東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、ドイツのLilium(本社:ドイツ、以下「リリウム社」)と、同社が開発中の「リリウム・ジェット(Lilium Jet)」に使用する炭素繊維複合材料の供給契約を締結しました。
UAM(Urban Air Mobility)は、都市部の交通が抱える渋滞・騒音・大気汚染といった課題の解決に繋がる新交通システムとして期待されており、現在は各国において、UAMの商業運航開始に向けて機体や運航システムの開発、法制度の整備が進んでいます。また、UAMは「空飛ぶ車」とも呼ばれ、垂直離着陸が可能な小型電動機を主流に開発が進んでいます。リリウム社は、UAMの開発のトップランナーの1社であり、UAMの機体製造と輸送サービスの開発・事業を展開していきます。
UAMにおいては、機体の軽量化など様々な要求に応えるため、炭素繊維複合材料の果たす役割が極めて重要となります。東レはUAMメーカーとの協業を深化させながら、機体の高性能化・省エネルギー化・低コスト化に向けた革新的な複合材料の開発を継続しています。この度のリリウム社との取り組みは、この一環として実現されたものです。Lilium Jetは、300kmを60分以内に飛行する5人乗りの垂直離着陸型であり、胴体、主翼、動翼などに炭素繊維複合材料が使用されます。なお、リリウム社は、2025年の商業運航開始に向けて機体の開発を推進中です。
東レの炭素繊維複合材料事業は、2020年5月に発表した中期経営課題"プロジェクト AP-G 2022"において、UAM用途に向けた事業基盤を戦略的に拡充する方針であり、UAM特有の諸課題に応える炭素繊維複合材料の開発を通して、都市部における環境問題の解決に貢献していきます。今後も、東レグループ内の連携をさらに強化し市場のニーズに迅速に対応していくことで、素材の力で社会を変革してまいります。