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2007年8月22日

C型肝炎ウイルス(HCV)のワクチン開発に成果
−世界で初めてマウス実験で効果を確認−

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)はこのたび、国立感染症研究所(東京都新宿区、以下「感染研」)、財団法人東京都医学研究機構 東京都神経科学総合研究所(東京都府中市、以下「都神経研」)と共同で進めてきたC型肝炎ウイルス(HCV)ワクチンの共同研究においてHCV培養システムを開発し、本システムにより作製し不活性化したHCV粒子が、HCVワクチンとして利用できる可能性を有することを、マウスを用いた実験にて世界で初めて確認しました。

 C型肝炎は、HCVが肝細胞に感染して発症し、慢性肝炎から肝硬変や肝癌に至る難治性のウイルス性疾患です。WHOの調査によれば、世界のHCV感染者数は1億7千万人(1999年)と推定されており、毎年300〜400万人の新規感染者が報告されています。現在、その治療法としてインターフェロンと抗ウイルス薬のリバビリンが併用されていますが、 HCVの感染拡大の防止とウイルス撲滅に向けた新規ワクチンの開発が急務となっています。

 ウイルス感染予防ワクチンは、ウイルスの一部である成分蛋白質をワクチンとして用いる場合もありますが、多くはインフルエンザワクチンやポリオ(小児麻痺)ワクチンなど、感染力をなくしたウイルスそのものがワクチンとして用いられています。しかしHCVの場合、試験管内で培養してウイルスを増やすことができないことから、ワクチンの開発はこれまで困難とされてきました。

 東レは2005年に世界で初めて、都神経研と共同で試験管内でのHCVの培養に成功して以来、ウイルスそのものをHCVワクチンとして用いる可能性を感染研(ウイルス第二部長:脇田隆字)と共同で模索してきました。これまでの検討で、従来のHCV粒子産生細胞より、HCV粒子の産生量が多いヒト株化肝細胞を作製し、この細胞を用いることで、HCV産生量を研究開始当初の1万倍に向上させることに成功しました。更に、このHCV培養システムで作製したHCV粒子の感染能力をなくしたウイルス粒子、すなわち不活性化HCV粒子をマウスに投与して得た血清が、ヒト肝細胞に対するHCVの感染を抑制することを確認しました。

 東レは、不活性化したHCV粒子をワクチンとして利用できる可能性が確認できたことから、引き続き感染研と共同でワクチンとしての最適化と工業生産に適したHCVの培養方法を構築するべく研究開発を進め、HCVワクチンの早期実用化を目指します。

 HCVワクチンは、新規感染を減少させる新たな予防薬という可能性にとどまらず、HCV感染者の治療薬としての応用も考えられます。HCVワクチンはC型肝炎で苦しんでいる世界中の何百万の患者さんに大きな福音をもたらすことができると期待しています。

 東レはコーポレート・スローガン“Innovation by Chemistry”(化学による革新と創造)のもと、ライフサイエンス分野に向けた先端材料の拡大に取り組んでいます。東レは独自の先端技術を活かした研究開発のInnovationを推進することで、「戦略的育成事業」と位置づけるライフサイエンス事業のさらなる拡大を目指して参ります。

* 本研究は、ヒューマンサイエンス財団(2004〜2006年度「C型肝炎ウイルスの感染・複製系の確立とその応用による抗ウイルス療法の開発」)および厚生労働省(2005〜2007年度「培養細胞で感染複製および粒子形成が可能なC型肝炎ウイルス株を利用したワクチン開発」)の支援を受けて推進しています。

以上

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