CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告)

持続可能なサプライチェーンの構築

持続可能なサプライチェーンの構築のため、調達・購買先、外注先、販売先、物流会社と協働し、
環境保全・人権尊重などサプライチェーン全体でのCSR調達を促進します。

基本的な考え方

東レグループは、世界の国や地域でさまざまな事業を展開しており、それに伴って原材料や資材の調達、外注先や委託先の所在や業種も多岐にわたっています。 一方、国際社会におけるCSRの取り組みの重要性は、地球温暖化防止や環境保護、人権尊重や労働環境改善などますます多様化・高度化しており、その範囲は自社だけの取り組みだけに留まらず、サプライチェーン全体での取り組みにまで拡大しています。
こうした課題への対応と、安定かつ持続可能な調達のため、東レグループは、品質や供給安定性に加えて、倫理的で環境や社会、人権に配慮したサプライチェーンを実現することを「東レグループCSR調達方針」で宣言しています。さらに、サプライチェーン全体でCSRにより一層取り組んでいくために、具体的かつ詳細な行動指針として、「東レグループCSR調達行動指針」を策定しサプライヤーにも遵守を求めています。

関連する方針等

東レグループCSR調達方針2022年3月改定※1

  1. サプライチェーンにおけるCSR推進のための社内体制を確立し、誠実に取り組みます。
  2. 購買における国内外の法令及び社会規範を遵守し、企業倫理にもとづき公正な取引を推進します。
  3. 購買活動によって生じる労働環境や安全衛生への影響に配慮します。また、不測の事態への迅速な対応と的確な情報開示をするなど、リスクマネジメントを展開します。
  4. 化学物質を適切に管理するとともに、環境への影響に配慮した原材料の調達を心がけます。
  5. 取引先をはじめ、ステークホルダーとの対話と協働を促進します。
  6. 製品の品質と安全性を維持し、改善に努めます。
  7. 人権を尊重して、あらゆる差別を排除し、職場環境の改善に努めます。また、サプライチェーン上の強制労働・奴隷労働・児童労働・不当な低賃金労働などの人権侵害に加担しません。
  8. 紛争地域および高リスク地域を原産国とし、紛争や人権侵害などへの関与が明らかな鉱物を使用しません。
  9. 機密情報の漏洩を防止し、知的財産を尊重します。
  10. 取引先の選定にあたり、法令遵守、人権尊重、環境保護などの社会的責任への取り組み状況を考慮するとともに、取引先に対して「東レグループCSR調達行動指針」の遵守を求め、サプライチェーン全体でのCSR推進に努めます。
  1. ※1 「東レグループCSR調達方針」は2004年に制定した「CSR調達ガイドライン」の内容を取締役会決議を経て改定し、名称も変更したものです。

東レグループCSR調達行動指針2022年3月策定

2022年3月に策定した「東レグループCSR調達行動指針」の主な内容は以下のとおりです。

  1. 倫理とコンプライアンス
    1. (1) 法令遵守
      1. 各国・地域の法令を遵守し、企業倫理に基づいた事業活動を行う。コンプライアンスに関する方針や体制、教育などの仕組みを構築しコンプライアンスを徹底する。
    2. (2) 競争法の遵守
      1. 私的独占、カルテル・入札談合などの不当な取引制限、不公正な取引方法、優越的地位の濫用など公正な競争を阻害する行為を行わない。
    3. (3) 腐敗防止・贈収賄の禁止
      1. 不正な利益を得る目的で、利害関係者への金品(ファシリテーションペイメントを含む)の提供や申し出を行わないとともに、社会通念上妥当な範囲を超えて贈り物や接待をしたり、受け取ったりしない。また、違法な政治献金などを行わない。
    4. (4) 利益相反行為の禁止
      1. 自社の利益に反して、自己、取引先または第三者の利益を図る行為を行わず、自社の顧客や取引先の社員からの不当な要求にも応じない。
    5. (5) 機密情報・個人情報の保護
      1. 取引先、第三者、自社従業員の個人情報および取引先、第三者の機密情報は、各国・地域の法令を遵守し、入手するとともに、厳重に管理・保護し、適切な範囲で利用する。
    6. (6) 内部通報制度および通報者保護
      1. 自社従業員や取引先が法令違反や業務上の懸念事項を通報できる仕組みを構築するとともに、通報したことによって、解雇、脅迫、嫌がらせなどの不利益を被ったり、報復の対象となったりしないよう保護する。
    7. (7) 適正な輸出入管理
      1. 各国、地域の法令などで規制される技術や物品の輸出入に関して、適正な手続き、管理を行う。
    8. (8) 知的財産の尊重・保護
      1. 自社が保有する知的財産を適切に保護するとともに、第三者の知的財産を尊重し、その権利を侵害しない。
    9. (9) 適切な情報開示
      1. 各国・地域の法令などで開示が定められた経営、財務、事業活動などに関する情報をステークホルダーに対し、適宜・適切に開示するとともに、コミュニケーションを通じてステークホルダーとの相互理解、信頼関係の維持・発展に努める。
    10. (10)責任ある原材料調達
      1. 製品に含まれる紛争鉱物などの原材料が、原産地において人権侵害や環境破壊、紛争などに関与していないかを考慮した調達活動を行い、懸念のある場合には使用回避に向けた取り組みを行う。
  2. 安全・防災・リスクマネジメント
    1. (1) 職務上の安全管理
      1. 従業員の安全と健康を守るために、安全な設備・作業環境・作業手順を整備し、各国・地域の労働関係法令を遵守するとともに、事故を防止するための安全対策や教育を講じるなど労働災害を防ぐよう努める。
    2. (2) 労働衛生管理
      1. 職場での化学物質管理、騒音、悪臭などの作業環境を把握し、健康被害に繋がらぬよう対策を講じるとともに、定期的な健康診断の実施など従業員の健康管理に努める。
    3. (3) 緊急時の対応
      1. 生命・身体の安全を守るため、発生し得る災害・疾病などを想定し、緊急時における対応策を準備し職場内に周知する。
    4. (4) 事業継続計画(BCP)の取り組み
      1. 事業活動を継続するため、阻害するリスクを特定し、防止・低減するための取り組みを行う。
  3. 環境保全
    1. (1) 環境マネジメント
      1. 環境に関する各国・地域の法令を遵守するとともに、環境活動を推進する為、全社的な管理の仕組みを構築し、継続的な運用、改善に努める。
    2. (2) 温室効果ガスの排出削減
      1. エネルギーの有効活用に努めるとともに、事業活動での温室効果ガスの排出量管理と継続的な削減活動を推進する。
    3. (3) 環境への影響の最小化
      1. 環境負荷物質の排出管理と削減を行い、大気、水質、土壌の汚染防止に努める。
    4. (4) 省資源・廃棄物管理
      1. 廃棄物の適正処理を行うとともに、発生量抑制、リサイクルを推進し資源の有効活用に努める。
    5. (5) 化学物質管理
      1. 各国・地域の法令で禁止された化学物質が製品に含有されないよう管理することに加え、外部環境に排出される化学物質およびその他の物質を、適切に管理し取り扱う。
    6. (6) 生物多様性への配慮
      1. 生物多様性の保全と、その持続可能な利用に努めるとともに、生物多様性に配慮した原材料調達を行う。
  4. 製品の品質と安全
    1. (1) 品質の維持・向上
      1. 適切な品質管理、品質保証体制を構築し、求められる品質を維持するとともに、品質の向上に努める。
    2. (2) 製品の安全性
      1. 各国の法令・基準を遵守し、製品の品質及び安全性の確保に努める。万一問題が生じた場合には、迅速かつ適切な行動で対応する。
  5. 人権推進
    1. (1) 基本的人権の尊重と差別・ハラスメントの排除
      1. 基本的人権を尊重し、募集、採用から配置、処遇、教育、退職などあらゆる雇用の場面において人種、信条、肌の色、性(性自認、性的指向を含む)、宗教、国籍、言語、身体的特徴、財産、出身地などに基づくあらゆる差別的な取り扱い、各種ハラスメントを行わない。
    2. (2) 児童労働の禁止および若年労働者への配慮
      1. 各国・地域の法令が定める就労可能年齢に満たない者を雇用してはならない。また、18歳未満の従業員については特に各国・地域の法令に基づき、健康と安全に配慮する。
    3. (3) 強制労働・奴隷労働の禁止
      1. 強制または拘束労働、非自発的または搾取的囚人労働、奴隷または人身売買によって得られた労働力を用いない。また、すべての就業を強制することなく、従業員が自由に離職できることを保証する。
    4. (4) 賃金および福利厚生
      1. 最低賃金、超過勤務、賃金控除、出来高賃金、その他給付などに関する各国・地域の法令を遵守し適切な給与を支払う。また、不当な減給を行わない。
    5. (5) 労働時間
      1. 従業員の労働時間の決定、および休日、年次有給休暇の付与などについて、各国・地域の法令を遵守する。
    6. (6) 従業員との対話・協議
  6. サプライチェーンにおけるCSRの推進
    1. (1) 自社の取引先への取り組み要請
      1. 自社の購買先、委託加工先などの取引先に対して、本行動指針の要請事項、またはこれと同等の内容の遵守に努めるよう要請するとともに、その取引先の取り組み状況の定期的な調査・把握などを通して、取り組みの徹底を図る。

購買・物流に関する方針

さまざまな素材・製品を提供する先端材料メーカーがCSRを推進していくためには、原材料・資材調達や生産設備の管理などの源流においてCSRへの取り組みを推進することも重要であると考え、東レグループは、「購買基本方針」ならびに「物流基本方針」を制定し、公正・公平な取引、品質向上、法令遵守、環境保全、人権尊重等、調達・購買・物流における社会的責任に関する取り組みをグループ全体で推進しています。

関連する方針等

購買基本方針2022年3月改定

  1. 当社は、取引先の選定や個別購買の決定を、公正を旨として、価格・品質・供給安定性・技術力・信頼性等を総合的に勘案し、経済的合理性に基づいて行います。
  2. 当社は、取引先の選定に当たり、国の内外、過去の取引実績や企業グループ関係などにこだわることなく、広く門戸を開放します。
  3. 当社は、取引先と連携して購買品の品質の維持・向上に努めます。
  4. 当社は、「東レグループCSR調達方針」及び、「東レグループCSR調達行動指針」を遵守し、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)に配慮した購買活動を全社的に推進します。

物流基本方針2022年3月改定

  1. 当社は、輸送および保管委託先の選定や個別委託の決定を、公正を旨として、価格・品質・供給安定性・技術力・信頼性・環境負荷削減への取り組みなどを総合的に勘案し、経済的合理性に基づいて行います。
  2. 当社は、輸送および保管委託先の選定にあたり、過去の取引実績や企業グループ関係などにこだわることなく、広く門戸を開放します。
  3. 当社は、輸送および保管委託先の協力を得ながら、輸送および保管における品質向上を目指し、また環境負荷を把握し、この削減に努めます。
  4. 当社は、「東レグループCSR調達方針」及び、「東レグループCSR調達行動指針」を遵守し、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)に配慮した物流活動を全社的に推進します。

体制

国内外関係会社を含めた東レグループ全体でのCSR調達の推進と、グローバル化するCSR調達リスクに対応するため、全社的なリスクマネジメントの取り組みとして、CSR調達ワーキンググループを設置しています。CSR調達ワーキンググループは、サプライヤーのCSRへの取り組み状況の把握や、お客様によるCSR調達調査への協力、国内外関係会社でのCSR調達の推進をサポートしています。また、グループ全体のCSR調達の推進状況とリスク低減活動を、全社のリスクマネジメント機関であるリスクマネジメント委員会で定期的に報告し、審議・情報共有しています。

リスクマネジメントの体制図

さらに、東レグループ全体にCSR調達の考え方が浸透し、遵守されるように取り組みを進めています。東レ(株)では、2020年11月と2021年2月の2回に分けて、すべての役員・社員(嘱託、パート、派遣を含む)を対象に、CSR調達の内容を含むCSRに関するeラーニングを実施し、延べ13,947名が受講しました。また、東レグループ社内報にCSR調達に関する特集記事を適宜掲載して社内への意識浸透を図っており、2022年度も実施しました。
国内・海外関係会社には、CSR調達の必要性や求められる活動、リスク事例といったCSR調達に関する内容を記載した社内教育資料の配付などを通じた意識浸透活動も行っています。

サプライチェーンにおける人権・環境デューデリジェンス※2の取り組み

サプライチェーン上で発生する人権や環境のリスクを特定・評価し、予防や軽減などの対応を行う人権・環境デューデリジェンスについて、東レグループでは経済協力開発機構(OECD)の「責任ある企業行動のためのOECDデュー・デリジェンス・ガイダンス」に定められたプロセスに則り対応を行っています。
まず、東レグループとして関連する方針類の整備をしています。人権においては、児童労働・強制労働・不当な低賃金労働の禁止や、サプライチェーン全体を通じて人権尊重の推進に努めることなどを定めた「東レグループ人権方針」を制定し、環境においては、環境保全の基本方針である「環境10原則」や「リサイクル活動指針」「東レグループ生物多様性基本方針」「東レグループ緑化基本方針」を制定しています。そして、「東レグループCSR調達方針」「東レグループCSR調達行動指針」を策定して、サプライチェーン全体での人権尊重・環境保全を推進することとしています。
具体的な取り組みとしては、取引先に対する「CSR調達アンケート」の定期的な実施と分析、通報相談窓口の設置、CSR調達に関する高リスク課題調査、企業検索システムによる取引先リスクの確認などを実施し、人権や環境に関する負の影響がないかを把握しています。把握した負の影響、例えば「CSR調達アンケート」の低評価企業に対しては改善要請を行い、さらに訪問などを通じてフォローアップを行っています。
そして、これらの活動内容を当社ウェブサイトなどで社内外へ情報開示しています。
東レグループは今後もサプライチェーン上での人権や環境への負の影響を防止・軽減するために取り組みを推進していきます。

  1. ※2 デューデリジェンス:自社が社会に与えうる負の影響を防止または軽減するために、予防的に調査・把握を行い、適切な手段を通じて是正し、その取り組みを外部に開示するなどの継続的なプロセスのこと。

「CSRロードマップ 2022」の目標

CSRロードマップ目標

東レグループ全体で、重要な購買先、外注先に対してCSRの取り組みを要請し、サプライヤーにおける人権・社会・環境などCSR意識の醸成を推進します。

主な取り組みとKPI実績

KPI
(1)サプライヤーに対して、CSRに関するアンケートや監査の実施、誓約書の締結等のCSRへの対応を要請するとともに、各社のCSRへの取り組み状況の把握に努めます。
9-❶❷
(2)サプライチェーンの人権問題、紛争鉱物等への対応を進めていきます。
-
(3)物流における CO2排出量原単位を削減します。
9-❸
(4) 500km以上の輸送におけるモーダルシフト※3を推進します。
9-❹
(5)物流に関わる環境負荷低減と品質向上に継続的に取り組みます。
-
(6)「ホワイト物流」※4の自主行動宣言に基づき、働き方改革等に取り組む物流事業者の積極的活用等、持続可能な物流の実現を目指していきます。
-
  1. 報告対象範囲:9-❶、9-❷は東レグループ。 9-❸は東レグループ(特定荷主)。9-❹は東レ(株)。
  1. ※3 モーダルシフト:トラック等で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へ転換すること。
  2. ※4 ホワイト物流:トラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的とした運動。

■関連マテリアリティ

  • ステークホルダーとの共創と対話による発展
  • 持続可能なサプライチェーンの構築
  1. マテリアリティから見た「CSRロードマップ 2025」はこちら(PDF:1.10MB)PDFをご覧ください。
  2. 2022年度までのマテリアリティと紐付いた「CSRロードマップ 2022」の主な取り組みやKPI・実績進捗については、こちら(PDF:1.25MB)PDFをご覧ください。

今後に向けて

近年、サプライチェーン全体での人権や環境問題などの社会課題への取り組みがますます求められています。東レグループは、CSR調達を「サプライヤーの皆様と一体となって進めるべき課題」と考え、引き続き、グループ全体の原材料や資材の調達、外注・委託加工先での生産活動など全ての工程におけるCSRの推進状況を把握・評価し、持続可能なサプライチェーンの構築のため、サプライチェーン全体でCSRの取り組みを推進します。

「CSRロードマップ 2025」(対象期間:2023-2025年度)におけるCSRガイドライン9「持続可能なサプライチェーンの構築」の主な取り組みやKPIはこちらをご覧ください。

2022年度の活動報告

2022年の活動報告をご紹介します。

関連する声明類