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ウイルスを従来比約100倍の速度で不活化
即効性に優れる新たな抗ウイルス粒子を開発

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2022.05.26

東レ株式会社
 

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、このたび、即効性に優れる新たな抗ウイルス粒子を開発しました※1

 従来のウイルス感染対策として、消毒液のような薬剤による消毒は即効性が高く有効である一方、短時間で揮発するため定期的な消毒が必要です。また、揮発しない金属系の抗ウイルス剤は、一般的に持続性はありますが、ウイルスを99.9%不活化するのに1時間以上かかるものが多く、即効性と持続性の両立に課題がありました。

 これに対して東レは、これまでに培った機能性粒子の設計・合成技術と表面制御技術を活用した、酸化セリウム粒子の独自の合成方法と表面処理技術により、ウイルスに対する吸着性と酸化分解機能を付与することで、新型コロナウイルスを15秒で99.9%以上、5分で99.99%以上不活化する、抗ウイルス粒子を開発しました。本粒子のウイルス不活化速度は、従来の金属系抗ウイルス剤と比較して約100倍以上と、世界最高レベルの即効性を実現しました。
 また、本粒子は揮発せず、薬剤や金属イオンなど有効成分の徐放によるウイルス不活化原理とは異なるため、効果の持続性が期待できます。さらに、危険有害性が低く※2、耐変色性や耐腐食性にも優れています。
 
<本開発品のウイルス不活化原理>(推定)

 本粒子は、建築材料や塗料、包装材料などへの適用が可能なため、不特定多数の人が集まりウイルス感染対策が必要な公共スペース、公共交通機関、飲食店、医療・介護施設、学校などにおける内壁や手すり、身近で多く接触機会のある家電や食品包装など、多岐にわたる製品への展開が期待できます。
 また、本粒子はコーティング加工や練り込み加工にも対応が可能なため、東レのマスクおよび医療用ガウン用途向け不織布や、エアフィルター、カーシートなど、飛沫感染や接触感染対策のため抗ウイルス性能が期待される製品に広く適用していきます。今後、順次お客様に本粒子の試験品提供を行ってまいります。
 本成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託業務「マテリアル・バイオ革新技術先導研究プログラム」の下、麻布大学獣医学部、田原口智士教授との共同研究により得られたものです。
※2021年度は「マテリアル革新技術先導研究プログラム」にて実施。

 東レは、有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーの4つのコア技術を駆使し、社会を本質的に変える力のある革新的な素材の研究・技術開発を推進しています。

 今後も、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組み、ウイルス感染リスクの無い安心・安全な社会の実現に向け研究・技術開発を加速し、人々の健康や衛生的で安心な生活に貢献できるよう取り組んでまいります。

 
1. 本粒子の特徴:
①ウイルス不活化に対する高い性能と即効性
②低危険有害性
③耐変色性、耐腐食性
2. 展開用途:
マスクおよび医療用ガウン用途向け不織布、エアコン・空気清浄機用フィルター、カーシート、建築・食品包装用塗料 など
 
以  上

※1 本粒子の抗ウイルス性試験内容について
・試験機関 :一般財団法人日本繊維製品品質技術センター
・試験ウイルス :SARS-CoV-2デルタ株(hCoV-19/Japan/TY11-927-P1/2021)
・試験サンプル  :本粒子(水分散液)
・試験条件 :作用温度25℃ 作用時間15秒、5分
・感染価測定法 :プラーク法
・抗ウイルス試験結果:
※本粒子は全てのウイルスに対する
効果を示すものではありません。
また、病気の予防や治療に対する
効果を示すものではありません。
 

※2 本粒子の安全性試験結果について
・試験項目および結果:

・試験機関:株式会社鎌倉テクノサイエンス