INTERVIEW
ナイロン繊維の開発から
量産化までを一手に引き受け、
アパレル産業に革新を起こす。
学生時代の専攻について教えてください。
学生時代は応用化学を専攻し、研究室では電位差で酸化還元反応する有機物を使った有機二次電池の研究をしていました。
東レに入社を決めた理由を教えてください。
社会へ広範に影響を与える仕事がしたかったのですが、業界に広くインパクトを与えるには、川上・川中の製品に携わるのが一番だと思ったので、素材メーカーを志望していました。その中でも東レに決めたのは、「素材には社会を変える力がある」というコーポレートメッセージに惹かれたためです。これは、入社して工場の技術開発職として新製品開発に取り組む中でも実感していますね。
「新素材の開発」というと「研究職」のイメージがありますが、工場でも開発を行っているのですか?
そうですね。東レの技術開発職は、顧客に近い所で新製品の開発や立案も行なっています。私は現在、大阪本社で衣料用ナイロン事業の拡大に向けた戦略立案などを担当していますが、2017年に東レに入社した当初は愛知工場の技術部に在籍し、衣料用ナイロン繊維の新製品開発を担当しました。
技術部時代には営業と一緒に顧客を訪問してニーズを引き出し、試作品開発から量産化検討、生産に至るまで一貫して担当し、これまで、原料に廃棄物を活用したリサイクルナイロン、植物由来の原料から成るバイオベースナイロンの開発などを行い、有名なアウトドアブランドへ採用されることも幾度か経験しました。開発した繊維が使用された製品が店頭に並ぶのを見ると、非常に嬉しいですし、ついつい買ってしまいますね(笑)。
東レの繊維事業や製品の特長を教えてください。
ナイロン繊維は、合成繊維の中でも価格が高いのですが、しなやかな風合い、耐摩耗性に優れていることから、トップアパレルの中にはナイロン繊維を好んで採用してくれるお客様が多いです。彼らは業界の最先端を走ってトレンドを作る存在なので、彼らと付き合う我々は、最先端のニーズを捉え、最先端の開発をする必要があります。例えば、近年はリサイクルやバイオベース素材の活用を求められています。他の企業であれば製糸だけ行なって、他の工程は外注するところを、東レはモノマー、ポリマーを作るところから、糸を作って、生地に仕上げるところまで全てやり通してしまうところが強みだと思います。このように最前線の開発を一貫して担えることは、開発者冥利につきます。また、私が好きなアパレルブランドのデザイナーさんと会話が出来ることも、ファッションが好きな私にとっては楽しさの一つですね。
技術者が、アパレルブランドのデザイナーや企画担当と直接話をするのですか?
意識的に話す機会を作るようにしています。やはり、技術者が着想した経緯や、開発秘話なんかを持って、東レの糸を提案すると、納得感が増し、採用していただける可能性も高くなると感じています。折角自分が開発した糸なので「世の中に送り出したい」という想いが強く、そのためにも、なるべく直接提案する機会を作っていますね。
印象に残っている仕事について教えてください。
私の開発した糸が、ユニクロ社のウルトラライトダウンに採用されたことです。ウルトラライトダウンに特殊な機能を付与するために、開発したのですが、品質要求も高く、かつ桁違いに数量が大きかったので、安定供給や検査体制の構築など困難も多かったです。それだけに、店頭に並び、たくさんの人が手に取っているのを見たときの喜びは大きかったのを覚えています。製品ももちろん購入しました(笑)。
今後の目標を教えてください。
携わっている繊維事業の全体像をいち早く学び、収益の拡大に貢献したいと思います。ゆくゆくは日本では体験できないボリューム感のある市場で、どのようなことが自分に出来るのか、挑戦してみたいですね。
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PRIVATE
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旅行が好きなので、行ったことのない土地によく家族で出掛けています。旅先では自然に触れたり、食べ歩きしたり、地酒を飲むのが好きですね。せっかく大阪に引っ越してきたので、西日本を中心に旅行したいと企てています。