2011年10月3日
東レ株式会社
革新的な血液中バイオマーカー探索方法を共同開発
−新規マイクロRNA抽出試薬と超高感度DNAチップの組み合わせで革新的な探索方法を開発−
東レ(株)(本社:東京都中央区、社長:
、以下「東レ」)はこのたび、独立行政法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:嘉山孝正、以下「がん研究センター」)と共同して、血液中に存在するバイオマーカーの革新的な探索方法を開発することに成功しました。
この方法は、東レが保有する超高感度DNAチップ“3D-Gene®”技術と今回新たに開発した抽出試薬を最適に組み合わせることにより、血液中に極微量に存在するマイクロRNA1)の種類や量を網羅的に検出するものです。
この分野で東レは超高感度DNAチップを用いた受託解析事業を開始しております。今回の共同開発を機に、新しい抽出試薬を組み合わせたキットの販売も開始し、国内のみならず海外にも受託解析事業やキットの販売を展開して、当該事業の拡大を図って参ります。
疾患の進行に伴い血液中の存在量が変動するタンパク質や遺伝子、脂質等の大きな分子が、疾患を診断するためのバイオマーカーとして活用できることは知られていますが、近年、マイクロRNAと呼ばれる短いRNA分子も血液などの体液中で安定的に存在することが明らかとなり、疾患診断用のバイオマーカーとして利用できる可能性が注目されています。このマイクロRNAは少量の採血によって検出でき、これまでの血液中バイオマーカーでは不可能であった、個別化医療のための診断に用いることができるメリットがあると考えられており、臨床の場での活用が期待されています。
今回開発した血液中バイオマーカー探索方法の特徴は、(1)高純度なマイクロRNAが得られる革新的な抽出方法を開発したこと(高い再現性・安定性)、(2)革新的抽出法でありながら操作数が少なく簡便であること、(3)高感度チップとの組み合わせにより、既存の方法に比べ多くの種類のマイクロRNAが同時に検出可能で、しかもデータ再現性が高いこと、等が挙げられます。
実際に、今回の探索方法の最適化の検討の過程において、がん研究センターの落谷孝広分子細胞治療研究分野長は、がんの治療方針を検討するのに役立つ血液中バイオマーカー探索の研究を行い、臨床的に意義の高いマイクロRNAを見出しました。この結果は、昨年12月に神戸で開催された第33回日本分子生物学会をはじめ国内外の学会に報告されています。
今回新たに開発した血液中バイオマーカー探索方法は、血液中のマイクロRNAを解析するのに最適な方法であり、バイオマーカー探索における世界的な標準となる可能性が高いと期待されています。東レは、今年4月からスタートさせた新しい中期経営課題「プロジェクト AP-G 2013」において、次代の成長エンジンとして「重点育成・拡大事業」と位置づけるライフサイエンス領域で、超高感度DNAチップ“3D-Gene®”などのバイオツール事業の拡大を目指して参ります。
【用語説明】
1) マイクロRNA
RNAはDNAの情報をタンパク質に翻訳するために必要とされる分子であり、一般にリボ核酸塩基が数十〜数百個以上つながって構成されています。しかし最近、数十個のリボ核酸塩基から構成されている、短いRNAも生体において重要な役割を果たしていることがわかってきました。短いRNAにもいくつかの種類が知られていますが、その中でも特にマイクロRNAと呼ばれる20〜25個程度の核酸からできているRNAは、メッセンジャーRNAの働きを抑えて、タンパク質の合成量を変化させる働きがあることがわかっており、疾患の原因や、診断のためのバイオマーカーとなる可能性が注目されています。
一般にRNAは非常に壊れやすい物質で、細胞の中にのみ保護されて存在すると考えられてきました。しかし最近になって、血漿や血清の中に、大きさ10〜100nmほどのリン脂質二重膜の小胞(エキソソーム)が浮かんでおり、その中にマイクロRNAが包まれて存在することが知られてきました。このマイクロRNAはエキソソームで保護されているために極めて安定で、微量の血液から検出することが可能です。
以上


