CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告)

事業を通じた社会的課題解決への貢献

イノベーションを通じて、気候変動、資源・エネルギー問題、水資源・自然環境の保全、医療の充実・公衆衛生の普及促進などの様々な社会的課題へのソリューションを提供し、社会の持続的発展に貢献します。

基本的な考え方

地球温暖化、水不足、海洋汚染、資源枯渇、生物多様性の減少など、私たちを取り巻く地球環境問題はますます深刻化しています。また、現在約80億人の世界人口は、2050年には約100億人に達すると見込まれており、先進国のみならず多くの新興国でも平均寿命の延びと出生率の低下による急速な高齢化に直面することが予想されます。
21世紀の世界においては、地球規模の環境問題の解決、および健康で自立した生活を維持するためのヘルスケア・質の高い医療・負担の少ない医療の提供が、最重要の共通課題となっています。

東レグループは、2011年より「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」、2014年より「ライフイノベーション事業拡大(LI)プロジェクト」を推進し、役員会などでプロジェクトの進捗をフォローしてきました。この取り組みをさらに強化するために、2018年に「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」、2020年に長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”を策定・発表し、2050年の目指すべき世界を明確にし、マイルストーンとしての2030年の長期目標(KPI)を定めました。そして、2023年3月に発表した中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”では、多様化するサステナビリティへの要請に対応すべく、GR・LI事業をサステナビリティイノベーション事業(SI事業)※1に統合し、デジタルイノベーション事業(DI事業)※2と合わせて、これらの事業拡大に向けた取り組みを「SI&DIプロジェクト」として推進しています。

「SI&DIプロジェクト」では、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」で示した、「地球規模での温室効果ガスの排出と吸収のバランスが達成された世界(GHG排出実質ゼロの世界)」、「資源が持続可能な形で管理される世界」、「誰もが安全な水・空気を利用し自然環境が回復した世界」、「すべての人が健康で衛生的な生活を送る世界」の実現に貢献する事業を拡大していきます。具体例としては、気候変動対策を加速させるために、先端材料の用途を航空機、自動車などに拡大、軽量化による燃費向上でCO2排出の抑制に貢献するほか、風力、水素など再生可能エネルギー社会を素材供給により支える取り組みを推進します。また、持続可能な循環型資源利用のために、バイオ関連技術やリサイクルなど資源循環に対する取り組みを進めます。続いて、安全な水・空気を届けるために、水処理膜やエアフィルターなどの拡大を進めていきます。さらには、健康・長寿、医療の質向上や、人の安全、および高齢者や要介護者の自立した生活へ貢献する製品の拡大を図ります。

  1. ※1 サステナビリティイノベーション事業(SI事業):「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に貢献する事業・製品群。
  2. ※2 デジタルイノベーション事業(DI事業):デジタル製品に関連する技術を用いた製品、装置、技術、サービスなど。

体制

「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に向けた活動を推進するため、社長を委員長とするサステナビリティ委員会を全社委員会として設置しています。同委員会は、上記ビジョンの実現に向けた中長期的な全体ロードマップおよび実行計画を策定し、2つの全社プロジェクト(SI事業拡大プロジェクト、気候変動対策プロジェクト)の年次活動計画を審議し、実行課題や活動状況を統括して、その取り組みを管理・推進しています。また、CSR委員会、リスクマネジメント委員会、安全・衛生・環境委員会、技術委員会と連携して、東レグループ全体の気候変動に関する課題に取り組んでいきます。
プロジェクトを通じて、社会全体のカーボンニュートラル実現に向けてGHG排出量の削減に貢献するほか、東レグループのGHG排出量削減を進め、カーボンニュートラルの実現を目指しています。また、持続可能な循環型の資源利用のための全社的戦略を策定・推進し、当社基幹ポリマーのバイオ化、リサイクルなど資源循環への取り組みを加速しています。
なお、気候変動問題に関するガバナンス体制は、「東レグループ TCFDレポート VER.2」をご参照ください。

「CSRロードマップ 2022」の目標

CSRロードマップ目標

「グリーンイノベーション」「ライフイノベーション」分野に重点を置き、革新的新素材・新技術の創出によって、社会的課題の解決に貢献します。

主な取り組みとKPI実績

KPI
(1)グリーンイノベーション製品の売上収益拡大を目指します。
7-❶
(2)ライフイノベーション製品の売上収益拡大を目指します。
7-❷
(3)バリューチェーンへの CO2削減貢献量※3を拡大します。
7-❸
(4)水処理貢献量※4を拡大します。
7-❹
(5)低炭素・循環型社会の実現を目指し、様々な製品の研究・技術開発を推進していきます。
-
(6)プラスチック製品のバイオマス活用・リサイクル活動推進、再生可能エネルギー・水素の普及、水資源の再利用等に貢献していきます。
-
(7)防護服やPPE※5用部材・製品の供給とその高度化、空気や水などの衛生環境を守るための素材供給を通じて、感染症を含む公衆衛生上のリスク対策に貢献します。
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KPI(重要目標達成指標) 目標値 2022年度 実績
2020年度 2021年度 2022年度
10,000億円(2022年度) 9,934億円
3,000億円(2022年度) 3,696億円
2013年度比5.3倍(2022年度) 2013年度比9.5倍
2013年度比2.4倍(2022年度) 2013年度比2.5倍
  1. 報告対象範囲:東レグループ
  1. ※3 CO2削減貢献量:製品のバリューチェーンを通じたライフサイクル全体でCO2排出量削減効果を、日本化学工業協会およびICCA(国際化学工業協会協議会)のガイドラインに従い、東レが独自に算出。
  2. ※4 水処理貢献量:水処理膜により新たに創出される年間水処理量。各種水処理膜(RO/UF/MBR)毎の1日当たりの造水可能量に売上本数を乗じて算出。
  3. ※5 PPE:personal protective equipment(個人用防護服)

■関連マテリアリティ

  • 気候変動対策の加速
  • 循環型社会実現への貢献
  • 自然環境の回復への貢献
  • 健康で衛生的な生活への貢献
  • ステークホルダーとの共創と対話による発展
  1. マテリアリティから見た「CSRロードマップ 2025」はこちら(PDF:1.10MB)PDFをご覧ください。
  2. 2022年度までのマテリアリティと紐付いた「CSRロードマップ 2022」の主な取り組みやKPI・実績進捗については、こちら(PDF:1.25MB)PDFをご覧ください。

今後に向けて

GRプロジェクトの2022年度の連結売上収益は前年比1,612億円増の9,934億円となりました。国内および中国自動車市場低迷の影響を受け、樹脂製品などの販売は低調に推移したものの、航空機用炭素繊維、風力発電翼用炭素繊維、水処理膜などは好調でした。
バリューチェーンへのCO2削減貢献量や水処理貢献量も事業拡大に伴って着実に増加しました。これからも事業を通じた資源・エネルギー問題および地球環境問題の解決に貢献していきます。
LIプロジェクトの2022年度の連結売上収益は前年比612億円増の3,696億円となりました。スポーツおよび自動車用エアバッグ向け繊維やスポーツ関連向け炭素繊維などの販売が伸長しました。当社が強みを持つ先端材料を積極展開するとともに、医薬・医療事業の拡大を加速させていきます。
世界は、人口増加や広範な国々で進展する高齢化、そうした中で日々厳しさを増していく気候変動、水不足、資源の枯渇など、さまざまな地球規模の課題が、相互に関連しながら深刻化しており、これからは環境に配慮した消費・生産様式にシフトしていくことが考えられます。
また、「製品の製造→使用→再生して再び製品の原材料として使う」循環型社会に移行する取り組みが本格化することで、大量生産・売り切りのビジネスモデルから、製品のサービス化(product as a service)、シェアリング、製品の長寿命化、資源の回収・リサイクル、循環型サプライチェーンなどのビジネスモデルへの転換が進むことが想定されます。
東レグループは、多様化するサステナビリティの課題に対応するため、2023年度からGR・LI事業をSI事業へと統合し、SI&DIプロジェクトとして、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」で示した、「地球規模での温室効果ガスの排出と吸収のバランスが達成された世界(GHG排出実質ゼロの世界)」、「資源が持続可能な形で管理される世界」、「誰もが安全な水・空気を利用し自然環境が回復した世界」、「すべての人が健康で衛生的な生活を送る世界」の実現に貢献する製品の拡大をより強力に推進していきます。

「CSRロードマップ 2025」(対象期間:2023-2025年度)におけるCSRガイドライン7「事業を通じた社会的課題解決への貢献」の主な取り組みやKPIはこちらをご覧ください。

2022年度の活動報告

2022年度の活動報告をご紹介します。