フッ素繊維トヨフロン®は、低摩擦、かつ耐熱性・耐薬品性に優れたPTFE(フッ素樹脂)を主原料としています。通常、PTFEは繊維化しづらい ポリマーですが、当社の高度なマトリックス紡糸技術により、PTFEの特性を維持しつつ、均一かつ高品質な長繊維化を実現しています。これにより、トヨフ ロン®は化学繊維の中で最高レベルの安定した低摩擦性を有し、自動車や産業用機械など様々な分野の摺動材として使われています。
今回開発した高耐久摺動テキスタイルは、この優れた低摩擦性を持つフッ素繊維トヨフロン®と高剛性繊維を組み合わせて二重構造テキスタイルとして複合化 したものです。高剛性繊維を高密度に織る当社の先端テキスタイル技術を駆使することで、これまで摺動部位と接触を繰り返すことで飛散していたフッ素繊維の 粉塵をテキスタイルの中に蓄積させ、潤滑層を形成させることに成功しました。これにより、低摩擦性と高耐久性の両立を実現でき、従来のフッ素繊維トヨフロ ン®のみを使用したテキスタイルに比べ、100倍以上の耐摩耗性を実現することが可能となりました。そのため、今回開発した高耐久テキスタイルを用いるこ とで、製品の小型化・軽量化や高性能化に伴う摺動部の面積削減による高面圧化や、フリーメンテナンスでの高寿命化に対応することが可能です。既にこの特徴 を活かした高耐久摺動テキスタイルが、新日鉄住金エンジニアリング株式会社の免震装置に採用されることが決まっています。
なお東レは、6月25日(水)から27日(金)の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「第18回 機械要素技術展」に出展し、上記開発品を展示いたします。
東レは、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の企業理念のもと、社会を本質的に変える力のある素材の開発に取り組んでいま す。本年4月からスタートした新中期経営課題“プロジェクト AP-G 2016”では基幹事業としての繊維事業の収益体質の更なる強化のため、非衣料分野における、素材から高次までの一貫型ビジネスの構築に取り組んでいま す。東レはケミストリーの力で先端材料の開発を進め、より豊かな社会の実現に向けて「素材」で貢献する企業集団であり続けます。
今回の開発品の詳細は次の通りです。