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第21回グリーン・サステイナブル・ケミストリー賞奨励賞受賞
「VOCフリー・CO2削減を実現する軟包装水なしオフセット印刷システムの開発」
-食品などの軟包装材製造工程における環境負荷低減に貢献-

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2022.06.16

東レ株式会社



 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、「VOCフリー・CO2削減を実現する軟包装水なしオフセット印刷システムの開発」について、公益財団法人新化学技術推進協会(略称:JACI)より「第21回グリーン・サステイナブル・ケミストリー賞(略称:GSC賞)奨励賞」を受賞しました。
 この度の受賞は、東レが、独自の東レ水なし平版®と、溶剤を含まず水で洗浄可能な水溶性インキ技術の創出により、軟包装材印刷工程における完全VOCフリー化と、省エネルギー化によるCO2排出量の大幅削減を両立できる「軟包装水なしオフセット印刷システム」を開発し、軟包装分野における持続可能なシステムの構築に大きく貢献できることが評価されたものです。
 東レの「GSC賞奨励賞」受賞は、第20回(2020度)に続き、2年連続の受賞となります。

 
(表彰状を持つ授賞者(左)と楯(右))



 GSC賞は、GSC=「人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学」の推進を目的に、産学官連携組織「GSCネットワーク」が2001年に設立しました。GSCへの適合性、社会的価値、経済性・実現性、新規性・独創性、技術・研究の発展性、化学的・学術的妥当性に基づき、我が国のGSC推進に貢献が期待できる顕著な功績を表彰するものです。
 今回東レは、GSCを基盤とする新規技術・製品・サービス・システムの研究により優れた業績をあげた対象に贈られる「GSC賞奨励賞」を受賞しました。 

 近年、軟包装印刷物市場は、世界的な人口増加を背景に食品包装などの用途向けに高成長を継続しています。しかし、現在主流のグラビア印刷(凹版)は、有機溶剤を含むインキを大量に使うことから、PM2.5(微小粒子状物質)による大気汚染の原因となるVOCを多く排出するほか、印刷作業現場におけるオペレーターへの健康被害など労働環境問題も懸念されていました。さらに、有機溶剤の加熱乾燥に使用する膨大な電力や、VOC排気の燃焼処理および分解により発生するCO2排出に大きな課題がありました。
 これに対し、東レは東レ水なし平版®と、溶剤を含まず水で洗浄可能な水溶性インキによって、VOCフリーでCO2排出量を低減できる「軟包装水なしオフセット印刷システム」を開発しました。本技術に関して、今後も市場の拡大が予想される軟包装印刷業界において、持続可能なシステムの構築に貢献できることが高く評価され、本賞の受賞に至りました。

今回の受賞内容の詳細は下記の通りです。

1.受賞テーマ
「VOCフリー・CO2削減を実現する軟包装水なしオフセット印刷システムの開発」

2.技術の特徴
東レ水なし平版®と新たに開発した溶剤を使用しない水洗浄可能な水溶性インキ技術を用い、軟包装用の薄膜フィルム原反に対してLED-UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線を照射することで、瞬間的にインキを硬化・固定化できるようにしました。これにより、印刷工程での完全VOCフリー化と、省エネルギー化によるCO2排出量の大幅削減(従来比約80%削減)を両立できる唯一の「軟包装水なしオフセット印刷システム」を開発しました。
本システムのポイントとなる水溶性インキは、独自の機能性高分子設計技術を用いることで、活性エネルギー線照射前の状態では、水洗浄により除去することが可能ですが、照射後は、一切水に溶解せずに、フィルム上で硬化・固定化します。インキとフィルム間で強固に密着することから、ボイル・レトルトなど高機能な食品軟包装分野への展開も期待できます。

3.実用状況と今後の展開
東レの「軟包装水なしオフセット印刷システム」は、食品用の軟包装分野での実用化を目指し、世界各国の印刷会社・コンバーターにて各インキメーカーと連携して基本的な性能実証を完了し、生産適用検証が進んでおります。今後も市場が拡大していく軟包装印刷業界において、持続可能な軟包装印刷技術の確立を通じて地球環境問題の課題解決を目指してまいります。 
 
※VOC: Volatile Organic Compound 揮発性有機化合物

以上