CSRレポート2010ハイライト1
持続可能な社会の実現に向けて
ライフサイクルマネジメントによる環境経営の実践で、素材から環境負荷低減を促進、加速

持続可能な社会の実現に向けて
3.エコ効率分析ツール T-E2A

LCMを実践するエコ効率分析ツールT-E2Aを開発

松村:

今回開発したT-E2Aは複数の製品をLCAとLCCの両面で評価・比較するLCM実践のツールです。製品の環境配慮が数値として「見える化」できるツールですが、先ほどから話題になっている経済面、つまりLCCを加えたところに、私たちが考える、持続可能性の追求があります。石井さんの話にもありましたが、いくら環境負荷の少ないものをつくっても、そこに膨大な投資が必要になったり、また価格が高くなっては、事業は成り立ちません。

石井:

T-E2Aを使えば、LCA+LCCについて、イメージではなく数値で議論することができるわけですから、既に成形技術などについてお客様と一緒に開発を進めているCFRP分野では、特に有効だと思います。名古屋に開設した、A&Aセンター(Automotive & Aircraft Center)などを活用して、航空機、自動車などの分野でお客様との共同の取り組みを進めています。お客様と一緒になって進めていくのが、東レグループの向かうべき方向のひとつだと思いますし、私たちがお客様に多元的なソリューション提供をしていくうえで、T-E2Aは非常に効果的なコミュニケー ションツールになると期待しています。

狙いは、T-E2Aが活発な議論のきっかけづくりになること

松村:

開発担当の私たちも、T-E2Aをコミュニケーションツールのひとつと捉えており、あらゆる現場でぜひ活用してもらいたいと思っています。T-E2AはCO2以外にも、じつに約800種類の環境影響を評価できるようになっています。お客様の要望に応じて、さまざまな環境問題に関する分析ができ、その場で議論することができるのです。

南 :

確かに今、多くの企業が製品の環境評価において課題を抱えているようです。先日もある住宅メーカーの方が、住宅を販売する際に、メリットとしてCO2排出量の削減についてお客様にわかりやすく伝える方法はないかと悩んでいました。東レが開発したT-E2Aを使えば、メーカーが抱えるこのような課題の解決につながります。

原田:

このT-E2Aは評価ツールでありながら、人々の意識を変えていくツールでもあります。例えば技術の現場が積極的に活用してくれれば、担当する素材の環境負荷やコスト構造分析が可能になり、技術改善の方向が見えるようになって、技術開発やコスト競争力向上につながるわけです。

岡 :

社内では、2009年下期に、全社LCA分析実行チームを結成し、事業分野ごとに主要製品のLCA分析を始めました。社員には安全意識と同様の重さで環境意識をもっていただきたい。特に営業社員には価格、品質とともに環境仕様をお客様に示して営業活動をできるようになっていただきたい。全社LCA体制を構築し、社内普及に取り掛かり始めたことも、地球環境事業戦略推進室が発足したことによるひとつの大きな成果といえるでしょう。
東レグループは今後、製品および技術のLCAやT-E2A評価を通して、LCM環境経営を行い、適切な素材を社会に提案できる企業集団へと成長しなければなりません。T-E2Aというツールが新たなイノベーションのきっかけづくりになると、私たちは確信しています。2010年度中には、T-E2Aを活用したおもしろい事例が出てくるはずなので、ぜひ期待してほしいですね。
また、社内活用のみならず、持続可能な社会を実現する実効性のある取り組みとして、LCM環境経営そのものを産業界・社会に広く提唱し、普及・浸透を図っていきます。

Topic02:エコ効率分析ツール T-E2A

2009年に東レが実用化したLCMの実践ツール。複数の製品を、LCAとLCCの両面で評価・比較でき、エコ効率マップとして「見える化」できる。新素材・新製品の開発、生産改革、マーケティング、投資判断、事業戦略策定などでの活用も期待される。また、CO2をはじめ約800種類の環境負荷項目を設けており、あらゆる角度から環境影響の重みづけを変更し、瞬時にプロットすることが可能。