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NMPフリー半導体用コーティング剤の量産・販売を開始
~環境低負荷な感光性ポリイミドを開発~

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2022.12.14

東レ株式会社


 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、環境への負荷を低減できるポリイミドのNMP(N-メチルピロリドン)フリー技術を取り入れた新たな感光性ポリイミドコーティング剤PHOTONEECE®(フォトニース®※1)を開発しました。このたび量産体制を整え、パワー半導体用途向けを中心に本格販売を開始します。

 xEV、5G通信、AI、メタバースなどの様々な先端技術の普及は、半導体の飛躍的な技術革新に支えられています。その半導体素子を保護する絶縁保護膜には、高い絶縁性や製造工程で生じる熱に耐えられる耐熱性を持つポリイミド材料が主に用いられています。
 近年欧米では作業者の健康や環境配慮のニーズの高まりにより、ポリイミド材料の溶媒として使用されている毒性のあるNMPの使用を規制する動きがあります。
 東レはこの動きに対し、長年蓄積してきた機能性ポリイミド設計技術を駆使し、NMP以外の溶媒でポリイミドを合成する技術を確立しました。これにより、ppm※2)オーダーでNMPを含まない材料の提供が可能となりました。 
 本製品は、高い耐熱性と絶縁性を有することから、製造工程で高温処理が行われ、通常の半導体より高電圧を扱うパワー半導体に特に適した材料として、同用途向けに本格販売を開始いたします。

 また、パワー半導体の中でも大型EV、鉄道、発電所などの用途では更なる高電圧が必要であり、それに耐えられるよう、ポリイミドにはこれまで以上の厚膜形成が要求されます。厚膜になると感光性が低下し、微細な加工がしづらいという課題がありましたが、東レは光透過性を向上させる技術の適用により、従来比2倍以上となる15μm以上の厚膜においても従来と同等の高精細なパターン加工が可能となるNMPフリー感光性ポリイミド材料の開発に成功しました。本開発品は、絶縁保護膜と接するシリコンや銅などの下地材料に対する高い密着性も有しており、現在大手パワー半導体メーカーでサンプル評価を進めています。
 なお、本製品の生産のために今後導入する設備には、東レが経済産業省より採択を受けました「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」が一部活用される予定です。

 東レは今後も、「有機合成化学」、「高分子化学」、「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」という東レのコア技術を駆使して、社会を本質的に変える力のある革新的な素材の研究・技術開発を推進することで、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでまいります。
 
   
<フォトニース®(左)、加工後のポリイミドのパターン(右)>

<語句説明>
1)感光性ポリイミド :
光照射により現像液(アルカリ水溶液または有機溶媒)への溶解性が変化し、現像工程によりパターンを形成することができるポリイミド。露光部が溶解するタイプをポジ型感光性ポリイミド、露光部が不溶化するタイプをネガ型感光性ポリイミドと呼ぶ。

2)ppm : parts per millionの略で、百万分率のことを指す。1000ppm=0.1%となる。

【資料ダウンロード】
https://www.electronics.toray/download/ma/2212p1.html
 
以 上