CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告)
人権推進と人材育成
人権を尊重し、健康で安心して働ける職場環境を確保します。
また、人材の確保と育成、雇用の多様化に取り組むと共に、「社員の雇用を守ること」に努めます。
基本的な考え方
人権の尊重
東レグループは、すべてのステークホルダーと良好な関係を築きながら企業活動を行うために、「人権の尊重」は欠くことのできない企業経営の基本であると考えています。そのため、人権意識の啓発・向上に努めるとともに、「企業行動指針」や「倫理・コンプライアンス行動規範」において人権尊重をうたい、人種、信条、肌の色、性(性自認・性的指向を含む)、宗教、国籍、言語、障がいの有無、身体的特徴、財産、出身地などに基づくあらゆる差別的な取り扱いを、募集・採用から配置・処遇・教育・退職に至るまで一切禁止しています。また、各国や地域の関連法令を遵守し、賃金・労働時間の設定を行っています。
さらに、CSRのマテリアリティ(重要課題)として、「人権の尊重と多様な人材の活躍推進」を選定し、「国際的に認められた人権」を尊重するとともに、多様な人材が創造力を発揮して活躍できる環境づくりに取り組んでいます。
職場におけるセクシュアルハラスメント・マタニティハラスメント・パワーハラスメントについても、決して容認しないことを「倫理・コンプライアンス行動規範」で明記しています。さらに、東レ(株)では「職場におけるハラスメント防止対策指針」を定め、セクシュアルハラスメント・マタニティハラスメント・パワーハラスメントを容認しない方針および防止管理体制を役員・社員に周知しています。
性自認および性的指向による差別の禁止にも取り組んでおり、2017年1月以降、LGBTQ(性的少数者)に関する「にじいろ相談窓口」を、人権推進の専任組織である東レ(株)勤労部人権推進グループに設置しています。
グローバルな人権課題については、「東レグループ人権方針」に基づき、各国・地域における文化、慣習、社会規範などを踏まえながら継続的に対応しています。
関連する方針等
人権の尊重に関する方針
東レグループは、「企業行動指針」において良き企業市民として人権尊重の責任を果たすことをうたうとともに、「倫理・コンプライアンス行動規範」に「人権の尊重」を明記し、東レグループ内における啓発・教育活動などを通じて人権問題の発生防止に取り組んでいます。
また、グローバル企業として、「世界人権宣言」やILO条約、「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際規範を尊重し、サプライヤーや委託加工先など、サプライチェーン全体を通じた人権侵害への加担の防止や問題発生時の迅速かつ適切な対処に取り組むことを明記した「東レグループ人権方針」を取締役会での承認を経て制定しています。
東レグループ人権方針2017年12月制定
東レグループは、「人権の尊重」は欠くことのできない企業運営の基本であると考え、事業を行う各国・地域の法令を遵守するとともに、国連世界人権宣言やILO条約などの国際規範を尊重し、良き企業市民として人権尊重の責任を果たすよう努力してまいります。
- 私たちは、社員の人権、個性および尊厳を尊重し、職場における嫌がらせや差別を排除します。また、児童労働・強制労働・不当な低賃金労働を行いません。
- 私たちは、事業に関わるサプライチェーン全体を通じて人権尊重の推進に努めます。また、人権侵害への加担をしません。
- 私たちは、事業活動に伴う人権への負の影響の把握に努め、その回避または軽減を図るように努めます。
- 私たちが人権に対する負の影響を引き起こした、あるいはこれに関与したことが明らかになった場合、迅速かつ適切に対処します。
- 私たちは、社員一人ひとりに人権問題への啓発を進め、正しい理解が進むように取り組みます。
「人を基本とする経営」の深化
東レグループでは、創業以来、人材育成を重視する姿勢を明確にし、「企業の盛衰は人が制し、人こそが企業の未来を拓く」との考え方のもと、2011年に「東レグローバルHRマネジメント基本方針」を定め、「人材の確保と育成」を最重要の経営課題として取り組んできました。
2020年5月の長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”の発表に合わせて体系化された当社経営思想「東レ理念」において、「人を基本とする経営」を企業理念の土台となる企業文化として改めて位置づけました。そして、長期経営ビジョン実現に向けた「中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”」においては、基本戦略のひとつとして、「人を基本とする経営の深化」を掲げ、東レグループ人材基盤の強化に取り組んでいます。
「人を基本とする経営」では、「新しい価値を生み出す、プロフェッショナル人材の育成」と「この“プロ人材”が、東レグループというフィールドで成長し、生き生きと働くことができる環境づくり」に取り組んでいます。東レが創業初期から培ってきた人材育成を経営の根幹におく基本戦略であり、企業価値の最大化とその先にある社会貢献の実現を目指しています。
「人を基本とする経営の深化」は、不確実性の高まった経営環境、価値観の多様化やキャリア自律意識の高まりなどの人的側面の変化に対応し、「人を基本とする経営」をアップデートするものです。「多様な人材・価値観の包摂」、「変化に適合する人材・組織づくり」、「東レ理念への共感・働きがいのあるキャリア形成(エンゲージメント)」にフォーカスし、「企業価値の最大化」と「従業員の幸福度を高める」ための人材戦略を策定し、取り組みを進めています。
関連する方針等
人材育成方針
「東レグローバルHRマネジメント基本方針」に沿って、「人材の確保と育成」を最重要の経営課題として取り組んでおり、以下を目的に人材育成を進めております。
- 「公正で高い倫理観と責任感をもって行動できる社会人」の育成
- 「高度な専門知識・技術、独創性をもって課題解決できるプロ人材」の育成
- 「先見性、リーダーシップ、バランス感覚をもって行動できるリーダー」の育成
- 「グローバルに活躍できる社会人、プロ人材、リーダー」の育成
人材の確保に関しては、性別や国籍、新卒/キャリア採用を問わず、高い「志」をもってグローバルに活躍できる優秀な人材の確保に取り組んでおります。
人材の育成に関しては、従業員の健康に配慮した職場環境及び誇りとやりがいのある職場風土を実現するとともに、あらゆる階層・分野の社員に対して、マネジメント力強化、営業力・生産技術力や専門能力向上、グローバル化対応力強化などを目的とした様々な研修を計画的に実施し、次世代の経営を担い得る経営後継者育成と、第一線の「強い現場力」を担う基幹人材層拡大・育成強化を図っております。
東レグローバルHRマネジメント(G-HRM)基本方針2021年12月改定
東レグループが企業理念“わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します”を“Innovation(革新と創造)”の実践によって具現化し、さらなる飛躍と発展を遂げ、すべてのステークホルダーにとって高い存在価値のある企業グループであり続けるためには、人材こそが最も重要な経営資源であり、高い「志」を持った人材の確保と育成に注力していかねばなりません。
東レグループは今後ともグローバル事業拡大を一層推進していきますが、そのなかにあって国・地域・文化・風土・会社の違いを超え、全東レグループが共通した考え方でHRマネジメントができるように、G-HRM基本方針を以下のとおり定めます。
各社はこの基本方針に沿って、HRマネジメントの具体的な仕組みを段階的に構築・整備し推進していくことが求められ、同時に国・地域・文化・風土・会社の個別事情に根ざした各社固有のローカルHRマネジメントの利点も重視し、両者を適切に融合しつつ進めることが肝要です。
- 基幹人材の安定的確保と長期人材育成
- (1)中長期的な視点を踏まえ、基幹人材を一定規模安定的に採用する
- (2)個々のキャリア形成を重視し、上司と部下が育成状況やキャリアの話し合いを充実させる仕組みを活用して、OJT(On-the-Job Training)を基本にOff-JT(研修)および自己啓発を通じた長期人材育成を図る
- (3)業務遂行に当たっては、目標による管理と人事評価を通じたフォローアップにより育成を図る
- グローバル競争に打ち勝つ人材の選抜と育成
- (1)東レ理念に共感する多様で優秀な人材をグローバルに確保・育成する
- (2)選抜された人材に対して高度な研修機会とグローバルなキャリア機会を提供する
- (3)グループ経営の一翼を担える人材を各社トップマネジメント層へ登用するとともに、東レ本社の中核ポスト並びに経営層への登用、選抜を行う
- 適材適所の追求と公正性・納得性・透明性の向上
- (1)能力と実績を重視し、人と組織にとって最適な職位登用を行う
- (2)例月給与・賞与等の賃金を決定する際には、職責・役割、職務遂行能力、目標による管理に基づく評価等を勘案し、公正性・納得性・透明性をもった制度運用を行う
- (3)チャレンジを重視するとともに、チームへの貢献にも配慮した人事管理・処遇施策を展開する
- 企業体質強化のための多面的な施策の継続実行
- (1)要員管理と労働コスト管理を会社全体としてメリハリを利かせながら継続して行う
- (2)フラットで効率的な組織構造と適正な管理職層規模を常に維持する
- (3)多様な働き方を適切にマネジメントすることで強靱な組織を形成する
体制
東レグループの人権推進体制
東レグループでは、東レ(株)社長を委員長とする「倫理・コンプライアンス委員会」のもと「国内人権推進委員会」と「海外人権推進委員会」を設けています。
「国内人権推進委員会」で東レ(株)の活動方針を決定し、それをもとに東レ(株)各事業(工)場において人権推進活動を行い、各職場で明るく働きやすい職場環境づくりに努めています。
国内関係会社は東レ(株)の活動方針を参考に、各社主体で人権推進に取り組み、東レ(株)はその活動を支援しています。
「海外人権推進委員会」では、海外での人権リスク低減を取り組みテーマとし、具体的な推進にあたっては各海外関係会社が主体となり、各国・地域の事情に応じた人権に関する取り組みを推進しています。
委員長:代表取締役社長 社長執行役員
各事業場
意思決定
活動フォロー
指導
指導

「CSRロードマップ 2025」の目標
CSRロードマップ目標
- 東レグループ全体で人種、信条、肌の色、性(性自認・性的指向を含む)、宗教、国籍、言語、障がいの有無、身体的特徴、財産、出身地などによるあらゆる差別の禁止を徹底するなど、人権を尊重し、実力による公平な登用を行います。
- 東レグループ全体で従業員の健康、多様性に配慮した職場環境および誇りとやりがいのある職場風土を実現し、人材を計画的に確保・育成します。
主な取り組みとKPI実績
KPI |
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人権推進 |
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(1)人権教育・研修を実施します。 |
8-❶ |
(2)法定障がい者雇用率を達成します。 |
8-❷ |
(3)東レグループ各社に内部通報・相談窓口を設置し、問題が発生した場合には迅速かつ適切に対処し、人権への負の影響の防止または軽減につなげるよう努めます。 |
- |
人材育成 |
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(4)基幹人材のキャリア形成の取り組みとして、人事情報システムを活用した「キャリアシート」を実施しており、その運用を強化していきます。 |
8-❸ |
(5)海外ナショナルスタッフの基幹人材を計画的に確保、育成、登用していきます。 |
- |
(6)女性の積極的活用と女性が働きやすい職場環境の整備に取り組んでいきます。 |
- |
(7)仕事と家庭の両立支援策の利用促進・運用向上に取り組んでいきます。 |
8-❹、8-❺ |
(8)長時間労働を削減します。 |
8-❻ |
(9)組合員年休取得を促進します。 |
8-❼ |
KPI(重要目標達成指標) | 目標値 | 2023年度 実績 | ||
---|---|---|---|---|
2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | ||
100% | 100% | 100% | 100% | |
100% | 100% | 100% | 59.4% | |
対前年比対象拡大 | 対前年比対象拡大 | 対前年比対象拡大 | 対前年比101% | |
100% | 100% | 100% | 99% | |
対前年比向上 | 対前年比向上 | 対前年比向上 | 対前年比106% | |
対前年比低減 | 対前年比低減 | 対前年比低減 | 対前年比81.1% | |
90% | 90% | 90% | 95.7% |
- 報告対象範囲:8-❶、8-❸は東レグループ。 8-❷は東レグループ(国内)。8-❹は東レ(株)在籍社員、8-❺は東レ(株)在籍社員(海外勤務者除く)、8-❻、8-❼は東レ(株)。
今後に向けて
人権の尊重
「CSRロードマップ 2025」の対象期間(2023-2025年度)においても、東レグループ人権方針の周知を含め、継続的な啓発・教育を通じ、東レグループ全体で人権尊重に関する意識向上に取り組んでいます。
2024年度も東レグループ内の人権に関する課題の把握と迅速かつ適切な対処を行うとともに、東レ(株)および各社における社内教育を充実させ、役員・社員の人権意識の向上を引き続き図ります。
人材の確保と育成
従業員の健康に配慮した職場環境および誇りとやりがいのある職場風土を実現するために、引き続き各種取り組みを推進していきます。また、人材を計画的に確保するとともに、現場力強化のための階層別マネジメント研修の充実や将来の東レグループの経営を担う経営幹部候補者育成のための選抜型研修の拡充に引き続き取り組みます。
「CSRロードマップ 2025」(対象期間:2023-2025年度)におけるCSRガイドライン8「人権推進と人材育成」の主な取り組みやKPIはこちらをご覧ください。
2023年度の活動報告
2023年度の活動報告をご紹介します。