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世界最高レベルの超高透水性ナノろ過(NF)膜を創出
-原水中の各種成分を高度に選択分離しながら透水性能を3倍に向上-

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2019.07.31

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、この度、従来品以上の優れたイオン・有機物の分離性能を持ち、透水性能を3倍に高めた世界最高レベルの超高透水性ナノろ過(NF)膜を創出しました。従来水処理用途に加え、資源回収、バイオリファイナリー*など特殊用途での利用が期待され、3年以内の実用化を目指し、開発を加速してまいります。

 NF膜は、水中に溶解している特定のイオン・有機物は透過し、それ以外は透過しない選択分離性を持っています。この選択分離性を利用することで、NF膜は地下水・河川水から有機溶剤や農薬を除去する水処理用途に加え、醤油、乳製品の脱塩、アミノ酸、乳酸の精製など、食品・バイオ用途への実用化が進んでいます。今後の循環型社会で求められる高度な水浄化、資源の再利用に向け、有効な手段である水処理膜には更なる選択分離性の向上と透水性の向上が求められていますが、選択分離性と透水性はトレードオフの関係にあり、両立に課題がありました。

 東レは透水性能向上に寄与する膜の構造形成メカニズムを極限追求し、NF膜の精密な細孔構造の形成とひだ状構造の形成に成功しました。これにより、表面積が拡大し、従来品以上の優れた選択分離性能を持ち、従来比3倍の超高透水性を実現しました。発展途上国において、本開発品を用いた設備を水道施設に導入することで、原水に含まれる重金属、農薬といった有害物質を高精度に除去し、水を出すための圧力が低い水道でもストレスなく十分な水量を家庭や工場に供給することができます。また、今後需要拡大が予想されるリチウム資源に対し、現行の塩湖回収プロセスに本開発品を適用することにより、高効率かつ低コストにリチウムを回収可能と考えています。

 東レは、2018年7月に発表した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」のなかで、誰もが安全な水・空気を利用し、自然環境が回復した世界を東レグループの革新技術・先端材料を用いることで実現すると表明しています。
 東レは、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」のもと、循環型社会の実現を見据え、本技術のスケールアップ、社会実装を進め、幅広い用途への適用に向けた提案を加速してまいります。

以 上

新規NF膜(ひだ状構造あり)
新規NF膜(ひだ状構造あり)


【語句説明】
バイオリファイナリー: 再生可能資源であるバイオマスを原料にバイオ燃料や樹脂などを製造するプラントや技術。