• HOME
  • ニュースルーム
  • 『抗血栓性人工腎臓の開発と工業化』が「第54回市村産業賞 功績賞」を受賞

『抗血栓性人工腎臓の開発と工業化』が「第54回市村産業賞 功績賞」を受賞

facebookでシェアする twitterでシェアする Linkedinでシェアする

2022.04.18

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、このたび、『抗血栓性人工腎臓の開発と工業化』について、公益財団法人 市村清新技術財団の「第54回市村産業賞 功績賞」を受賞しました。
 
 このたびの受賞は、透析治療の進歩に伴い人工腎臓に対しても抗血栓性を向上させるニーズが年々高まっている中で、東レのコア技術であるナノテクノロジーと計算化学を駆使し、抗血栓性を向上させたポリスルホン膜人工腎臓の製品化に成功したことが評価されたものです。
 本技術は、慢性腎不全および急性腎不全患者の生活の質(QOL)の向上や医療スタッフへの負荷軽減に貢献します。

 東レは、本技術を活用した高付加価値医療材料の開発推進により、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を具現化し、社会貢献とともに持続的な成長拡大を目指してまいります。
 なお、今回の受賞に関する主な技術の特徴は下記の通りです。 

 
1. 受賞業績
「抗血栓性人工腎臓の開発と工業化」

2.

本技術の特徴
 人工腎臓は腎不全患者の血液を体外に循環させ、血液中の老廃物を除去する透析療法用の医療機器です。現在、主流のポリスルホン系素材は、親水性のポリビニルピロリドン(PVP)をブレンドすることで抗血栓性を付与していますが、さらなる機能性向上が望まれていました。
 当社は、ポリマーと相互作用する水(吸着水)の運動性に着目した独自仮説のもと計算化学も活用し、ポリマー設計を進めました。その結果、PVPより血小板の付着を大幅に抑制できる新規抗血栓性ポリマー(NVポリマー)を見出し、慢性腎不全用および急性腎不全用の人工腎臓の開発・工業化に成功しました。NVポリマーを適用した人工腎臓は、従来品に比べ、タンパク質や血小板などの血液成分の付着を抑制し、膜の目詰まりも少ないという特徴を有しています。

3.

実用状況
 受賞技術については、血液透析器「トレライト®NV」や、血液透析濾過器「トレライト®HDF」、「トレスルホン®NV」、持続緩徐式血液濾過器「ヘモフィール®SNV」に適用されています。これらの製品は、抗血栓性向上による患者QOLの向上や医療スタッフの負荷軽減に貢献し、臨床でも従来品に比べ、残血の抑制や、膜寿命の延長などが報告されており、高い評価を得ています。

<ご参考>
■市村清新技術財団、市村賞および市村産業賞について
 市村清新技術財団は、科学技術の研究開発に対する助成、すぐれた科学技術の顕彰および国際交流の促進、科学技術に関する創造性の育成、植物の生育に関わる研究に対する助成などによって科学技術の振興をはかることにより、我が国の経済社会の発展と国民生活の向上に寄与するために活動しています。
 市村賞は、日本を代表する実業家であった市村清の昭和38年4月29日紺綬褒章受章を記念して創出された賞です。特に「市村産業賞」は、毎年、各産業界からの推薦に基づき、優れた国産技術を開発することで産業分野の発展に貢献・功績のあった技術開発者またはグループに贈呈されます。

■東レの「市村賞」受賞履歴について
第8回(昭和50年度)
 「漢字情報処理システムの開発」(市村産業賞 奨励賞)
第50回(2017年度)
 「高機能性逆浸透膜の開発」(市村産業賞 功績賞)
第51回(2018年度)
 「タッチパネル用感光性導電ペーストの開発」(市村産業賞 貢献賞)
 
以  上