東レ株式会社(所在地:東京都中央区、社長:日覺昭廣)は、この度、これまで技術難度が高いとされた高強度と高弾性率化の両立を実現した、高強度・高弾性率炭素繊維トレカ®「T1100G」および同炭素繊維を使用した高性能プリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)を開発しました。
炭素繊維は、高い比強度・比弾性率および、優れた疲労特性や耐環境特性に基づく高い信頼性を有することから、航空・宇宙、産業、スポーツ分野での用途が急拡大しています。一方、ハイエンドな用途ではより一層の高性能化が求められてきました。
今回開発した炭素繊維トレカ®「T1100G」は、ナノレベルで繊維構造を緻密にコントロールする焼成技術により、これまで技術難度が高いとされた高強度と高弾性率化の両立を実現し、すでに航空・宇宙分野をはじめとするハイエンド用途で広く採用されているトレカ®「T1000G」「T800S」など従来の当社製炭素繊維に比べて大幅に性能を高めることに成功しました。
併せて、プリプレグにおいては、革新的なナノテクノロジーをベースにして、引張強度と耐衝撃性を両立するマトリックス樹脂技術を開発しました。これを炭素繊維トレカ®「T1100G」と組み合わせることで、航空・宇宙分野の構造部材やハイエンドスポーツ用品などそれぞれの分野で要求される極限性能を実現していきます。
東レは、炭素繊維複合材料事業を戦略的拡大事業と位置付け、積極的な経営資源を投入し事業拡大や研究・技術開発を進めています。東レが本年2月に策定、発表した新しい中期経営課題“プロジェクト AP-G 2016”では、長期経営ビジョン“AP-Growth TORAY 2020”の基本的な考え方のもとで、世界ナンバーワンの炭素繊維メーカーとして事業拡大を加速させていきます。
東レは今後も、炭素繊維トレカ®およびトレカ®プリプレグの一層の高性能化やプロセス加工性改善を通じて新製品の開発に取り組み、航空機や自動車などの軽量化で省エネルギーを推進するとともに、風力発電機翼やシェールガス等の貯蔵および輸送用圧力容器などへの適用によって新エネルギーの普及に貢献し、素材の力で社会を変革してまいります。
なお、「T1100G」の特性は以下のとおりです。