日本薬剤学会からの賞授与について

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2019.05.20

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、このたび、『OD錠用高機能フィルム技術およびレミッチ®(※)OD錠の開発』について、日本薬剤学会旭化成創剤開発技術賞を受賞しました。

 日本薬剤学会 旭化成創剤開発技術賞は、国際的な製剤の品質に関する考え方の変貌に応える製剤・創剤開発の基礎および応用に関する優れた研究を対象とした賞です。東レとしては、今回が初めての受賞となります。
 このたびの受賞は、OD錠(口腔内崩壊錠)へのコーティングという革新的な製剤改良により、高機能化・高付加価値化を実現させ、製剤化技術の新たな発展に寄与したことが高く評価されたものです。OD錠は水分摂取に制限がある方や、嚥下機能が低下した高齢者からの要望が多く、この技術により、対象患者のQOL改善および医療従事者への利便性向上につながることが期待されます。

 OD錠の開発にあたっては、レミッチ®の有効成分であるナルフラフィン塩酸塩が光分解しやすいことから高度な遮光化技術が求められました。また含有量が1錠剤あたり2.5μgと極めて高活性であるため、錠剤からの薬物飛散を抑制する対策も必要でした。一方、これらの課題を解決するべくフィルムコーティングを施すと、OD錠の最大の特徴である“速崩壊性”を損なってしまうことから、レミッチ®のOD錠化には特殊なフィルムコーティング技術の開発が必要であることが判明しました。
 そこで東レは、これらの課題を克服するため、従来技術に「高遮光性」「高伸度性」「速溶解性」を付与したOD錠およびフィルム製剤に適用する速溶解性フィルムコーティング技術“RADIFIL(ラディフィル) ®”を確立しました。本技術を適用することにより、主に医薬品の安定性、取り扱い性を改善し、製品価値を高めることが可能となり、当初不可能とされていたレミッチ®のOD錠化が実現しました。

日本薬剤学会からの賞授与について

 なお本技術は、公益社団法人発明協会 2018年度関東地方説明表彰 発明奨励賞も受賞しております。

 東レは今後も、先端材料技術を活用した高付加価値医薬品の開発推進により、社会への貢献および持続的な成長拡大を目指してまいります。

以 上
(※) レミッチ®は鳥居薬品の登録商標です。
 なお、今回受賞技術の特徴は下記の通りです。
1. 技術名 “RADIFIL(ラディフィル)®” (Rapid Disintegrating Film/ Radical Film)
2. 特徴 OD錠にフィルムコーティングを施すことで下記の特徴を付与
・高遮光性 ・・・コーティング剤に遮光性を付与
・高伸度性 ・・・高伸度性ポリマーPVA(ポリビニルアルコール)を適用することで、高湿度環境下でもフィルムに亀裂が発生しにくい
・速溶解性 ・・・水溶性添加剤により、口腔内に入れると速やかに崩壊する