• HOME
  • ニュースルーム
  • 環境負荷を低減する印刷・離型・粘着加工用新規PETフィルムを創出 ~水系塗料や無溶媒塗料に対し優れた塗布性と密着性を両立~

環境負荷を低減する印刷・離型・粘着加工用新規PETフィルムを創出
~水系塗料や無溶媒塗料に対し優れた塗布性と密着性を両立~

facebookでシェアする twitterでシェアする Linkedinでシェアする

2022.12.15

東レ株式会社


 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、このたび、溶媒由来のCO2排出をゼロ化できる水系塗料や無溶媒塗料に対して、優れた塗布性と強固な密着性を両立した新規PETフィルムを創出しました。製造時の脱炭素化が望まれている離型フィルムや粘着フィルム、印刷用フィルム、包装用フィルム、車載用フィルムなどを中心に、環境配慮型フィルム製品の普及に貢献すべく、2023年度中の国内工場での生産化を目指してまいります。

 近年、大気汚染やCO2排出による地球温暖化が大きな環境問題となる中、有機溶媒を使う一般的なPETフィルム加工での環境負荷が問題となっています。
これに対し、離型剤や粘着剤、印刷インキなどの塗料に使用されている有機溶媒を水に変更した水系塗料や、溶媒を使用せずモノマーで希釈する無溶媒塗料など、溶媒由来のCO2排出をゼロ化できるVOC※1)フリー塗料の開発が進んでいます。しかしながら、これらVOCフリー塗料は、従来PETフィルム上に塗布した際に塗布はじきなどの外観不良が発生する他、乾燥させた後の塗布膜とPETフィルムとの密着性が低く、浮きや剥がれが発生することにより耐久性が低下するという課題がありました。

 東レが開発した新規PETフィルムは、水と親和性の高い親水成分と、塗料に含まれる樹脂と親和性の高い疎水成分をナノサイズで分散させた極薄い層を表面に形成させることで、水系塗料に対する良好な塗布性と、水が乾燥した後の塗布膜との密着性を両立しました。
 本フィルムは、各塗料メーカーから提案されている多種多様な水系塗料に対して、優れた塗布性と密着性を発現することを実証済みです。また、VOCフリー塗料のもう1つの形態である無溶媒塗料に対する塗布性と密着性にも優れています。

 一般にPETフィルムの加工では印刷インキや離型剤、粘着剤の塗布及び乾燥、硬化に必要な電力、大気放出された有機溶剤の焼却、溶剤廃液や廃棄物の処理に対して、それぞれCO2が排出されます。本フィルムを用いることで、VOCフリー塗料の積極的な使用が可能となり、塗料に含まれる有機溶媒由来のCO2排出をゼロにすることができます。
 加えて、本技術はリサイクルPET原料を用いたEcouse®※2)ルミラー®への適用も可能であり、PETフィルムの製造から、印刷・離型・粘着等の塗料による加工までトータルで環境負荷低減に貢献できます。

 東レは「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」や、長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”の中で、事業活動を通じて地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に貢献することを表明しています。今後も、先端素材の開発により、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでまいります。

<用語の説明>
1) VOC
Volatile Organic Compound(揮発性有機化合物)。トルエン、キシレン、酢酸エチルなどが該当し、有機溶剤系塗料に含まれる。
2) Ecouse®
東レが2015年からグローバル展開しているリサイクル素材および製品の統合ブランド。


以 上