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2005年6月30日

世界初のイヌインターフェロン製剤を量産開始
コンパニオンアニマル用医薬品“インタードッグ”の製造承認取得について

  東レ(株)は、このたび、当社が世界をリードしている遺伝子組換えカイコ技術を利用して作る“インタードッグ”の製造販売承認を、平成17年6月8日に農林水産大臣から取得しました。“インタードッグ”は、世界初のイヌインターフェロン製剤で、犬の皮膚病で最も発生率の高いアトピー性皮膚炎に対する治療薬です。当社は今回の承認取得を受けて、愛媛工場(愛媛県松前町)に専用生産設備を新設し、今夏からの量産開始、及び年内の商品発売開始を目指します。

 アトピー性皮膚炎は、再発を繰り返し完治が困難な皮膚病で、現在ステロイド剤によって治療される場合が多く、長期のステロイド剤使用による副作用が懸念されています。従って、より有効で安全性が高く、簡便な治療法が待望されていました。“インタードッグ”はイヌインターフェロン−γ(組換え型)を主剤とする注射剤で、臨床試験の結果、アトピー性皮膚炎の主な症状である「掻痒(そうよう)」、「掻破痕(そうはこん)」、「紅斑(こうはん)」、「脱毛」に対して高い有効性が認められている他、安全性についても問題のないことが確認されています。

 “インタードッグ”の製造に用いる遺伝子組換えカイコ技術は、昆虫工場と呼ばれるカイコ自体を組換えタンパク質の生産工場とする技術で、組換えタンパク質を極めて効率よく生産することが可能です。具体的には、イヌインターフェロン−γの遺伝子を組み込んだ組換えウイルスを作製し、この組換えウイルスをカイコ幼虫に注入して飼育し、その体液中にイヌインターフェロン−γを生産させます。生産性向上のために、タンパク質構造を改良するとともに、タンパク質を純度高く精製する技術を組み合わせることで、安定生産と純度の向上に成功しました。また、注射剤として製剤化するための安定化剤として、植物由来の多糖を新たに見出し、保存安定性の高い製品としました。

 なお、本製造方法については、新たに施行された「遺伝子組換え生物等の第二種使用等拡散防止措置確認申請」の適合確認を平成17年5月31日に受けています。

 東レは、高分子化学・有機合成化学・バイオケミストリーをコア技術と位置づけ、独創性の高い先端材料・先端技術の研究開発に取り組んでいます。カイコを用いた組換えタンパク質の生産技術は、当社のバイオテクノロジーに基づく独創的な研究開発成果の一つにあたります。東レは引き続きバイオケミストリーのさらなる深化を図る一方、今回“インタードッグ”の事業化に目途をつけたことにより、既に展開している猫及び犬のウイルス感染症治療薬である“インターキャット”とともに、コンパニオンアニマル用医薬品事業の一層の拡大を推進してまいります。

* “インタードッグ”及び“インターキャット”は東レの登録商標です。


<補 足>
1. “インタードッグ”
剤型及び成分 注射用凍結乾燥製剤。1バイアル中にイヌインターフェロン(組換え型)6万単位、その他安定剤、緩衝剤、賦形剤等を含む。
用法用量 本剤1バイアル[イヌインターフェロン−γ(組換え型)として6万単位]を用時日局生理食塩液1.2mLにて溶解する。通常1回体重1kg当たりイヌインターフェロン−γ(組換え型)として1万単位(0.2mL)を皮下に注射する。投与回数としては、1日1回とし、4週間、週3回隔日投与を行う。
効能・効果 犬:アトピー性皮膚炎における症状の緩和

2. “インタードッグ”の製造方法
 イヌの細胞からクローニングしたイヌインターフェロンのDNAを遺伝子操作技術により、カイコバキュロウイルスの遺伝子の中に組み込んで組換えウイルスを作製する。この組換えウイルスをカイコに接種して飼育し、カイコ体液中に遺伝子組換え型のイヌインターフェロンを生産させる。次にカイコ体液中から抽出・精製し、安定剤、緩衝剤、賦形剤、pH調節剤を加え、バイアル瓶に分注後凍結乾燥して“インタードッグ”を製造する。

3. インターフェロン
 インターフェロンは、抗ウイルス作用や抗癌作用、免疫増強作用等を有する物質で、ヒトでは抗ウイルス剤、抗悪性腫瘍剤として各国で使われている。近年では、遺伝子操作技術を用いて大腸菌で大量に製造されるようにもなった。インターフェロンは、ヒト以外の各種動物細胞でも産生が確認されており、種特異性が高い物質であることが知られている。今回の“インタードッグ”は、犬の皮膚病である犬アトピー性皮膚炎の治療薬として開発されたものである。

4. 犬アトピー性皮膚炎
 犬の皮膚疾患について全国規模で実施された疫学調査はないが、アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎といったアレルギー性皮膚炎は、感染性皮膚炎と並んで数多く見られる皮膚疾患であるとされている。中でも、アトピー性皮膚炎は、再発を繰り返し完治が困難な皮膚病である。現在、アトピー性皮膚炎は、ステロイド剤によって治療される場合が多いが、完治することはなく長期のステロイド剤使用による副作用が懸念されている。抗ヒスタミン剤、抗生物質等の投与や、シャンプーなどの対症療法、脂肪酸補助食品等による食餌療法も行われているが、いずれも効果の点で十分な治療法とは言えない。また、減感作療法は安全で有効な治療法として報告されているが、長期にわたる頻回の来院が必要である。従って、より有効で安全性が高く、簡便な治療法が待望されていた。

以上
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