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炭素繊維

Innovation 非常識が常識を作る〜ハイブリッド筐体の開発〜

電子機器筐体市場の動勢

―マグネシウム合金にまさる、電子機器筐体を開発せよ。―
―筐体?―、耳慣れない言葉であるが、ハウジングのことである。東レは炭素繊維を使ったノートパソコンの筐体を製造販売していた。当時、マグネシウム合金を射出成形した筐体が、軽量と高強度を謳い文句に、市場を席巻しつつあった。
複合材料研究所にタスクフォースチームが結成され、若手研究者がリーダーに抜擢された。2002年の春のことである。

炭素繊維複合材料のジレンマ

炭素繊維は比強度で鉄の10倍(同じ強度なら重量は1割、同じ重量なら強度は10倍)という優れた素材である。炭素繊維を樹脂で固めた成型体が炭素繊維複合材料“CFRP”であり、鉄、チタン、軽金属を圧倒する軽量性で、ロケット、航空機、自動車やゴルフシャフトといった用途に広く使用されている。

ノートパソコンの筐体も軽さが求められる用途である。ところが、CFRPでは筐体のような複雑で細かい形状を量産することができず、量産に優れた射出成形で製造すると、どうしても炭素繊維が短くカットされてしまい、CFRP本来の性能が引き出せない。

東レは炭素繊維を射出成形用の材料に加工する独自技術を開発していたが、金属に対抗できる見込みは立たなかった。材料設計、構造設計から成形技術、あらゆる面から研究者の試行錯誤が続く。情報を集め、文献を漁り、アイデアを絞り出す。

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