヤリハット情報のグローバル共有などを通じて、情報の浸透を図っています。
また、新入社員研修や、(株)東レ経営研究所主催のセミナーなどを通じて、各階層に応じた教育を実施しています。2022年度には、環境教育の基礎編としてeラーニング講座(3講座)を実施し、平均約12,000名が受講しました。2023年度以降は中級編および上級編の講座を新たに展開し、より高度な知識の習得を促進しています。

「CSRロードマップ 2025」の目標と実績

CSRロードマップ目標

  1. 安全最優先を掲げ、基本を徹底して守り、災害、火災・環境事故防止に努めます。
  2. 「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に基づいて、気候変動対策を中心とした環境負荷低減や水資源の有効活用、及び環境・生物多様性の保全に取り組みます。

主な取り組みとKPI実績

KPI
安全
(1)重大災害件数ゼロを目指します。
3-❶
(2)世界最高水準の安全管理レベルを達成します。
3-❷
(3)従業員の安全と健康を確保し、安全衛生水準の向上を図るため、快適な職場環境の整備に取り組みます。
-
防災
(4)火災・爆発事故件数ゼロを目指します。
3-❸
環境保全
(5)環境事故件数ゼロを目指します。
3-❹
(6)GHG※4排出量売上収益原単位を削減します。
3-❺❻
(7)用水使用量売上収益原単位を削減します。
3-❼
(8)高い廃棄物リサイクル率を目指します。
3-❽
(9)VOC※5大気排出量を削減します。
3-❾
(10)各国・地域の規制や周辺環境との調和に配慮し、各拠点の緑化を推進します。
-
KPI(重要目標達成指標) 目標/実績
2023年度 2024年度 2025年度
0件/1件 0件/1件 0件/―
0.05以下/0.40 0.05以下/0.25 0.05以下/―
0件/1件 0件/3件 0件/―
0件/4件 0件/6件 0件/―
2013年度比※6 40%(2025年度)/36.0%(2023年度)、42.8%(2024年度)※7
2022年度比 10%(2025年度)/101%(2023年度)、182%(2024年度)
2013年度比※6 40%(2025年度)/35.3%(2023年度)、37.8%(2024年度)
86%以上/87.0% 87%以上/87.3% 87%以上/-
2000年度比 70%以上/72.5% 2000年度比 72%以上/74.9% 2000年度比 72%以上/-
  1. 報告対象範囲:東レグループ
  1. ※4 GHG : greenhouse gas(温室効果ガス)
  2. ※5 VOC : volatile organic compounds(揮発性有機化合物)
  3. ※6 基準年度である2013年度の値は、2014年度以降に東レグループに加わった会社分を含めて算出しています。
  4. ※7 2022年度までは国内・海外関係会社のGHG排出量および売上収益に当社の出資比率を乗じて算定していましたが、2023年度からは、国際的な算定ルールであるGHGプロトコルに則った、経営支配力を乗じた算定方法に変更しています。

関連マテリアリティ

  • 気候変動対策の加速
  • 循環型社会実現への貢献
  • 自然環境の回復への貢献
  • 安全・防災の徹底

マテリアリティから見た「CSRロードマップ 2025」はこちら(1.33MB)PDFをご覧ください。

今後に向けて

東レグループは引き続き、ISO14001やレスポンシブル・ケア活動などの国際的な枠組みや中長期、単年度の目標に基づいて、社会と社員の安全と健康を守るとともに、環境に負荷を与えないよう安全・防災・環境保全の活動を進めていきます。

「CSRロードマップ 2025」(対象期間:2023-2025年度)におけるCSRガイドライン3「安全・防災・環境保全」の主な取り組みやKPIはこちら(889KB)PDFをご覧ください。

活動報告および環境データ