最適な樹脂選定を支援するDXサービスを開始
-AIを活用した樹脂データベースで顧客の製品開発スピードアップに貢献-

　東レ株式会社（本社：東京都中央区、代表取締役社長：日覺 昭廣、以下「東レ」）は、このたび、AIを活用し、樹脂製品に関して、これまで培ってきた各種データをもとにマテリアルズ・インフォマティクス（MI）^※1技術で物性データを予測するDXサービスを2022年度下期から開始します。これにより、顧客自身が樹脂材料を選定する際、最適な樹脂選定をアシストすると共に、顧客が要求する樹脂材料を短期間で提供することにより、顧客の製品開発のスピードアップに貢献します。

　従来の樹脂材料開発は、熟練した研究者の知識と経験、インスピレーションにより、配合処方を作成し、実験検証により試行錯誤を繰り返す、という流れで行われてきました。しかし、樹脂の特性を評価し、その最適化の過程で膨大な試行が必要なため長い時間を要することから、材料開発の効率化が求められていました。

　東レは、長年にわたる樹脂材料開発における極限追求、技術深化の過程で培った質の高いデータを多量に有しており、これらにAIを活用し、過去の蓄積データから最適な配合処方を予測することで予測モデルの精度を大幅に向上させ、加えて膨大なデータから効率的に物性を予測する独自の物性予測システムを構築しています。

　今回、この物性予測システムを社外向けのデータベースに組み入れ、顧客が要求特性をシステム上で入力するだけで、当社製品、開発品および予測品の特性、提供可能性を知ることができる樹脂材料データベースを開発しました。顧客自身で機械特性、成形時のプロセス特性などを即時検索することで、材料選定、設計、試作の流れをシームレスかつ迅速に行うことが可能となり、開発スピードアップだけでなく、コスト削減、品質向上に寄与します。また、検索から得られた材料特性データをCAE解析の条件データとして用いることで、部材自体の機械特性、プロセス特性の予測が可能となり、部材に最適な樹脂選定をアシストする、コンシェルジュ機能を担うことが期待されます。

　東レは、2022年度下期からこのDXサービスを開始し、顧客の課題に最適なソリューションを提案することで顧客価値の向上に貢献します。さらに、今後、機械特性、成形時のプロセス特性だけでなく、リサイクル性、長期劣化特性、材料使用時のCO₂排出量データなどの情報提供も行う予定で、顧客のカーボン・ニュートラルにも貢献します。東レの強みである良質・大量のデータ、CAE解析およびMI技術を最大限に活かしたサービスを展開します。

　なお、10月19日(水)～26日(水)にドイツ・デュッセルドルフ見本市会場で開催される、「K 2022－第22回国際プラスチック・ゴム産業展」において、このDXサービスを展示紹介予定です。

　東レは、データ基盤整備およびAI要素技術の拡充による、研究・技術開発におけるDX推進に継続的に取り組んでいます。今後、AI技術活用テーマを拡大することで先端材料の研究・技術開発にも積極的に展開し、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでまいります。