(公財)東レ科学振興会・海外の科学振興財団

(公財)東レ科学振興会

(財)東洋レーヨン科学振興会(現(公財)東レ科学振興会)は、東レ(株)の創立35周年記念事業として、科学技術の研究を助成振興し、科学技術思想の普及を図ることで、科学技術および文化の向上発展に寄与することを目的として1960年に設立されました。東レ(株)は設立時に基本財産等10億円を拠出し、以後、現在に至るまで事業活動費として寄付を継続しています。
同振興会は、企業財団の草分けとして設立当時大きな話題を呼び、基礎科学分野に特化した助成・顕彰や、他の財団にはない中学校・高校で理科教育に携わる先生方を表彰する理科教育賞などの支援活動は現在も高い評価を受けています。同振興会の科学技術研究助成受領者、科学技術賞受賞者、諸援助の受領者の中から6人※1が、後年にノーベル賞を受賞しています。

  • ※1 江崎玲於奈氏(1961年東レ科学技術賞受賞、1973年ノーベル物理学賞受賞)、小柴昌俊氏(1968~1970年諸援助受領、2002年ノーベル物理学賞受賞)、野依良治氏(1990年東レ科学技術賞受賞、2001年ノーベル化学賞受賞)、赤﨑勇氏(2000年東レ科学技術賞受賞、2014年ノーベル物理学賞受賞)、山中伸弥氏(2004年東レ科学技術研究助成受領、2012年ノーベル生理学・医学賞受賞)、本庶佑氏(1981年東レ科学技術研究助成受領、2018年ノーベル生理学・医学賞受賞)。
  • (財)東洋レーヨン科学振興会第1回贈呈式(1961年3月)
  • 「第59回東レ科学振興会贈呈式」
    科学技術研究助成受領者の皆さん(2019年3月)

東レ科学振興会の主な事業※2

  1. (1)東レ科学技術研究助成 : 科学技術に関する萌芽的な研究を行っている若手研究者に対する研究費援助。
  2. (2)東レ科学技術賞 : 科学技術の分野で顕著な業績を挙げた方の顕彰。
  3. (3)東レ理科教育賞 : 中学校・高等学校で創意と工夫により著しい教育効果を挙げた先生方の顕彰(2006年度から、文部科学省の後援を得て「東レ理科教育賞 文部科学大臣賞」を設置)。また、受賞作普及のため、「東レ理科教育賞受賞作品集」を作成し、全国の中学校・高等学校などへ毎年約16,000冊を寄贈。
    東レ科学振興会設立60周年記念事業として、2020年度から、新しい発想と工夫考案にもとづいた企画・開発で開発後は東レ理科教育賞への応募が期待されるものに対する顕彰「東レ理科教育賞・企画賞」を新設します。
  4. (4)海外研究助成 : インドネシア・マレーシア・タイの東南アジア3カ国で、科学技術に関する基礎的な研究を行っている若手研究者に対する研究費助成。
  • ※2 賞、助成の選考はいずれも専門家による第三者委員会で行っています。

1960-2019年度の累計事業実績

区分 件数 金額(億円)
科学技術研究助成 658 68.85
科学技術賞 125 4.68
理科教育賞 693 2.16
国内 計 1,476 75.69
海外研究助成 ※3 761 4.58
合計 2,237 80.27
  • ※3 1989-1993年の大学への直接助成を含む(61件、0.68億円)

海外における科学振興財団

東レ(株)は、1960年代から事業展開している東南アジア3カ国の科学技術の向上発展と理科教育の振興に寄与するため、1993年に「マレーシア東レ科学振興財団」「インドネシア東レ科学振興財団」を、1994年に「タイ東レ科学振興財団」を設立しました。
以降、基金の運用収益、(公財)東レ科学振興会からの助成、各国東レグループからの毎年の寄付により、傑出した科学研究者、基礎科学の若手研究者、理科教育者を対象に、科学技術および理科教育についての優れた業績に対する褒賞と自然科学の研究に対する研究助成を行い、現地社会から高い評価を得ています。
事業拡大が続く韓国でも同様の取り組みを開始するため、2018年1月、新たに「韓国東レ科学振興財団」を設立しました。
これら科学振興財団の活動が、科学技術関係者、さらには青少年およびその教育関係者の関心を喚起し、各国の中長期的な科学技術の発展に寄与するとともに、各国と日本との相互理解、友好親善、そして経済発展に寄与することを願い、取り組みを続けています。

マレーシア東レ科学振興財団
Malaysia Toray Science Foundation <MTSF>

MTSFは、1993年8月の設立以降、2019年度までに累計で1,053万リンギットを拠出し771人の研究者、理科教育者を助成、表彰してきました。毎年開催する贈呈式には、マレーシア政府や在マレーシア日本大使館からご出席を賜り、受賞者ならびに助成を受ける研究者にとって名誉ある場となっています。

  • 「第25回マレーシア東レ科学振興財団贈呈式」科学技術賞受賞者の皆さん「第25回マレーシア東レ科学振興財団贈呈式」科学技術賞受賞者の皆さん

タイ東レ科学振興財団
Thailand Toray Science Foundation <TTSF>

TTSFは、1994年6月の設立以降、累計で1億3,482万バーツを拠出し746人の研究者、理科教育者を助成、表彰してきました。毎年開催する贈呈式には、1995年の第1回から2009年の第15回まではプレム枢密院議員に、2010年の第16回贈呈式からはスラユット枢密院議員に式典委員長としてご出席を賜り、歴代の受賞者らにとって名誉ある場となっています。

  • 挨拶する東レ(株)日覺社長挨拶する東レ(株)日覺社長

インドネシア東レ科学振興財団
Indonesia Toray Science Foundation <ITSF>

ITSFは、設立時からインドネシア科学院の協力を得ており、同院長が歴代のITSF会長に就任されています。1993年12月の設立以降、累計で208億ルピアを拠出し、744人の研究者、理科教育者を助成、表彰してきました。研究助成受領者の多くが、インドネシア大学、バンドン工科大学、ガジャマダ大学、スラバヤ工科大学など有力大学の教授、准教授やインドネシア科学院の研究者として、同国の科学技術の発展に携わっています。

  • 「第25回インドネシア東レ科学振興財団贈呈式」科学技術研究助成受領者の皆さん「第25回インドネシア東レ科学振興財団贈呈式」科学技術研究助成受領者の皆さん

韓国東レ科学振興財団
Korea Toray Science Foundation(KTSF)

KTSFは、韓国における化学および材料分野の持続的な研究風土を作り、韓国の基礎科学や関連産業の発展に寄与することに加え、研究開発の奨励と理工系人材育成を通じた次世代研究基盤の拡充を目的とし、東レグループの韓国での事業開始55年を機に2018 年に設立しました。研究科学技術賞、科学技術研究助成、学生への奨学金として設立以降、累計で13億ウォンを拠出しています。

  • 「第1回韓国東レ科学振興財団贈呈式」科学技術研究助成受領者の皆さん「第1回韓国東レ科学振興財団贈呈式」科学技術研究助成受領者の皆さん