下廃水処理向けスケール防止剤RWI-8000のグローバル販売開始について

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2021.12.16

東レ株式会社


 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、下廃水処理の汚泥脱水プロセスで発生するストルバイト析出によるスケール※1)発生を低投与で抑え、運転コストを大幅に削減する水処理薬品RWI-8000をグローバルに販売開始します。
 本製品は、東レのスイス(欧州)子会社であるToray Membrane Europe AG(本社:ミュンヘンシュタイン市、略称「TMEU」)が開発し、4月から一部の欧州顧客向けに先行販売しています。運転コスト削減や品質安定に繋がると顧客から評価を得たことから、この度グローバルに販売を拡大することとしました。

 ストルバイトは、下廃水処理の脱水工程において、脱水用遠心分離機の表面や配管内部にスケールとして付着します。㎛程度の厚みであれば機械的に強い力を加えて除去できますが、急速に付着が進行する性質があり、㎜単位の厚みになると除去は困難で、配管や遠心分離機の洗浄が必要となります。また、付着が酷いと配管の解体・交換が必要となる場合もあり、高額な交換費用がかかるほか、特に配管が建物内部に設置されている場合は、長期間の運転停止を余儀なくされる問題がありました。

 ストルバイト析出が発生する主な原因は、マグネシウムの結晶化です。TMEUは、30年以上にわたる水処理向けスケール防止剤の開発・製造で得た、マグネシウムに挙動の近いカルシウムスケール抑制の技術的知見から、下廃水処理に適したスケール防止剤RWI-8000を開発しました。
 下水を脱水した際に分離された汚泥サンプルを用いたテストでは、汚泥1m3辺りに数滴のRWI-8000を投与した結果、形成されていたストルバイト粒子の数が投与直後に99.4%減少することを確認した。また、稼働中の下廃水処理施設でRWI-8000を毎日25~50ppm投与した結果、ストルバイト析出の防止により洗浄コストを従来比75%削減でき、安定運転や稼働率の向上に繋がることを実証しました。

 水処理用スケール防止剤の世界市場規模は330百万USDと推定され、年間5~7%で成長しています。東レは、多様な原水処理で使用するスケール防止剤をラインアップしており、本製品の開発から得られた知見を他用途にも応用することでさらなる事業拡大を目指します。

 東レは、水処理業界における40年以上の経験で蓄えたノウハウに基づき、高品質なスケール防止剤を今後も開発・提供することで、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでまいります。
 
スケール防止剤添加前 スケール防止剤添加後

【用語説明】
※1) スケール:
水に溶けている金属などの物質が固体となって配管などに付着、堆積、固化したもの

東レ水処理サイト
https://www.water.toray/ja/

以 上