コーポレート・ガバナンス
基本的な考え方
当社グループは、草創期より会社は社会に貢献することに存在意義があるという思想を経営の基軸に置き、東レ理念という形でこの思想を受け継いでいます。
東レ理念は、「企業理念」「経営基本方針」「企業行動指針」等で体系化されています。このうち「経営基本方針」は、ステークホルダーとのあるべき関係を示しており、特に株主に対しては「誠実で信頼に応える経営を」行うことを明記しています。また、「企業行動指針」の中で「社会的規範の遵守はもとより、高い倫理観と強い責任感をもって公正に行動し社会の信頼と期待に応え」ることを定めています。
当社グループは、ガバナンス体制の構築にあたり、こうした理念を具現化していくことを、その基本的な考え方とします。
コーポレート・ガバナンスに関する報告書
当社は東京証券取引所に『コーポレート・ガバナンスに関する報告書』を提出しています。
コーポレート・ガバナンス体制
現状の体制
当社は、監査役会設置会社であり、取締役および監査役は株主総会で選任される。体制の概要は下記に図示するとおりである。
取締役および監査役は、株主によって直接選任されることにより、経営を付託された者として重大な責務を負っていることを明確に認識し、それぞれの役割を適切に果たすとともに、経営の状況について株主を含むステークホルダーへの説明責任を果たしていく。
当社グループは、基礎素材製品を多様な産業に供給しており、広範囲な事業領域でグローバルに活動を行っていることから、経営判断や意思決定はもとより、その監督にあたっても、現場に密着した専門知識をベースに多種多様なリスクを多面的に評価することが必要となる。そのため、取締役会は、当社グループの事業に精通した取締役が、多様な視点から監督と意思決定を行う体制とする。また、監査役会が、取締役会から完全に独立した立場で、事業に対する理解に加え、財務・会計や法律など専門的知見にもとづき、取締役の職務の執行を監査することで、監督や意思決定の透明性・公正性を確保する体制とする。
コーポレート・ガバナンス体制図

取締役・監査役のスキル・マトリックス
氏名 | 事業運営 | コーポレート | ストラテジック | ||||||
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経営経験 | グローバル事業経験 | 技術・製造・R&D | 営業・マーケティング | 法務・知財・リスク管理 | 会計・ファイナンス | 人材マネジメント・ ダイバーシティ |
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取 締 役 |
日覺 昭廣 | ○ | ○ | ○ | |||||
大矢 光雄 | ○ | ○ | ○ | ||||||
首藤 和彦 | ○ | ○ | ○ | ||||||
恒川 哲也 | ○ | ○ | ○(DX) | ||||||
寺田 滋紀 | ○ | ○(経営戦略) | |||||||
加藤 勇一郎 | ○ | ○ | |||||||
伊藤 邦雄 | ○ | ○ | ○(ESG) | ||||||
神永 晉 | ○ | ○ | ○ | ||||||
原山 優子 | ○ | ○(イノベーション) | |||||||
イネステーラー 章子 | ○ | ○ | ○ | ||||||
監 査 役 |
平林 秀樹 | ○ | ○ | ○ | |||||
真野 充治 | ○ | ○ | ○ | ||||||
髙部 眞規子 | ○ | ○ | |||||||
荻野 浩三 | ○ | ○ | |||||||
井上 雅彦 | ○ | ○ |
※上記は、各人の有するすべての知見・経験を表すものではなく、当社の経営戦略推進にあたって期待されるスキルの内、 主なもの最大3つを示しています。
スキル・マトリックス各項目の選定理由は次のとおりです。
項目 | 選定理由(事業運営の項目については、該当すると判断する目安を〈 〉内に例示) | |
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事業運営 | 経営経験 | 事業環境が大きく変化する中、当社ビジネスにおける機会とリスクを評価し、持続的な成長戦略を策定し、新たな価値創出を牽引するにあたっては、経営トップとしての豊富なマネジメントの経験と実績が必要となります。 <東レグループ内外での社長経験の有無など> |
グローバル 事業経験 |
当社事業領域のグローバル化が進む中、グローバルなビジネスに関する豊富な実務経験と高度な知見・能力が必要となります。 <海外事業会社での事業経験の有無など> |
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技術・製造・R&D | 当社の強みである革新技術・先端材料の提供によって地球規模の課題に対し本質的なソリューションを提供していくうえで、メーカーである当社では、技術・製造・R&Dおよび営業・マーケティングの豊富な経験と高度な知見・能力が必要となります。 <当社の事業本部・部門および技術センター、生産本部、エンジニアリング部門、研究本部の本部・部門長、技術・生産担当の経験の有無など> |
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営業・マーケティング | ||
コーポレート | 法務・知財・ リスク管理 |
当社経営・事業に関する国内外法令等の遵守および適切なリスクマネジメントの実行のためには、法務・知財・リスクマネジメント等に関する豊富な経験と高度な知識が必要となります。 |
会計・ファイナンス | 当社の長期ビジョンおよび中期経営課題で掲げる財務・効率性指標やグローバル経営管理等の目標達成に向け、財務・会計・税務等に関する豊富な経験と高度な知識が必要となります。 | |
人材マネジメント・ ダイバーシティ |
当社が目指す持続的かつ健全な成長を実現するうえで、人を基本とする経営を深化させ、企業価値の最大化と従業員の幸福を目指すためには、人材マネジメントやダイバーシティについての豊富な経験と知見・能力が必要となります。 | |
ストラテジック | 当社経営戦略推進において、上記以外の重要なスキル項目、取締役に期待する専門分野、専門知識を示しています。 |
役員報酬
- 取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針に関する事項
当社の取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定方針(以下、決定方針という。)は以下のとおりです。- (ⅰ) 基本方針
当社は、当社グループの中長期的な企業価値向上と持続的成長に繋げるべく、役員の報酬制度を構築する。役員報酬制度の決定方針については、「トップ・マネジメント決定権限」に基づき、法令等が定めるものに加え、重要事項に関する意思決定の権限を取締役会に留保する。役員報酬等に関する株主総会への付議内容や重要な社内規程の制定・改正、ならびに各取締役の報酬については、取締役会決議により決定する。また、役員報酬制度のあり方については、ガバナンス委員会が継続的にレビューする。 - (ⅱ) 報酬構成・水準
社内取締役の報酬は、その役割を踏まえ、定額である基本報酬、ならびに業績連動報酬として、各事業年度の連結業績等を勘案した賞与および中長期的な業績に連動する譲渡制限付株式報酬で構成する。社外取締役の報酬は、その役割を踏まえ、基本報酬のみで構成する。報酬水準については、外部第三者機関による役員報酬に関する他社水準調査結果等も参考に、優秀な人材を確保でき、業績向上に向けた士気向上が図られるようにする。また、業績連動報酬と業績連動報酬以外の報酬等の支給割合について、業績向上に向けたインセンティブがより一層働くよう、上記他社水準調査結果やガバナンス委員会でのレビューを踏まえ、業績連動報酬の支給割合の拡大を図る。これらを通じて、中長期視点での経営に資する、基本報酬、賞与、譲渡制限付株式報酬のバランスが取れた報酬体系を目指す。 - (ⅲ) 基本報酬
基本報酬は、株主総会において基本報酬および賞与の合計額として報酬総枠の限度額を決議する。株主総会への付議内容は、ガバナンス委員会が答申し、取締役会が決議する。各取締役の基本報酬は、その範囲内において、ガバナンス委員会が取締役会に答申して取締役会が決議する。基本報酬は月例の固定報酬とする。 - (ⅳ) 賞与
各事業年度の業績等を勘案し、社内取締役に対し、賞与を支給する。賞与は、株主総会において基本報酬および賞与の合計額として報酬総枠の限度額を決議する。株主総会への付議内容は、ガバナンス委員会が答申し、取締役会が決議する。各事業年度の賞与支給の可否ならびに支給総額は、当社のグローバルな事業運営の結果を最もよく表す連結事業利益をベースに、業績向上に向けたインセンティブがより一層働くよう報酬総額に占める賞与の支給割合を拡大すること等を勘案し、ガバナンス委員会が答申し、取締役会が決議する。各社内取締役の賞与は、全社の連結事業利益、担当組織の予算達成度や中期経営課題の達成度、個別課題への取り組み等を指標に評価を行い、ガバナンス委員会が取締役会に答申して取締役会が決議する。賞与は毎年、一定の時期に支給する。 - (ⅴ) 譲渡制限付株式報酬
当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを社内取締役に与えるとともに、株主との一層の価値共有を進めることを目的として、社内取締役に対し、譲渡制限付株式の付与のための報酬を支給する。譲渡制限付株式報酬は、株主総会において報酬総枠の限度額ならびに社内取締役に対して割当てる譲渡制限付株式の総数の上限を決議する。株主総会への付議内容は、ガバナンス委員会が答申し、取締役会が決議する。各社内取締役への割当株式数は、その範囲内において、ガバナンス委員会が取締役会に答申して取締役会が決議した基準に基づき算定し、取締役会が決議する。算定に用いる各社内取締役の報酬基礎額は、ガバナンス委員会が取締役会に答申して取締役会が決議する。譲渡制限付株式報酬は毎年、一定の時期に支給する。 - (ⅵ) その他
第130回定時株主総会において役員退職慰労金制度廃止に伴う退職慰労金打切り支給が決議され、当該総会終結時に在任していた社内取締役に対し、当該総会終結時までの在任期間を対象とし、退職慰労金を打切り支給することとしている。各社内取締役の退職慰労金は、第130回定時株主総会後の取締役会決議に基づき決定する。退職慰労金は各社内取締役の退任時に支給する。
決定方針は、ガバナンス委員会での審議を経て、2021年2月9日開催の取締役会の決議により決定し、また、2022年3月28日および2025年6月26日開催の取締役会の決議により改定しております。
取締役の個人別の報酬等の内容については、そのあり方についてガバナンス委員会が継続的にレビューを行い、その結果を踏まえて取締役会に答申して取締役会が決議することから、取締役会はその内容が決定方針に沿うものであると判断しております。
なお、監査役の報酬は、その役割を踏まえ、定額である基本報酬のみで構成しております。報酬水準については、外部第三者機関による役員報酬に関する他社水準調査結果等も参考に、優秀な人材を確保できるようにしております。基本報酬は、株主総会において報酬総枠の限度額を決議しております。各監査役の基本報酬は、その範囲内において、監査役の協議により一定の基準に基づき決定しております。
- (ⅰ) 基本方針
- 取締役および監査役の報酬等についての株主総会の決議に関する事項
- (ⅰ) 取締役の報酬額
・決議年月日 : 2025年6月26日(第144回定時株主総会) ・決議内容 : 取締役の報酬額を賞与を含め年額9億円以内(うち社外取締役1億800万円以内)とする。
なお、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まないものとする。・決議時点の対象取締役数 : 10名(うち社外取締役4名) - (ⅱ) 監査役の報酬額
・決議年月日 : 2025年6月26日(第144回定時株主総会) ・決議内容 : 監査役の報酬額を年額1億7,000万円以内とする。 ・決議時点の対象監査役数 : 5名 - (ⅲ) 取締役の譲渡制限付株式報酬
・決議年月日 : 2025年6月26日(第144回定時株主総会) ・決議内容 : 取締役(社外取締役を除く。)に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬を年額3億円以内、発行または処分される普通株式の総数を年1,200,000株以内とする。 ・決議時点の対象取締役数 : 6名 - (ⅳ) 取締役、監査役の退職慰労金打切り支給
・決議年月日 : 2011年6月24日(第130回定時株主総会) ・決議内容 : 取締役、監査役に対する役員退職慰労金制度廃止に伴い、本総会終結時までの在任期間を対象とし、退職慰労金を打切り支給する。支給時期は各取締役、監査役の退任時とする。 ・決議時点の対象取締役数 : 23名、決議時点の対象監査役数:2名
- (ⅰ) 取締役の報酬額
- 取締役および監査役の報酬等の総額等
役員区分 報酬等の
総額報酬等の種類別の総額 対象となる
役員の員数基本報酬 業績連動報酬 賞与 非金銭報酬 株式報酬型
ストックオプション取締役
(うち社外取締役)796百万円
(75百万円)548百万円
(75百万円)143百万円
(−)105百万円
(−)13名
(5名)監査役
(うち社外監査役)115百万円
(36百万円)115百万円
(36百万円)−
(−)−
(−)5名
(3名)(注) - 取締役の員数には、当期に退任した取締役1名を含んでおります。
- 取締役に支給する賞与は、第144回定時株主総会において決議した額になります。
賞与は、当期の連結事業利益等に過去実績等を加味し算定しており、当期を含む連結事業利益の推移は、「1.企業集団の現況に関する事項(3)財産および損益の状況の推移」に記載のとおりです。 - 取締役に付与する株式報酬型ストックオプションに関し、当期を含む株式報酬型ストックオプションとしての新株予約権の発行価額の推移は、「3.会社の新株予約権等に関する事項(1)当期末日に当社役員が保有する職務執行の対価として交付された新株予約権の概要」に記載のとおりです。
社外役員の活動状況(2024年度)
区分 | 氏名 | 主な活動状況 |
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社外取締役 | 伊藤 邦雄 | 当期開催の取締役会14回全てに出席し、会計学・経営学に関する研究活動の経験などに基づき、専門的見地から適宜発言を行っております。また、任意の委員会「ガバナンス委員会」の委員長を務め、経営陣幹部の選解任に関わる基本方針等の指名・報酬に関する事項および取締役会の実効性向上への発言を通じて、ガバナンスの向上に努めております。 |
野依 良治 | 当期開催の取締役会14回全てに出席し、有機合成化学に関する研究活動の経験などに基づき、学術的・技術的視点などから適宜発言を行っております。また、任意の委員会「ガバナンス委員会」の委員を務め、経営陣幹部の選解任に関わる基本方針等の指名・報酬に関する事項および取締役会の実効性向上への発言を通じて、ガバナンスの向上に努めております。 | |
神永 晉 | 当期開催の取締役会14回全てに出席し、企業経営者としての豊富な経験に加え、国際性と他社の社外取締役としての知見に基づき、適宜発言を行っております。また、任意の委員会「ガバナンス委員会」の委員を務め、経営陣幹部の選解任に関わる基本方針等の指名・報酬に関する事項および取締役会の実効性向上への発言を通じて、ガバナンスの向上に努めております。 | |
二川 一男 | 当期開催の取締役会14回全てに出席し、行政官としての豊富な経験と知識・深い専門性に基づき、適宜発言を行っております。また、任意の委員会「ガバナンス委員会」の委員を務め、経営陣幹部の選解任に関わる基本方針等の指名・報酬に関する事項および取締役会の実効性向上への発言を通じて、ガバナンスの向上に努めております。 | |
原山 優子 | 当期開催の取締役会14回のうち12回に出席し、大学教授としての豊富な経験と高度な専門的知識に加え、科学技術・イノベーション政策に携わることで培われた知見に基づき、適宜発言を行っております。また、任意の委員会「ガバナンス委員会」の委員を務め、経営陣幹部の選解任に関わる基本方針等の指名・報酬に関する事項および取締役会の実効性向上への発言を通じて、ガバナンスの向上に努めております。 | |
社外監査役 | 熊坂 博幸 | 当期開催の取締役会14回全てに、監査役会11回全てに出席するとともに、工場および関係会社の監査にも参加し、必要に応じ、主に公認会計士としての専門的見地から発言を行っております。 |
髙部 眞規子 | 当期開催の取締役会14回全てに、監査役会11回全てに出席するとともに、工場および関係会社の監査にも参加し、必要に応じ、主に法律家としての専門的見地から発言を行っております。 | |
荻野 浩三 | 当期開催の取締役会14回全てに、監査役会11回全てに出席するとともに、工場および関係会社の監査にも参加し、必要に応じ、経験豊富な経営者の観点から発言を行っております。 |