東レグループのサステナビリティ推進
東レグループのサステナビリティへの取り組み
東レ株式会社 上席執行役員サステナブル経営推進室長
富永 剛
私は、サステナブル経営推進室の責任者として、東レグループのサステナビリティへの取り組みを推進し、社会の持続性への貢献と、グループの持続的成長および企業価値の向上の両立に取り組んでいきます。
東レグループは、企業理念「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を経営の根幹に据え、その理念のもとで長期的な価値創造に取り組んでいます。
創立100周年という大きな節目を迎え、 2050年に向けて東レが目指す世界を示す“TORAY VISION 2050” をはじめ、長期経営方針“TORAY Challenges 2035“ 、中経経営計課題“IGNITION 2028”、ならびにサステナビリティへの取り組みの基本となる「東レ・サステナビリティ原則」を新たに定めました。
サステナビリティへの取り組みにおいては、「社会に貢献する高収益企業」として持続的に成長していくため、特に「環境」と「人」を重要な視点として位置づけています。
環境の側面では、温室効果ガス(GHG)排出量削減に加え、資源循環の推進や自然資本の保全・回復などを通じて、事業活動に伴う環境負荷の低減に取り組んでいます。
人の側面では、「人を基本とする経営」のもと、人的資本を重視した施策をはじめ、安全・防災、品質・安全、サプライチェーン、ステークホルダーとのコミュニケーションなどの基盤的な取り組みを通じて、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境づくりを進めています。
また、事業を通じた社会貢献として「環境貢献ビジネス」と「人的貢献ビジネス」を促進し経済的価値向上を図ります。
「環境」は気候変動への対応(カーボンニュートラル:CN)、循環型社会の実現(サーキュラーエコノミー:CE)、自然資本への影響と依存の抑制(ネイチャーポジティブ:NP)、「人」は人が豊かに暮らせる社会の実現(ウェル&コンフォートライフ:WL※1)の4領域をサステナビリティの重点領域として定めています。
素材メーカーである東レグループは、事業を通じた社会への貢献が重要と考えており、CN・CE・NP・WLの各領域での取り組みと各事業を従来以上に密接に連動させ、成長戦略と価値創出を推進していきます。
- ※1 WL:「人の生活における安全・防災、健康、快適に寄与する事業」を意味する。
“TORAY VISION 2050”を実現するためのサステナビリティ活動の基本的な考え方
事業を通じたサステナビリティ4領域活動
東レ・サステナビリティ原則
サステナビリティの活動を更に拡大し推進するため、東レグループは、従来のCSRとサステナビリティへの取組みを統合・拡張・進化させ、新たに「東レ・サステナビリティ原則」を制定しました。
本原則は、サステナビリティ活動の基本となる行動指針です。
東レ・サステナビリティ原則
| 項目 | 基本的な考え方 | 推進責任者 | 関連部署 | |
|---|---|---|---|---|
| - | 事業を通じた 社会的課題への貢献 |
継続的なイノベーションにより、事業を通じて様々な社会的課題へのソリューションを提供し、社会の持続的発展に貢献するとともに、価値創出に努めます。 | サステナブル経営推進室長 | サステナブル経営推進室 |
| E | 環境負荷の低減 | カーボンニュートラル、循環型社会、ネイチャーポジティブに向け、自社及びサプライチェーン全体の環境負荷の低減を推進します。 | 生産本部長 エンジニアリング部門長 |
環境保安部 工務第2部 |
| S | 安全・防災の徹底 | 原材料の調達から製品の製造、供給、廃棄に至るまでのすべてのプロセスにおいて、社会と社員の安全と健康を守り、防災に努めます。 | 生産本部長 | 環境保安部 |
| 製品の品質と安全 | 品質保証と製品安全の管理体制を強化し、高品質で安全・安心な製品を供給します。 | 品質保証本部長 | 品質保証企画管理部 | |
| サプライチェーンの 強靭化 |
調達先、外注先、販売先、物流会社と協働し、環境保全・人権尊重など含めた強靭なサプライチェーンの構築・維持に努めます。 | 購買・物流部門長 | 購買・物流部門 | |
| 人を基本とする 経営の実践 |
自律・挑戦・共創をキーワードに、多様な人材と価値観の包摂、変化に適合する人材・組織づくり、東レ理念への共感と働きがいのあるキャリア形成を推進し企業価値最大化と従業員の幸福度向上を追及します。「人権の尊重」は欠くことのできない企業経営の基本であり、人権意識の啓発・向上に努めます。 | 人事勤労部門長 | 人事勤労部門 | |
| コミュニケーション | 企業情報を積極的・公正にわかりやすく開示し、経営の透明性を維持します。各ステークホルダーに適切に情報を開示し、対話と協働を促進します。 | コーポレートコミュニケーション部門長 | コーポレートコミュニケーション部門 | |
| G | ガバナンスと 経営基盤強靭化 |
ガバナンスを強化し、経営システムや制度を常に見直すことで、経営の透明性および執行の効率性を高め、持続的成長に資する経営基盤の強靭化(もしくは強化)を推進します。 | 経営企画室長 | 経営企画室 |
| リスクマネジメント | 平時からリスクの把握・分析を行い、その低減・予防に努めます。また、当社の経営活動に重大な影響を及ぼす恐れのある危機が発生した場合には、迅速かつ的確な対応をとり、事態の拡大防止および速やかな収拾・正常化を図ることを目指しています。 | 総務・法務・リスクマネジメント部門長 | 総務・法務・リスクマネジメント部門 リスクマネジメントグループ | |
| 倫理と コンプライアンス |
社会からの信頼を獲得すべく、全ての役員と社員が常に公正さと高い倫理観、責任感を持ち、コンプライアンス意識に基づいた行動を徹底します。 | 総務・法務・リスクマネジメント部門長 | コンプライアンス部 | |
サステナブル推進体制
東レ(株)では、取締役会による監督のもと、全社横断でサステナビリティへの取り組みを推進する体制を構築しています。この体制において中心的な役割を担う組織として、社長直轄組織であるサステナブル経営推進室を設置し、グループ全体でサステナビリティの取り組みを推進しています。CN・CE・NP・WLおよび次世代領域について検討・推進するプロジェクトや部会を設置し、「東レ・サステナビリティ原則」で示した考え方を具体的な施策として展開しています。
各プロジェクトのリーダーはサステナブル経営推進室長が務め、ガバナンス、工場・設備・生産、安全・衛生・環境、リスクマネジメント、人権・人的資本、研究・技術開発などの各機能と連携し、グループ全体のサステナビリティ課題に取り組んでいます。
プロジェクト活動などに関する案件は、社長が議長を務めるサステナブルステアリングコミッティで協議を行っています。さらに、必要に応じて取締役会を補佐する全社重要事項の協議機関である経営会議においても、サステナビリティに関わる重要な方針や議題について審議を行っています。
取締役会は、これらの進捗状況について年1回以上の報告を受け、適切に監督および意思決定を行っています。
サステナブル推進体制と「東レ・サステナビリティ原則」との関係
サステナビリティ目標
「東レ・サステナビリティ原則」に基づき、東レグループは40項目を「サステナビリティ目標」として設定しました。これらの目標については、中期経営課題と連動させ、着実な実行と進捗管理を行いながら、グループ全体で達成に向けた取り組みを推進しています。
サステナビリティ目標
| サステナビリティ原則 | 目標および指標 | 中期経営課題 “IGNITION 2028” (各年度目標) |
長期経営方針 “TORAY Challenges 2035” |
|||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | 2027年度 | 2028年度 | 2030年度 | 2035年度 | ||
| 事業を通じた 社会的課題への貢献 |
GHG削減貢献量※2 2024年度比 |
― | ― | ― | 1.5倍 | ― |
| Scope3(カテゴリー1)排出量削減 2024年度比 |
― | ― | ― | 20%削減 | ― | |
| CE化率 | ― | ― | ― | 20% | 30% | |
| 水処理貢献量 2013年度比 |
― | ― | ― | 3.5倍 | ― | |
| CN貢献売上収益 | ― | ― | ― | 5,500億円 | ― | |
| CE貢献売上収益 | ― | ― | ― | 3,000億円 | ― | |
| NP貢献売上収益 | ― | ― | ― | 1,500億円 | ― | |
| WL貢献売上収益 | ― | ― | ― | 1兆円 | ― | |
| 環境負荷の低減 | GHG排出量削減(絶対量) 2013年度比削減 |
― | 20%減 | 35%減 | ||
| GHG排出量削減(原単位) 2013年度比削減 |
― | ― | 48%減 | 50%減 | ― | |
| 用水使用量削減(原単位) 2013年度比削減 |
― | ― | 46%減 | 50%減 | ― | |
| VOC排出量削減 2000年度比削減 |
― | ― | 82%減 | ― | ― | |
| 太陽光発電設備能力の増加率 2024年度比 |
― | ― | 30%増 | ― | ― | |
| 廃棄物リサイクル率 | 2028年度までに87%以上 | ― | ― | |||
| 安全・防災の徹底 | 重大災害件数 | 0件 | 0件 | 0件 | ― | ― |
| 世界最高水準の安全管理レベル達成 (労働災害休業度数率) |
0.05以下 | 0.05以下 | 0.05以下 | ― | ― | |
| 火災・爆発事故件数 | 0件 | 0件 | 0件 | ― | ― | |
| 環境事故件数 | 0件 | 0件 | 0件 | ― | ― | |
| 製品の品質と安全 | 製品事故件数 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 |
| 監査実施率(社数・%) | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | |
| 品質保証強化教育の実施率(社数・%) | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | |
| サプライチェーンの 強靭化 |
東レグループCSR調達行動指針の同意確認比率 | 2028年度 95% | ― | ― | ||
| 「安全・衛生」「人権・労働」「環境保全」リスクのデューデリジェンス実施比率 | 70% | 80% | 90% | ― | ― | |
| 物流におけるCO₂排出量原単位削減比率 (前年度比) | 1% | 1% | 1% | ― | ― | |
| 重大なリスクの対策が完了した拠点比率 | 90% | 95% | 100% | ― | ― | |
| 人を基本とする 経営の実践 |
EXスコア®※3(エンゲージメントスコア) | 前年度比改善 | 前年度比改善 | 70以上 | 70以上 | 70以上 |
| 管理職女性比率 | 前年度比改善 | 前年度比改善 | 前年度比改善 | 10%以上 | 社員女性比率同率 | |
| 新卒採用女性比率 | 常時35%以上を確保 | 35%以上 | 35%以上 | |||
| 基幹ポスト後継者充足率 | 常時150%以上 | 150%以上 | 150%以上 | |||
| 海外NS育成研修参加数 | 毎年100人以上 | 100人以上 | 100人以上 | |||
| アブセンティーイズム(長期欠勤率) | 0.40%以下 | 0.40%以下 | 0.40%以下 | |||
| コミュニケーション | 経営層が参加する主要投資家面談実施件数 | 120件 | 120件 | 120件 | 120件 | 120件 |
| プレスリリース件数 | 150件 | 150件 | 150件 | 150件 | 150件 | |
| 教育支援活動の受益者数 | 15,000人 | 15,000人 | 15,000人 | 15,000人 | 15,000人 | |
| ガバナンスと 経営基盤強靭化 |
内部統制システムの評価結果 | 90% | 90% | 90% | ― | ― |
| リスクマネジメント | 優先対応リスクの低減活動 | 定性目標 | ― | ― | ||
| 外部機関による評価/中長期の課題を明確化 | 定性目標 | ― | ― | |||
| 倫理と コンプライアンス |
重大な法令・通達違反件数 | 0件 | 0件 | 0件 | ― | ― |
| 法務内部監査実施率 | 100% | 100% | 100% | ― | ― | |
| 法令・コンプライアンス教育実施率 | 100% | 100% | 100% | ― | ― | |
- ※2 当社では、GHG削減貢献量の算出方法を見直し、2030年度の目標を倍率で設定しています。
GHG削減貢献量は、ICCAおよびWBCSDなどのガイドライン類を参照し、当社製品の使用などに伴うバリューチェーン全体で生じ得るGHG排出削減効果を、製品ごとで妥当と考えられる前提(リサイクルの扱いなど)・シナリオおよび根拠データに基づき算定・推計しています。 - ※3 EXスコア®:組織状態を示す指標であり、各個人の期待値と実感値、そのギャップを測定。期待・実感共に高く、ギャップが小さい場合にスコアは最大化される。調査委託先である(株)HRBrainの登録商標。