企業統治
企業統治
企業が果たすべき社会的な責任の一環として、経営システムや制度を常に見直し、内部統制の強化に努めます。


基本的な考え方
東レグループは、草創期より「会社は社会に貢献することに存在意義がある」という思想を経営の基軸に置き、「東レ理念」という形でこの思想を受け継いでいます。
「東レ理念」は、「企業理念」「経営基本方針」「企業行動指針」などで体系化されており、「経営基本方針」に「誠実で信頼に応える経営」を行うことを明記し、「企業行動指針」の中で「社会的規範の遵守はもとより、高い倫理観と強い責任感をもって公正に行動し社会の信頼と期待に応える」ことを定めています。
東レグループは、ガバナンス体制の構築にあたり、こうした理念を具現化していくことを基本的な考え方としています。
方針等
体制
東レ(株)は、監査役会設置会社であり、社外取締役を含む取締役会が、業務執行に関する意思決定と取締役などによる職務執行の監督を行い、社外監査役を含む監査役会が、取締役会と業務執行組織から独立して取締役の職務執行を監査し、取締役会の透明性・公正性を確保する体制としています。また、取締役会の諮問機関として任意の委員会であるガバナンス委員会を設置し、同委員会にて当社のコーポレート・ガバナンスに関する事項全般を審議することで、ガバナンスに関する取締役会の実効性を高めています。
東レグループは広範な事業領域でグローバルに活動を行っていることから、経営判断や意思決定はもとより、その監督にあたっても、現場に密着した専門知識をベースに多種多様なリスクを多面的に評価することが必要となります。そのため取締役会は、多様な視点から監督と意思決定を行う体制としています。また、より幅広い視点から経営を監督し、その透明性・公正性を一層高めるとともに、中長期視点で経営への適切な助言を得ることを目的として、社外取締役を選任しています。取締役会の構成については、知識、経験、能力などの点で企業活動の領域を広くカバーしつつ、法令や重要な指針・ルール、およびジェンダーや国際性、職歴、年齢といった多様性の観点なども踏まえた、バランスが取れた員数・構成にすることとしています。
監査役会は、取締役会から完全に独立した立場で、事業に対する理解に加え、財務・会計や法律など専門的知見に基づいて取締役の職務の執行を監査しています。ガバナンス委員会は、会長、社長および全ての社外取締役で構成され、委員長は社外取締役としています。2024年度は、取締役会を14回、監査役会を11回、ガバナンス委員会を11回開催しました。※1なお、全14回の取締役会における取締役出席率は99%でした。
- ※1 各取締役・監査役の出席状況は、「第144期 有価証券報告書」(6.36MB)PDF(P.48、49、64)をご覧ください。
●倫理・コンプライアンス委員会
●リスクマネジメント委員会 ほか

氏名 | 事業運営 | コーポレート | ストラテジック | ||||||
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経営経験 | グローバル事業経験 | 技術・製造・R&D | 営業・マーケティング | 法務・知財・リスク管理 | 会計・ファイナンス | 人材マネジメント・ダイバーシティ | |||
取 締 役 |
日覺 昭廣 | ● | ● | ● | |||||
大矢 光雄 | ● | ● | ● | ||||||
首藤 和彦 | ● | ● | ● | ||||||
恒川 哲也 | ● | ● | ● (DX) |
||||||
寺田 滋紀 | ● | ● (経営戦略) |
|||||||
加藤 勇一郎 | ● | ● | |||||||
伊藤 邦雄 | ● | ● | ● (ESG) |
||||||
神永 晉 | ● | ● | ● | ||||||
原山 優子 | ● | ● (イノベーション) |
|||||||
イネステーラー 章子 | ● | ● | ● | ||||||
監 査 役 |
平林 秀樹 | ● | ● | ● | |||||
真野 充治 | ● | ● | ● | ||||||
髙部 眞規子 | ● | ● | |||||||
荻野 浩三 | ● | ● | |||||||
井上 雅彦 | ● | ● |
- ※ 上記は、各人の有するすべての知見・経験を表すものではなく、当社の経営戦略推進にあたって期待されるスキルのうち、主なもの最大3つを示しています。
各取締役・監査役の略歴はこちらをご覧ください。

「CSRロードマップ 2025」の目標と実績
CSRロードマップ目標
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中長期的な企業価値の向上に資する取締役会運営により、一層のグループガバナンスの向上を図ります。
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会社法に基づく内部統制システム基本方針に基づき、モニタリングを実行します。
主な取り組みとKPI実績
KPI |
|
(1)取締役会において、定期的に「東レグループ事業戦略論議」を実施します。 |
1-❶ |
(2)グループ全体のガバナンスの実効性と子会社における機動的な意思決定を両立させる観点から、グループ各社の業務執行などに対する適切な関与の在り方を検討していきます。 |
- |
(3)取締役および監査役が責務(執行を除く)に必要な知識を習得し、その役割を適切に果たすのに必要な研修等の機会を、外部プロブラムも活用して拡充します。 |
- |
(4)実効性のある内部統制システムの運用を図ります。 |
1-❷ |
KPI(重要目標達成指標) | 目標/実績 | ||
---|---|---|---|
2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
8回/8回 | 8回/8回 | 8回/― | |
90%/96% | 90%/97% | 90%/― |
- 報告対象範囲:東レグループ
今後に向けて
東レ(株)の取締役会は、全取締役・監査役計17名を対象に2024年度取締役会実効性評価アンケートを実施しました。また、社外取締役・社外監査役計8名に対して、アンケートへの回答内容を踏まえた個別インタビューを行い、意見を聴取しました。なお、アンケートの回収・集計およびインタビューについては、透明性・客観性を確保するため、第三者機関に委託しています。
上記プロセスによる取締役会の実効性の分析・評価の結果を踏まえ、2024年度の取締役会は、当社のコアバリューである「事業を通じた社会貢献」「人を基本とする経営」「長期的視点に立った経営」が中長期の企業価値向上に資することを確認しました。その上で、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」として、PBRを意識した資本効率性の改善や株主還元などに関する議論を継続して行ったほか、社外取締役と執行役員との対話を継続し、事業環境の変化に対応するための適切なリスクテイクを支える環境整備を行うなど、概ねその役割・責務を果たしたものと判断します。「取締役会の多様性」については、質の確保を前提とした、「東レ理念」の実現に資する人材の登用について、引き続き議論を継続します。また、「取締役会の議論の更なる活発化」については、2024年度に引き続き、2025年度以降も具体的な改善策を講じていくことで、取締役会の監督機能の更なる実効性向上を図っていきます。
なお、実効性評価の過程で取締役・監査役から得られた意見などについては、取締役会の実効性の更なる向上のために必要に応じてガバナンス委員会で議論を深めていきます。
加えて、役員報酬制度については、2025年度から業績向上に向けたインセンティブがより一層はたらくよう、報酬総額に占める業績に連動した賞与の支給割合を拡大しました。また、株主との価値共有を一層強化するため、譲渡制限付株式報酬制度を導入しました。次期中期経営課題の初年度となる2026年度からは、役員報酬決定の評価指標として、ROICなどの財務指標に加え、サステナビリティ指標などの非財務指標の組み入れを検討していきます。
「CSRロードマップ 2025」(対象期間:2023-2025年度)におけるCSRガイドライン1「企業統治」の主な取り組みやKPIはこちら(889KB)PDFをご覧ください。