長期経営ビジョン

“TORAY VISION 2030” -持続的かつ健全な成長と社会的価値の創造-

 長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”は、創業以来、経営として大切にしている価値観(core value)である「事業を通じた社会貢献」「人を基本とする経営」「長期的視点に立った経営」をベースに、素材を起点にサプライチェーンを構成するお客様や取引先などとの共創を通じて、社会に新しい価値を提供し、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「2050年に向け東レグループが目指す世界」の実現に向けて、そのマイルストーンとしての「2030年度に向けた数値目標」の達成を目指します。また、産業の潮流の変化を的確に捉えて、「ビジネスモデルの変革」を進めながら「持続的かつ健全な成長」を実現します。

東レグループ サステナビリティ・ビジョンを基軸とする成長戦略

 東レグループの使命は、革新技術・先端材料の提供によって、世界が直面する「発展」と「持続可能性」の両立をめぐる地球規模の課題に対し、本質的なソリューションを提供していくことです。全ての事業セグメントにおいて、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決、および医療の充実と健康長寿、公衆衛生の普及促進に貢献するサステナビリティイノベーション(SI)事業を中心に増加する需要を取り込むだけでなく、新たな需要を創出していくことにより事業を拡大します。
 新規事業の創出・拡大については、全社横断プロジェクト「Future TORAY-2020sプロジェクト(FTプロジェクト)」を推進し、2020年代に一つの事業領域を形成することが期待できる大型テーマにリソースを質・量両面において重点的に投入して開発とビジネスモデル構築を加速し、新規事業全体で2030年近傍に1兆円規模の売上創出を目指します。

“TORAY VISION 2030”に掲げる長期戦略

 東レグループは、人口分布・環境問題・技術イノベーションなどがもたらす産業の潮流の変化を的確に捉えて、「ビジネスモデルの変革」を進めながら「持続的かつ健全な成長」を実現します。
 「持続的かつ健全な成長」とは、「積極的な投資による事業拡大」という基本戦略を推進しつつ、その成長戦略を可能にするために、継続的なビジネスモデル革新やトータルコストダウンといった競争力強化と、投下資本効率や財務体質の面から成長投資を可能にする経営基盤強化を両輪で推進することで、東レグループ全体で中長期に創出する価値を最大化することです。

「持続的かつ健全な成長」の実現に向けた長期戦略

1. 成長分野でのグローバルな拡大

  • 地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決、および医療の充実と健康長寿、公衆衛生の普及促進に貢献するサステナビリティイノベーション(SI)事業を拡大します

2. 競争力強化

  • 事業の高度化・高付加価値化を通じて新たな価値を創出し、顧客と社会に素材を起点としたソリューションを提供します
  • 高い目標を掲げてコスト競争力の強化に取り組むとともに、環境負荷低減を目指します

3. 経営基盤強化

  • キャッシュフローと資金効率を改善し、成長のための投資と財務健全性の両立を図ります
  • 低成長・低収益事業について、事業構造改革を実行します

2030年度の数値目標

2013年度実績
(基準年度)
(日本基準)
2030年度目標
(2013年度比)
(IFRS)
サステナビリティイノベーション製品の供給※1 5,624億円 4.5倍
バリューチェーンへのCO2削減貢献量※2 0.4億トン 25倍
水処理貢献量※3 2,723万トン/日 3.5倍
生産活動による
GHG排出量※4
東レグループ全体の
売上高・売上収益原単位
337トン/億円 50%以上削減
  日本国内の排出量※5 245万トン 40%以上削減
生産活動による
用水使用量
東レグループ全体の
売上高・売上収益原単位
15,200トン/億円 50%以上削減
※1. ①気候変動対策を加速させる製品、②持続可能な循環型の資源利用と生産に貢献する製品、③安全な水・空気を届け、環境負荷低減に貢献する製品、④医療の充実と公衆衛生の普及促進に貢献する製品。
※2. 製品のバリューチェーンを通じたライフサイクル全体でのCO2排出量削減効果を、日本化学工業協会、ICCA(国際化学工業協会協議会)およびWBCSD(持続可能な開発のための経済人会議)の化学セクターのガイドラインに従い、東レが独自に算出。
※3. 水処理膜により新たに創出される年間水処理量。各種水処理膜(RO/UF/MBR)毎の1日当たりの造水可能量に売上本数を乗じて算出。
※4. 世界各国における再生可能エネルギー等のゼロエミッション電源比率の上昇に合わせて、2030 年度に同等以上のゼロエミッション電源導入を目指す。
※5. 地球温暖化対策推進法に基づく日本政府の総合計画(2021年10月22日閣議決定)における産業部門割当(絶対量マイナス38%)以上の削減を目指す。