Interview08

「世界中に安全な水を届ける」の一歩先へ
水処理膜の新たな用途を開拓する

営業水処理・環境事業

理系出身なのに営業職を志望した理由は?

工学部工業化学科の出身なのですが、学生の9割が大学院に進学するという状況のなか、私自身はそんな選択に疑問を感じていました。当時、特に研究したいテーマがあったわけではなく、それなのに親に支援してもらってまで勉強を続ける意義が見いだせなかったのです。それよりも、就職してさまざまな人と出会い、社会経験を積んだほうがいいと考え、営業職を志望しました。

その中で東レに入社した理由を教えてください。

最初は商社を中心に回っていたのですが、やがてメーカーにシフトしていったのは、「営業として自分たちの製品を、誇りと責任を持って売りたい」と思うようになったからです。また、BtoCよりBtoBの会社のほうが、より深くものづくりに入り込めると考えました。特に素材メーカーであれば、マーケティングやセールスの仕事を通して製品開発にも関わっていけます。東レは高い技術力を有するだけでなく、基礎研究を重視し、粘り強く極限を追及していく姿勢がある真面目な会社だと知っていました。そんな風土が自分に合うと思い、就職先に決めたのです。

今の仕事について教えてください。

水処理に使われる機能膜製品の販売活動で、顧客への提案から受注、フォローまで一貫して担当しています。主な顧客は日本国内のエンジニアリング会社ですが、販売した膜製品は海外に設置される水処理プラントにも多く使われるため、国内だけでなく世界に目を向け、マーケティング活動なども行っています。

担当している製品を紹介してください。

東レが開発・販売している水処理膜には、逆浸透膜(RO膜、NF膜)、限外濾過膜(UF膜)、膜分離活性汚泥法(MBR)用の精密濾過膜(MF膜)などがあり、RO膜やNF膜は海水淡水化や飲料水の製造、UF膜は浄水場での濾過、MBR膜は廃水処理などと、それぞれ用途が異なります。したがって、水処理プラントが求めるスペックにより、どの膜が最適なのかを考え、お客様に提案していくのです。

仕事を通して感じる東レの強みは?

水処理膜のパイオニアとして研究・開発を積極的に続けており、製品ラインナップが非常に多いことが最大の強みでしょう。ただし、これは諸刃の剣でもあり、その強みを活かすには営業の情報収集力が重要になります。このため、直接の販売先であるエンジニアリング会社だけでなく、プラントの発注元であるエンドユーザーのところにまで足を運び、細かくニーズを吸い上げるのです。そしてそれらの情報をもとに社内外で協議を進め、東レにしかできない提案を行います。さらに、東レの場合は水処理膜を販売するだけでなく、膜の性能が最大限に発揮されるようなプラントの制御方法を考えるなど、幅広い技術サポートが可能であり、これも大きな強みになっていると思いますね。

東レの事務系社員は「ものづくりのプロデューサー」と言われますが、その実感はありますか?

従来、水処理膜の多くは海水淡水化プラントで使われてきましたが、医薬品や食品、さらには半導体の製造に必要な水をつくるのにも多用されるようになり、市場は大きく広がってきました。したがって、営業として新たな販路の開拓に努めると同時に、研究所や工場と一緒になり、新製品の開発を進めています。こうした部分はまさに「ものづくりのプロデューサー」ならではの仕事だと思います。

どのようなときに、自分の仕事が人々の役に立っていると感じますか?

日本では当たり前のように飲み水が確保されていますが、世界に目を向けると清潔で、安全な飲み水を十分に得られない地域は数多くあります。このため、政府はODA案件として浄水プラントの輸出を積極的に進めており、これに参画することで水不足の解消に貢献できるのです。実際にあったケースでは、自分の担当するエンジニアリング会社から「地下水を飲料水にするプロジェクトがあるので協力してくれないか」と相談があり、どんな提案ができるか考えました。難しかったのは、この地域では雨季になると地下水に海水が多く混じって塩分濃度が非常に高くなるため、既存のかん水用膜では飲料水の基準を満たせません。とはいえ、複雑な制御装置をプラントに組み込むとハンドリングしにくいうえ、コストもかかります。最終的には何度も設計シミュレーションを繰り返し、海水淡水化用途のRO膜とUF膜を最適に組み合わせることで要求に応えることができました。このときには、自分の仕事が世界中の人々の生活を支えているのだと実感し、改めて、やりがいを感じましたね。

SCHEDULE

月曜日

半導体製造用の水処理プラントに関する打ち合わせ。新たな開発案件となるので納期の設定をするのに非常に苦労する。

火曜日

研究所のスタッフと製薬会社を訪問し、注射液の滅菌用にどんな水処理膜が有効かを協議する。

水曜日

ODA案件として輸出される飲料水用プラントの製造工場を訪問し、進捗状況などを確認する。

木曜日

在宅勤務。メールチェックや電話による連絡に加え、膜の技術動向に関するセミナーをウェブ経由で受講する。

金曜日

顧客対応のため愛媛県に出張。他に処理しなければいけない案件もあったので残念ながら日帰り。

PRIVATE

小学生のころから釣りに夢中で、今では三浦半島から船を出し、マグロに挑戦することもある。まだ1回も釣れたことはないのだが、「待っている時間」も嫌いではないので満足している。最近はゴルフも始め、休日はかなり忙しい。