2010年2月26日
北九州市
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社日立プラントテクノロジー
東レ株式会社
北九州市に先進の水循環システムの技術開発・運営実証・情報発信拠点
「ウォータープラザ」を開設
北九州市、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、株式会社日立プラントテクノロジー、東レ株式会社は、先進の水循環システムの開発から、管理・運営ノウハウの蓄積、さらには国内外に情報発信して技術普及を進めることを目的とした「ウォータープラザ」を北九州市に開設する。
そして本日、本プロジェクトの実施にあたり相互協力を進めるため、北九州市とNEDOの間で覚書を、また、北九州市と株式会社日立プラントテクノロジーおよび東レ株式会社の間で基本契約をそれぞれ締結した。
1.背 景
世界の淡水資源は、地域偏在性が極めて高く絶対量も限られており、人口増加、経済成長、都市化等により、世界的に水需給が逼迫している。また、先進諸国を中心に拡大し続けてきた経済・産業活動により、大量のエネルギー消費に伴う温室効果ガス排出量の増大や資源の枯渇も懸念されている。
このような世界の水・エネルギー問題の解決を図るには、下水処理水の再利用等の水の循環利用の推進と大幅な省エネルギーが必要であり、革新的な材料及びプロセス、運転管理技術、管理運営手法等を開発し、広く普及させることが急務となっている。しかしながら、そうした技術やノウハウは、国や自治体、民間企業等に分散しているのが実状であり、今後は、官民連携による結集、蓄積、連携活用が求められている。
2.覚書・基本契約締結の趣旨
北九州市では、環境モデル都市として2050年にCO2排出を市内で50%、アジア地域で150%削減するという目標を掲げており、下水道分野においても、省エネルギーの推進や国際技術協力に積極的に取り組んでいる。今後はさらに、下水処理水の再利用率の向上や、産学官連携による研究開発等を進め、低炭素社会づくり、社会の活力増進を図ることにしている。
北九州市は、その円滑かつ効果的な推進に向け、世界の水・エネルギー問題の解決を図る「省水型・環境調和型水循環システム」の構築、国内外への展開による産業振興を進めるNEDOと相互に協力を行うための覚書を締結するともに、NEDOから施設の建設・実証研究の推進等の委託を受けた株式会社日立プラントテクノロジーおよび東レ株式会社と基本契約を締結するものである。(図1参照)
(図1)北九州市、NEDO、株式会社日立プラントテクノロジー、東レ株式会社の関係
3.覚書・基本契約締結の調印者
北九州市:市長 北橋健治
NEDO:理事 和坂貞雄
株式会社日立プラントテクノロジー:執行役社長 住川雅晴
東レ株式会社:代表取締役社長 榊原定征
4.「ウォータープラザ」における実証研究の概要
○目 的
省エネルギーで環境に調和した水循環システムの構築、国際社会への普及促進に寄与するため、海水淡水化と下水再利用の統合による低コスト・低動力の新規造水システムのデモプラントと、複数の実証実験を同時に行えるテストベッドから構成される「ウォータープラザ」(図2参照)を建設し、官民が連携して持続的な水利用に係る処理技術の開発及び管理運営ノウハウの蓄積、国内外への情報発信・技術普及等を図る。
(図2)「ウォータープラザ」の全体システム構成
○実証研究内容
NEDOの委託を受けた株式会社日立プラントテクノロジー及び東レ株式会社が、北九州市と相互に協力し、下記の実証研究を実施する。
- ウォータープラザをモデルに、官民が連携した管理運営を試行
- ウォータープラザをショールームとした国内外への情報発信、技術普及
- 実証研究の成果を活用した事業化の検討
○主な役割分担
<北九州市>
- 用地使用の承諾
- 原水の供給及び廃水の受入れ
- 研究成果の発信及び来訪者対応
- その他、実証研究の推進に必要な事項
<(株)日立プラントテクノロジー、東レ(株)>
- ウォータープラザ及び関連施設の建設
- 施設の運転・維持管理、生産水の供給
- 研究成果の発信及び来訪者対応
- その他、実証研究の推進に必要な事項
○実証研究場所
北九州市「日明浄化センター」内(敷地面積:約5,000m2)
○実証研究期間
平成21年10月29日〜平成26年3月31日
(北九州市の協力期間 平成22年2月26日〜平成26年3月31日)
○推進体制
北九州市、NEDO及び民間2社に、学識者等の第三者を加えた「(仮称)実証研究推進会議」を設置し、実証研究を円滑かつ効率的に実施する。
5.「ウォータープラザ」における実証研究の特徴
- 海水淡水化と下水再利用の統合による国内最大規模の省エネルギー型造水プラントの建設
先進の水循環システムの運営実証を行う「デモプラント」と、多様な水処理要素機器の試験が行える「テストベッド」を設置する。また、見学者を受け入れて国内外に情報発信する機能も備える。なお、実規模実証運転が行える「デモプラント」と「テストベッド」を備えた施設は国内初となる。<デモプラント>- 下水をMBR(※2)とRO膜(※3)で処理することで再生水を製造するとともに、この際に発生するRO膜の濃縮水を海水淡水化プロセスに投入することで塩分濃度が希釈され、システム全体のエネルギー消費量の大幅低減[目標:約30%(従来比)の省エネルギー]を図るという処理フローとなっている。
- 造水能力は約1,400m3/日[下水(約1,550m3/日)からの造水量:約1,000m3/日、海水(約500m3/日)からの造水量:約400m3/日]である。近隣の工場で工業用水としての活用を検討している。
(※2)MBR:Membrane Bioreactorの略。膜分離活性汚泥法。
<テストベッド>
(※3)RO膜:Reverse Osmosisの略。逆浸透膜。- 日本の企業・グループがポンプや膜といった装置・機器を持ち込んでさまざまな水処理要素技術の開発・実証を行うための共用スペースとなっている。
-
水ビジネスのノウハウを研究開発するモデルケースになる
自治体、国、民間企業が、下水及び海水から省エネルギーかつ低コストで高品質な再生水の造水、ユーザーへの供給等の管理運営を、それぞれの特徴を活かしながら連携して実施する「国内初」の取り組みであり、新しい水ビジネスモデルの構築が期待できる。
-
新しい水ビジネス展開に向けたショールームになる
先進技術の活用、新たな運営体制での水循環システムの構築、運用により、国内外へ広く情報を発信できる。併せて、下水処理の高度化や再生水活用に取り組む海外の研修生等に対し、OJT研修の実施等により技術普及を図れる。
ウォータープラザ(イメージ)
以上


