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膵(すい)がん患者血液中で変化するアポリポ蛋白A2アイソフォーム濃度を測定する体外診断用医薬品の製造販売承認申請について

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2022.09.14

東レ株式会社



 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、2022年6月27日に、血液中のアポリポ蛋白A2(以下、「APOA2」)アイソフォーム濃度を測定する検査試薬(以下、「本試薬」)を、体外診断用医薬品として厚生労働省へ製造販売承認申請をしましたのでお知らせします。

 APOA2は、高比重リポタンパク質(High Density Lipoprotein : HDL)の主要構成成分のタンパク質の1つです。APOA2は全長77個のアミノ酸からなり、C(カルボキシル)末端に、アラニン(A)、スレオニン(T)、グルタミン(Q)のアミノ酸配列を有し、血液中では、全長のタンパク質(APOA2-ATQ)とC末端が分解したアイソフォーム(APOA2-AT)が共存しています。
 学校法人日本医科大学大学院医学研究科 本田一文大学院教授(前国立研究開発法人国立がん研究センター早期診断バイオマーカー開発部門長)は、膵がん患者の血液中で、2種類のAPOA2アイソフォーム(APOA2-ATおよびAPOA2-ATQ)の量比が変化することを発見しました(※1-4)。

 この研究成果に基づき、東レは、国立がん研究センターおよび日本医科大学との共同研究の実施ならびに国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究成果の活用により、APOA2アイソフォームを測定する試薬の体外診断用医薬品としての開発を進めてまいりました。
 本試薬は、サンドイッチ法を原理とする酵素免疫測定法(ELISA)により、東レが独自に取得した抗体を用いて、膵がんが疑われる患者の血液中の2種類のAPOA2アイソフォーム(APOA2-ATおよびAPOA2-ATQ)濃度を測定するものです。

 東レは、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」において、取り組むべき課題の一つに医療の充実と公衆衛生の普及促進に貢献することを宣言しています。今後も、先端材料・革新技術を活用した高付加価値医薬品等の開発推進により、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を具現化し、社会貢献とともに持続的な成長拡大を目指してまいります。


<参考文献>
  1. Honda K, Okusaka T, Felix K, Nakamori S, Sata N, Nagai H, et al. Altered plasma apolipoprotein modifications in patients with pancreatic cancer: protein characterization and multi-institutional validation. PLoS One. 2012;7(10):e46908.
  2. Honda K, Kobayashi M, Okusaka T, Rinaudo JA, Huang Y, Marsh T, et al. Plasma biomarker for detection of early stage pancreatic cancer and risk factors for pancreatic malignancy using antibodies for apolipoprotein-AII isoforms. Sci Rep. 2015;5:15921.
  3. Honda K, Srivastava S. Potential usefulness of apolipoprotein A2 isoforms for screening and risk stratification of pancreatic cancer. Biomark Med. 2016;10(11):1197-207.
  4. Honda K. Risk stratification of pancreatic cancer by a blood test for apolipoprotein A2-isoforms. Cancer Biomark. 2022;33(4):503-12.
 
以上